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今すぐ死にたいぐらいなら金を遣え。

私は約28年間にも渡って鬱病を患っていた。
克服できてから数年、幸いにも再発はしていない。
……と思う。
精神状態がろくでもないことになることは度々あるが、それが再発していることを示すのかどうか分からないからだ。
だが今のところなんとかやれているからには大丈夫なのだろう。
そう考えることにしている。

では私がいかにして鬱病を克服できたかについてお話しよう。


まず精神科医というものに疑問を持った
私はそれまでにありとあらゆる病院や施設に通い、カウンセリングを受け、薬を飲み、本を読み、治療法を試した。
何十人もの人に担当してもらい、相談した。
それでも月日ばかりが過ぎ、誰に何をされても一向に改善の兆しすら見えなかった。
24時間自分を責める日々。
……だが、本当に私だけが悪いのだろうか。
途方もないほどの時間を浪費してやっと、そんな疑問が鎌首をもたげた。

ふと医者から処方される薬の成分を調べてみることにした。
そして同じ成分が他の手段で摂取できないかとインターネットで検索しまくった。
欲しいのは抗ストレス安眠精神安定だ。
すると、市販のサプリメントで似たような成分のものがゴロゴロあるではないか。
私は藁にもすがる気持ちでそれらを買い漁り、どれをどう飲んでもいまいち効果のない医者の薬をこっそり飲むのをやめて、徐々に徐々にそちらへと切り替えた。
最初に効果を実感したのが亜鉛だった。なんだか精神が安定してきた気がした。
次にDHA&EPAだ。明らかに睡眠の質が改善した。
最後にGABAだ。こいつは頼もしいストレスバリヤーになってくれた。
こうして私は医者から処方される薬から卒業できた。

ならばもう医者やカウンセラーなどに用などない。
噛んで含めていくら話をしてもずっと暖簾に腕押しだった。
所詮他人は自分ではないことを痛感するばかりだった。
彼らはいかにも親身になって話を聞いているような印象を与えるが、過去の膨大なデータにこちらを当てはめて、そこから最適解だと判断したテンプレートのアドバイスを送っているだけだ。
私が「今日で通院をやめます」と告げた瞬間に医者が無表情になり、絶対零度の声で「そうですか」と返した光景を未だに思い出すことがある。
その時私は「ああ、医者も商売だもんなあ。『患者が減る=客が減る』なんだなあ」と目からウロコが落ちる思いだった。

が、そこからずっと順風満帆だったわけではもちろんない。
医者との縁を切ったことを激しく後悔するような負の感情の大波に飲み込まれるようなことが何回もあった。
なんとか踏みとどまったが、いよいよ「これはもうダメかもしれない」という所まで追い詰められ、命を断つことばかりを考えるようになった。
そうなった時、すさまじい無念に襲われた。

「私の人生とは一体何だったのか」と。


やりたいことがたくさんあった。
欲しい物もたくさんあった。
それらを我慢して将来のためにと必死で貯金していた。
だがここで人生を終えればそれが全て無駄になるのだ。
なんと馬鹿馬鹿しい。
死ぬぐらいならその金を遣ってやりたい放題やり尽くしてから死んでやる。
それからでも全然遅くはない。

自殺なんていつでもできる。


私は開き直った。
居直った。
その瞬間、視界がぱあっと開けた気がした。

今死にたいんだから将来のことなど考える必要がない。
タガの外れた私は堰を切ったように欲望を開放した。
欲しかった物をガンガン買った。
食いたい物を食い散らかした。
ずっと行きたかった所に行った。
やりたかったことをやりまくった。
世の中にはこんなにも楽しいことがあったのか。
今までの人生とは本当に何だったのか。
心底後悔した。
と、同時に喜びを知れて良かったと心底思った。

欲しい物を予約しまくったことによって先の楽しみができた。
行きたいイベントなんかもわんさかある。
今すぐには死んでやれなくなった。
その時点で預金額は半分以下になっていたが、底をつく前に踏みとどまれたのは僥倖だった。
これを機に私の人生は最底辺を脱し、超低空飛行ながらも現在まで至る。

あくまでこれは一例だ。
たまたま上手く行ったに過ぎない。
この方法で私と同じように上手くいる人もいれば、もちろん上手く行かない人だって多くいることだろう。
だが現状どん詰まっていて、少しでもなんとかしたいと思っていてもう他にその方法が思い付かないのであればやらないよりはマシなはずだ。
やらないのなら可能性はゼロだ。

そんなの嫌だ?
やりたくない?
おめでとう!

ならあなたはまだその程度だということだ。


「今すぐ死にたい」ほど追い詰められていない証拠だ。
他の方法をがんばって模索してください。
心から応援しています。

試してもダメだった?
力になれず申し訳ない。
とてもとても残念です。
……本当に全財産使い果たすまでやりました?
そうですか……。
その中に1つでも「これいいな」「楽しいな」「面白いな」「好きだな」って思ったものありませんでした?
もしあったのなら、死ぬ気で、生まれ変わる気でそれに残りの人生賭けてみませんか?
他の物は全部捨てて、好きなものに全力を注いでみましょうよ。

そのままだともったいなくないですか?
悔しくないですか?
今すぐ死にたいぐらいなら有り金全部遣いましょう。
死ぬまで死ぬほど楽しみましょう。
でないと死んでも死にきれませんよ?

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