見出し画像

新入居者さんが来た初日の環境づくり

一般的に、4月は新しい入居者さんが増える傾向があるようです。春は新しい生活を始める方がいるように、介護が必要な方々も新しい環境を求めて施設に入居される方も増えます。

今回は「新入居者さんが来た初日の環境づくり」について、お話ししたいと思います。

新入居者さんの戸惑いはごく自然なこと

はじめに、新しい入居者さんが来た初日は「当たり前」を当たり前と思わないことが大切です。入居される前が自宅もしくは病院、別の介護施設でも生活リズムは違います。食べる時間も寝る時間もタイムスケジュールの全てが違うので、新しい環境にすぐ馴染めるわけがありません。

私たちも似た経験があると思います。例えば、旅行先のホテルの枕が違うだけで寝られなかったという方もいるのではないでしょうか。

枕の硬さ柔らかさが気になって仕方ない

枕一つで寝られないのだから、場所が変わって何もかも変化があれば誰でも戸惑うと思います。それは人だから当たり前の感情なのです。
「自分だったら」と想像することも大切なのではないでしょうか。

新入居者さんが入ったときの席替えは重要

入居者さんが入られたときの施設の環境づくりも重要だと考えます。それは、席替えを真剣に考えることです。
よくある景色かもしれませんが、新入居者さんが一人、入られるだけで、「いつもと違う」「雰囲気が変わった」と感じたことはありませんか?
私は学生時代の席替えと同じようにフロアーのテーブル配置も重要だと考え、いつもリスク管理なみに頭を悩ませます。

変えるのは席順を入れ替えるだけでも構いません。ほんの少しで大丈夫です。個人的な意見ですが、私はこれだけで※BPSDの症状を低下させると考えています。

※BPSD(認知症の行動・心理症状)
認知症の症状には、物忘れや判断力の低下等、脳機能の低下を直接示す症状である「中核症状」と、「中核症状」に伴って現れる精神・行動面の症状である「周辺症状」 に分けられる。「BPSD」は「周辺症状」とほぼ重なる概念である。

出典 厚生労働省

私の経験ですが、席の配置が変わったことで、利用者さんの精神状態が驚くほど変わったと感じた時がありました。席替えを侮ってはいけない思います。

新入居者さんの笑顔はスタッフのモチベーション

私は新入居の度に、ご家族に丁寧に対応いただきながら「ここに来て良かった」と思ってもらうためにはどうすれば良いのか考えています。

入居契約の時はご家族に大事な説明をしつつ、信頼関係を築くため、雑談を入れることを意識しています。全く関係がない話だからこそみえてくる本音もあります。雑談のなかにある背景からお気持ちを把握する。そうすれば利用者さん、ご家族の全体像を意識したケア方針を決められると考えます。契約はただの契約ではなく関係を構築するための場なのではないでしょうか。

そういえばある利用者さんのことですが、
新入居があった数日後、ご家族が面会に来てくださっていたときに、利用者さんがはじめて私に笑顔をみせてくれたことがありました。それをご家族がみて、「笑ったのがいつぶりかわからない」と有り難いお言葉をいただきました。

その言葉はスタッフのモチベーションをあげて、この仕事の魅力に繋がりました。私は利用者さんの笑顔に出会うたびに思います。

世の中でまだ介護業界に興味がない人でも働いてみれば天職になる人はいるはず。どうか振り向いてほしいと願っています。

2024.3.19  BIGBOSS小柴 編集:池森理恵

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?