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『サブカルとは』 (『出版業界唯一の専門紙 新文化』コーナー『本を手渡す人』掲載記事)

(こちらは出版業界唯一の専門紙 『新文化』 2023年2月2日号に掲載された記事になります)

サブカルとは一体何なんだろう。「サブカルは死んだ」と耳にすることが増えた。その意見には個人的に同意したいのだが、そもそも「サブカル」とは?

 時代によって「サブカル」の意味や使われ方も変わってきた。私はサブカルをメインにした本屋を営み、勉強はしているが、いまだだによくわからない。

私はその文化や表現のなかに、何かしらの思想や矜持あるいは反抗的な態度が見え隠れするものが好きだ、それが人間臭ければなおよい。 
人間のあがきやいい加減さや勢い、そういったものがとても愛おしいし、手法や作家性、他作品・他分野への影響や関連性を考察したり、思想の受け継がれ方を調べるのも楽しい。

こういうサブカルがもし死んでいるとしたら、とても悲しいことだ。
今のカルチャーや表現、作品は関わる人が多すぎるからなのか、商業を見据えたものが多く感じる。そのためか多くの人にリーチできるように毒や反骨精神が抜かれ、噛みごたえのあるものが少なっているように見え、どうもハマることができない。それは自分が老害化した結果なのかもしれないが。
そういった個人的嗜好もあり、改めて過去の「サブカル」を掘り、流れなどを調べるのが最近の趣味だ。

現代は人間臭さやネガティブなものを極端に漂白する時代というのもあるだろうし、単純にマーケティングや可処分所得や時間の問題などもあるだろう。時代的に、より先鋭化し効率的になりすぎたとの見方もあるかもしれない。

様々な要因が考えられるが、かつての「サブカル」と私の過ごした「サブカル」と今の「サブカル」は、それぞれ定義も見方も層も異なる。いずれにせよずっと変わらない「サブカル」よりはいい。
 私がノリ切れないだけで、現代の「サブカル」にも実はそれらの系譜が見えてくるのかも。もしそうなら発酵させて10年後にもう一度掘り起こすのもいいかもしれない。

私はいまだに「サブカル」というものがわからない。


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