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SNSと格闘技とトラッシュトーク


トラッシュトークとは

トラッシュ・トーク(英: Trash-talk)とは、スポーツの試合前の記者会見や試合中に汚い言葉や挑発で相手選手の心理面を揺さぶる、また相手の気を逸らすような会話で混乱させ、調子を乱させる作戦のことを指す。

トラッシュ・トークをする選手をトラッシュ・トーカー(Trash-talker)と呼ぶ。日本語ではビッグマウスも同様の意味で使われることが多い。
Wikipedia

トラッシュトークの移り変わり

SNSがここまで発展してしていなかった時代は、記者会見、各専門雑誌、映像などメディアを通して行われる事が多かった。
トラッシュトークを通じて試合に対してのストーリーを作るというのはプロとして仕事の一つであり、集客、関心どを高めるために必要不可欠なものでもあった。
現在はそれに加えてSNS、主にTwitter、YouTube、インスタグラムのLIVEなどでその作業をする選手が主流になっている。

何故そんな事をするのか?

一般社会の組織に置いて、これから物事を起こそうというタイミングで「お前の仕事っぷりはクソで、会社において邪魔なだけだ!」「あなたと結婚して、私の人生は大きく狂いそうだ。私のいう通りに行動すれば良いのだ。この甲斐性なしが!」
などと発言するのは大問題になるだけでメリットは無い。何故ならそこに第三者がお金を払ってまでその様子を観戦する訳でも無く、状況にもよるが、一定の長い期間人間付き合いというものが必要だからだ。まぁ、説明するまでの無い当たり前の事だが。

しかし格闘技は違う。第三者に注目される事が興行として必要不可欠で、特に技術が高い試合になれば、あまり格闘技に興味のない人達は感情移入出来ないまま、その高すぎるレベルの試合を訳の分からないまま汗水垂らして働いて手に入れたお金を無駄にし、見続けなければならない。現実問題、知らない選手が幾ら高いレベルの技術を見せつけても話題やストーリーを知らないと見る事もないだろう。

又、試合を行うに当たって選手間の心理戦の一つの要因でもある事も忘れてはいけない。

SNSを使ったトラッシュトークで変わった事

昔のようにメディアのみが情報源だった時代はメディアが舌戦を掲載し、それを読んだ格闘技ファン同士がそれぞれの想いを持ち、想像を膨らませながら、感情を昂らせながら会場に足を運び、TVを観戦し、熱い想いで応援し、試合後に少人数で語り合い、物語を後世に繋いでいく、という図式があった。因みにそこには情報元やタイムラグによって生まれた情報のズレもあり、今になり実はあの時は舞台裏ではこんな事が起きていた、というロマンもセットになってくるというのが特典だ。少し話がずれたが現場以外の人間が現場の人間に絡むという事などは夢のまた夢であり、ファン同士で言葉は悪いが勝手に気持ちを盛り上げられたのだ。情報が少ない時代の唯一の利点だろう。

しかし、現在はSNSの普及により、現場の人間が発言をリアルタイムで全世界に発信する事が出来る。そして第三者もそれをリアルタイムで見る事が出来る。なんならトレンド入りすれば興味が無かった第三者の目と耳にその発言が晒される。
これが上手く第三者を巻き込む事が出来ればその試合は注目されやすくなる訳だ。興行としても盛り上がる。盛り上がれば金が入る。金が入れば、選手に還元される(はずである)。還元されれば選手は環境を整え技術が上がる。その規模が大きくなれば格闘技ブームの完成となる訳だ。

現在のトラッシュトーク

先ほども述べた通り、試合を盛り上げる為にトラッシュトークというものは非常に有効であり、「盛り上げる」という事において大事な事だ。

しかしどうしても個人的に混じり合えない事がある。

SNSの性質上、そのトークに第三者が介入する事だ。当然である。憧れの選手が悪く言われればそこに介入したくなる。数百、数千人の介入があるのだ。そして、そこにはただの罵詈雑言も混じる。
もはや、今のトラッシュトークはVS「対戦選手」ではなくVS「対戦選手+そのファン、アンチ」に変わったのだ。

そこに人間の悲しき本質の一つが感じられる。
基本的に一定の数の人間は争いを心の中で望んでいる部分も潜んでいるのだ(勿論そうでない人間もいるであろう)。
そうでないとわざわざ大きな怪我や時には死という現象が起こる格闘技をこれほどの人々が娯楽として支持する訳が無い。
そんな人間が愛する選手の為にという正義を盾に自由に罵詈雑言を叩きつけるのだ。まぁ、昔からメディアがその役割を果たしていた部分もあったが。
時代がそうなっているのだから、仕方ない。
「上手く釣れた」と選手は前向きに捉えていくのだろう。

しかし私はそのグループには入らない。
私の憧れの選手が何の気もなく語った言葉がある。
「基本的には全てのアスリート、ファイターをリスペクトしている」
と。
この言葉は本人はいつもの想いなのだろうから、話題の中で何気無く放った言葉だが、個人的には深く刺さった。
彼も勿論盛り上げる為にトラッシュトークをする事がある。仕事だからだ。しかしそこには真剣な想いや、覚悟あっての言葉がいつも放たれている。

色んな考えを持って仕事に取り組む人がいるのは当然でそこは自由だ。
全員が同じ想いだと詰まらない。
ただ、少し格闘技が好きになればなる程、過度なトラッシュトークが飽きてきた。面白い、上手い選手もいるけどね。

結局は各々の楽しみ方はあるけども。

各々の楽しみ方で良いでしょう。
楽しみなカードも幾つかもう既にあるし、各々楽しんでいきましょう。
格闘技、盛り上がると良いですね。
ただ、ストーリー作りだけに必死になりすぎるとそのあたりのプロのプロレスの足音が近付いてくるぞー、という気がしてくるけども。あ、プロレスも好きだけどね。いつかプロレスも語りたい。

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