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見てもらえるのは1秒。

今回のタイトルを見て、何のことについてだと思っただろうか?
正解は広告のことである。

私はかつて「コピーライター養成講座」なるものに通っていたことがある。
大手新聞社が主催していたちゃんとしたカルチャー教室で、「コピーライター養成」とは銘打ちつつも、その実態は広告セミナーだった。
当時コピーライターになることを将来の夢の1つに挙げていた私にはやや拍子抜けではあったのだが、今となってはそれでこそ得たものは大きかったのではないかと実感している。
そこで学んだ中で現在の私の中に大きく根付いている教訓が2つあり、その内の1つが今回のタイトルにもなっている「広告を見てもらえるのはたったの1秒間」である。
もう1つについてもいずれ語ることがあるかもしれない。

「『たった1秒』ってそれこそ広告特有の大袈裟な言い回しじゃないの?」と訝しんだそこのあなた、街を歩いていて道の左右にある看板などに貼られたチラシが何秒間目に入りますか?
ね?
よっぽどその広告が大きいか、立ち止まりでもしない限りそんなもんでしょ?
一番長く見てもらえる可能性があるのが電車内の吊り広告……とかだったのも今やすっかり昔の話、現代人はスマホに首ったけで上を見上げたりはしなくなってしまった。
なので駅や電車内に広告を出すぐらいならWeb広告を、ってなるのも頷ける。私としてはぶっちゃけ歓迎すべき傾向ではないが、これも時代の流れ、致し方なしなのだろう。
つーか、歩きスマホマジやめろや。若者の大半が平気でしてるやん。誇張でもなんでもなく。
自転車乗りながらとか車運転しながらの奴らにはもう呆れ果てて言葉もない。事故るなら物損もせずお独りでどうぞ。

話が逸れた。
特に駅広告はなおさら無駄が多くて考え直すべきってことを言いたい。
駅広告こそ無駄の博覧会だと常日頃利用していて痛感している。
「エスカレーターは止まって利用しましょう」
エスカレーターを歩く人間がそんなの見るかよ。
「痴漢や盗撮は犯罪です」
そんなの奴ら分かってやってるから。そこにスリルや快感を感じてるんだから無意味。
「暴力はダメにゃー(by猫)」
人を殴るような奴がそれを見て踏みとどまるわけないやろ。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーッ!!
どうしてもやりたければ「◯◯した場合は懲役◯◯年または罰金◯◯円」的な文言をデカデカと書くだけにした方がいい。
そんな無駄な経費を遣うのなら、職員さんたちの賃上げに回してあげた方がよっぽどいい。
そうしたら運賃値上げ頻度も下がるのでは?

では今最も効果的な広告とは一体どんな代物になるのだろうか。
ズバリ1秒で全貌が把握できるもの、もしくはその後数秒間興味を惹き続けられるもののどちらかだろう。
そのために必要なのは、パッと見のインパクトである。
なのでごちゃごちゃと大量の小さい文字で埋め尽くされたものなど最低最悪愚の骨頂。
誰がそんなん全部読むねん。
プロたちが金と時間をかけて作っていてなんであの程度のもので溢れ返っているのか本気で理解に苦しむ。
危機感が足りなさ過ぎるんじゃないかなあ。

今回は広告の話をしたが、これはなにも広告に限った話ではない。
広義の意味においては「掴みこそ大事!」と置き換えてもいい。
現代人はとにかく忙しい。
その現代人の興味を惹こうと思うなら、1秒で引き留めるインパクトを心がけたい。
で、我々テキスト書きにどうしたらそれができるかというと、キャッチーなタイトル、それに尽きる。
言ってしまえばそれしかない。悲しいけどね。
でもなんにせよ、まずは足を止めてもらって、読んで、見て、観て、聴いて、試してもらわないと始まらないわけです。
そんなこんなで、今回は工夫しないでちゃんと見てもらうなんて土台無理だよってお話でした。

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