◆最近のヒット商品から見る販売戦略①◆ vol.031  2015/6/1

モノが売れない時代になっています。しかし、そんな時代でもヒット商品はあります。

もちろんヒットには様々な理由があると思います。時代の潮流に乗った商品だったり、タイミングが良かったり、などです。

今回は、売れているモノについて、少しブレークダウンして考えてみましょう。

マーケティング戦略では一般に4Pと呼ばれる分析手法です。

①商品力-products

・顧客が必要だと感じる商品である

・顧客の課題を解決する商品である

②適正価格-price

・価値と価格のバランスが取れている

・顧客が類似商品と比較して安いと感じる

③顧客へのリーチ-promotion

・ターゲットとしている顧客にアプローチできている

④販売経路-place

・自社の強みを生かした販売経路を持っている

・販路を複数持ち、代理店などを活用して

 販売にレバレッジを利かせている

では、より具体的に分析するため最近人気の”ライザップ”というフィットネスジムの販売戦略を分析してみましょう。

①商品力

・痩せたい顧客に対して、確実に痩せる、という商品を提供している

・運動習慣と食事改善をメニュー化して実行すれば確かに痩せる

・完全個室、プライベートのサービス

②適正価格

・数十万円掛かるものの、返金制度がある

③顧客へのリーチ

・芸能人が実際に痩せてTVCMに起用することで効果的に

 プロモーションしている

・ダイエットを本当にできるのであればお金を掛けても

 よいという層が存在しているが実際に痩せた人が宣伝する

 口コミ効果が大きい

④販売経路

・オンライン申し込み

・店頭申し込み

ここで疑問が出ます。あんなに芸能人をCMに起用して、事業は大丈夫なのかと。。。

しかし、ライザップのHPを見て、1点気づいたことがあります。どこの店舗も駅から5分以上掛かる場所にあります。店舗のコストが他社と比較して圧倒的に低いことが想像できます。

さらにライザップを経営している健康コーポレーションの情報を調べてみると原価率が非常に低いことが分かりました。

http://hcle01.com/?p=83

これまで、原価を落としても最大の価値が提供できるような商品を構築し、得た利益はその多くを宣伝広告費に充てることで、販売を拡大してきたと言えるでしょう。

ライザップから学ぶことはプロモーションではありません。原価を最小にした上で、他社にない商品を提供(完全個室のプライベート環境)したことです。

ライザップは、市場平均より高い価格でも顧客に受け入れられました。この事実を見ると、商品x価格のバランスを、どんな事業であっても、見直す意味があるということを示唆しているように思えます。

◆執筆者紹介◆山本広高 (BFCA経営財務支援協会 取締役)

群馬大学工学部大学院卒業後渡米し、フロリダ国際大学にてMBA取得。

外資系コンサルティング会社にてERP導入などITコンサルティングに従事。

退職後、経営財務支援協会取締役、株式会社THINCESS代表取締役に就任。

大企業から中小零細企業まで規模、業種を問わず、事業計画策定や、

サービス開発のプロジェクトに携わっている。

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