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僕のベースヒーローが逝ってしまった

人は必ず死ぬし、一度始まったモノやコトは必ず終わらなければならないと考えております。

私は過去にどこかで読んだ

「人は死ぬ為に生きている、生きているうちに自分の中で死を育てている」

という言葉に衝撃を受け、未だにその考え方に共鳴して日々、生きている訳です。
まぁ、仮に明日死んでしまったら、もはや私には凄まじい後悔と煮え繰り返るような悔しさしか残らないんでしょうけど。​

先日、悲しいニュースが飛び込んできました。

ZZtopのベーシスト、Dusty Hillが死去

実は訃報が知らされる数日前に、またZZtop熱が再燃してSpotifyでアルバム聴いたり、YouTubeでライブ映像を巡回しているところでした。
好きなものなら当たり前だと思うのですが、基本的に何回聴いても、何回観ても一切飽きない。なので、一定周期でこのルーティンを繰り返すのが習慣化していたりします。

なんでこんなにカッコ良いんだろう。

いちいち挙動がカッコ良すぎる。

フロントの二人のシンクロ率が異常にカッコ良い。

リズム体だけで既にカッコ良いし。


残念ながら日本ではそこまで人気無いんですよね…。(日本で知名度の高いBon JoviやMR.BIGなどの海外ロックバンドと比較して)
恐らく認知されてるは80年代、90年代にAORやポップスに接近した頃ぐらいじゃないんでしょうか。キャリアの割にあまり来日もしてません。
髭もじゃのおじさん達が物理的にギターを360度回転させながら、ゴキゲンな軽快な音楽を演奏し、MVには金髪ブロンドのおねーちゃん達とホットロッドな自動車達が登場する。多分、そんなイメージなんじゃ無いかと。
どっかの日本自動車メーカーのCMにも、コミカルでファンキーな出立ちで出演してましたし。

ZZtopとの出会い

私自身もZZtopとの出会いは、先輩に「Eliminator」という80年代に発表された音源を借りた事が始まりでした。
気持ち良い音楽だなぁと感じたものの、さしてハマる事も無くバンド名だけが自身の中にアーカイブされたぐらいだったと思います。

というのも当時の私はまだ20代前半、とにかく派手でヘヴィーでモッシュ出来て2ステップ踏めるような音楽が大半を占めていました。徐々にジャンルレスには音楽を聞く様にはなってきていたものの、まだまだ、10代のロックキッズ、メタル小僧の残像が色濃かった時期でした。

そんな私も30代に入って、本格的にZZtopの良さがわかるようになってきたのです。ジャズやブルース、カントリーなんかも聴くようになったからか、初期や00年代以降のZZtopのブルース路線はささりました。

やはり、音楽の聴き方がより根源的なものを求めるようになったからでしょうかね。無論、未だにHardcore、Techcore、djentなんかの新しい音楽も聴きますよ。ただ、新しめの音楽は今はジャンルを飛び越えたミクスチャーっぽいものが多くなってきてます。そういうのを分解して、一つの要素を掘り進めていくと結局行き着くのはルーツになる。
長くなりそうなので、この話はまた今度!

アメリカのブルース〜カルチャー

話を戻しまして
ZZtop自身は自分達の事を、”俺たちはブルースバンドじゃない。”とは言っているものの、根底にあるのはサザンブルースでその系譜だとわかります。

アメリカンブルースは、あくまでアメリカの日常生活が歌われたものだったりとか、かなり文化色の度合いが強い音楽だと言えます。

余談ですが、
昨日、彼女に振られちゃった。てへっ(泣)。
ていう日常感しかないものを曲中で延々言うだけの曲もあったりします。

ですので、他のアメリカンカルチャーと共鳴しやすいんですよね。
お酒だとビールやバーボンだったり、ブロンドでセクシーな女性、タトゥー、モーターサイクル、ホットロッドとか。

今の若い世代は、生まれた時から既にグローバルな世界観だったと思うので、限定的にアメリカンカルチャーという事で憧れを抱く事は少ないのかも知れません。
私の場合は、10代の頃にアメリカンカルチャー(主に音楽方面)に影響を受け、強い憧れを持ちました。全てでは無いですけど未だに好きですし。

カルチャー全般としてマクロ的に掘り進めていくと、やはり、ZZtopはある種、原点であり終点でもあるのかも知れません。彼らの存在はHyo2イッペイというキッズが憧れたものの象徴であり、カッコ良いのルーツを体現しているバンドなのかも知れません。

アメリカの国民的バンド

当然、本国では絶大な人気を誇っております。
SNSでR.I.P. Dusty Hillという内容を投稿すると、ZZtopというだけの理由で海外(恐らくアメリカ)の方から過去一のイイネをもらいました。その方達のアイコンを見ている限り、やはりアメリカンカルチャーって感じがします。

アメリカ人にとっては、ZZtopというカルチャーなんじゃ無いかと思います。


ZZtopの音楽

彼らの音楽はとてもシンプルです。コードも複雑に動きませんし、ブルース進行の曲も多いです。
でも異常にカッコ良いんだよなぁ、なんでだろう。

ギターのBillyの良い意味で自由奔放にルーズなギター、年齢と共にしゃがれてゲキ渋くなったボーカル。そして、リズム体は至ってシンプル。Frank Beardは正確に8ビートを刻んで、ベースのDusty Hillはバスドラに張り付いてルートを弾きながら、時に高音のコーラスワーク。

なぜかわからないのですが、ZZtopはBillyがギターソロに入っても、全然音に物足りなさを感じないんですよね。3ピースのロックバンドは、ギターが単音になると音が薄くなる印象を受ける事が多いんですけど。
それだけ、リズム体が素晴らしいという事でしょう。Billyも信頼しているからこそ自由奔放に弾けるのでしょうし。

なんだかんだ半世紀一緒にバンド活動してますからね。一度もメンバーチェンジすること無く。本当に凄い事です。
実質的なリーダーのBilly Gibonsは人格者として知られてますし、他のメンバーもインタビュー映像なんか観ていると本当に穏やかそう。最近は年齢もあって、好々爺にしか見えない(笑)。こんなイカツイ見た目なのにね。

いずれにせよ、この三人が集まってZZtopをやってきたのは奇跡でしょう。

Simple is the BESTを体現するベーシストDusty Hill

バンドという組織において重要度は高いのに日の目を見ない、ドラムとベースの二大パートですが、最近はそれも変化してきている様に思えます。

最近は女性ベーシストの活躍だったり、身体的や、音的にもド派手に動き回る系のベーシスト(ほぼ、ギターとベースの中間のような)の台頭もあって、ベーシストの地位は日増しに向上してきているように肌で感じます。

残念ながらドラムは相変わらずですが…。特に日本の住環境ではドラムは本当に難しいですよね。更にデジタルの発達でPCで音楽作るようになるとドラムを実演奏で撮る人なんかいないんじゃ無いかと思ったり。
個人的にはバンドで一番大事なのは、ドラムだと思うんですけどね。

ベースの話でした。
とにかく、ピロピロやペチペチするベーシスト達は視覚的にも音楽的にもマスに訴えかけやすいので、今後はそちらがスタンダードになっていくかも知れません。私もろくに弾けませんがベーシストの端くれとして、自らが操る楽器の認識が良い方に変わっていくのは良い事だと思います。
誰にも見られない、注目されないよりかは圧倒的に良いと言えるでしょう。継続していく上でのモチベーションにもなりますし。

そんな現代ベーシストの潮流とは対局にあるのが、Dusty Hillのベースだと思います。ほぼ前には出てこないし、ひたすらバンドサウンドを支えることに徹するベースプレイです。ハイフレットは使わないし、ソロなんかもっての外。3ピースという事と、やっている音楽自体も関係しているとは言えますが。

世界で最初のエレクトリックベース、Fender社TeleBass、センターにシングルコイルピックアップ一発のみという、潔いベースを弾く。バスドラに合わせてルートを弾く。曲中に音色を変えるエフェクトペダルは踏まない。

色々と突き詰めまくった究極形だと思います。

硬派です。

カッコ良すぎます。

やはり、自分の目指すべきベーシストの姿はこっちなんですよね。そもそもあまり複雑な事も出来ませんしね。
それにベースはシンプルな音であればある程、プレイヤーの素の表現力がもろに出ると思っております。
音が多くても表現力が試されて、逆に少なくてもその人の表現力で音が変わるという不思議な楽器です。

何一つ難しい事をしなくても、Dusty Hillの太くて丸っこい指から紡ぎ出される音は唯一無二です。世界一カッコ良いです。

ZZtopの絆

あまりキズナという言葉は好きでは無いのですが、それ以外に適切な言葉が思いつきませんでした。語彙力の無さが…。

Dusty Hillは去年あたりから体調を崩していたそうです。
肩と腰を痛めてしまって、今年はツアーを再開するも健康上の理由で途中離脱をしておりました。ここ最近で、離脱直前の映像がYouTubeで出回っているのですが、痛めた腰のせいか座って演奏している場面が多かったようです。フロント二人の動きのシンクロなんかも、ZZtopの醍醐味の一つなので、それが出来なくなったのはさぞかし本人もツラかったでしょう。

そして、Dusty本人の希望により長年バンドのギターテックを務めているElwood Francisがサポートベースとしてツアーを回ったみたいです。

Dustyは残念ながら逝ってしまったのですが、ZZtopは解散せずにElwoodをベースとした体制で活動を継続していくとの事です。

公式には発表はされていませんが、最後にDustyは託していったのかもしれません。

何も変わらない音楽

去年の無観客ライブハウスでの映像です。厳密には、Gruene Hallというアメリカ南部テキサスのダンスホールだそうです。1878年開業の歴史と伝統あるダンスホールで、バンドのライブあるよ、踊れるよ、お酒飲めるよ、ビリヤード台あるよという感じの娯楽施設になります。

"La Grange"は初期の名曲で、ZZtopを代表する曲の一つです。
当然、定番曲なので、数え切れない程演奏してきているでしょう。けれど、演奏中の三人の楽しそうな姿と言ったらもうね。サングラスで目元まではわからないのですが、多分、目線が合う度に凄い笑顔になってるんですよね。もう、本当に音楽で会話しているようだし、「なんか楽しいよな、おい」と聞こえてきそうです。

こんなおじいちゃん達が、まるで少年のような笑顔で音楽を、バンドでの演奏を楽しんでる。Dustyが逝った後に改めて見返すと、泣けてきました。

やっぱり、こういう事なんですよ。
これで良いんですよ。そして、これ以上は何も必要無いんです。

Dear Mr. Dusty Hill,
私もいつかそっちに行くことにはなると思うので、もし会えたら一杯奢らせて下さい。そして、できればベース教えて欲しいです(笑)。


そして、またこんなクソ長い長文投稿してしまってる。こういうとこがダメなんですよね。読む人の事まで考えが及んでいない。
でも懲りずにまた、同じ事やってしまうかも知れない。

全ては愛ゆえにという事で勘弁を。

この長文の最後までたどり着いてくれた方達に感謝を。

また、機会があれば尊敬するベーシストの話なんかを書いてみようと思います。

お読み頂きありがとうございました!


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