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もらった時間を自分のものにしろ

まだ5年生の頃、腕を骨折をしたことがあった。まだ骨が柔らかい小学生の時期は、思いがけない事故を生んでしまうことがある。この間まで元気だったのに、突然大好きな野球の時間を奪われる。

きっと家でじっとしていられなかったのだろう。大好き6年生や仲間とグランドに一緒にいたい。ギプスをしたままユニフォームを着てベンチに入った。ところがいつもの自分と違い、みんなと同じように身体を動かすことができず、何をしたらいいのか戸惑っていた。試合後、練習を見学してた彼と話をした。

もらった時間を自分のものにしろ。

みんなのプレーをみて気づいたことを伝えたり、いろんな選手のいい所を探したり、やろうと思えばできることはたくさんある。

それからは大好きな上級生や仲間のために、せっせとバットを引いたり、ボールを拭いたり、それも楽しそうに励んでいた。どちらかと言うと控えめだった彼に積極性が生まれた。

1年後、最上級生となった彼は、4番の地位に苦しめられた。周りから結果を求められ、プレッシャーと戦う日々。

それでも毎日のように欠かさずにバットを持って近くの公園に素振りをしに出掛ける。そんな姿をお母さんはいつも見守っていた。自分ができることを続けるその時間は、泣き虫だった彼が強くなる時間になった。

だからいつでも僕は、ナイススイング!と声を掛け続けた。三振であろうがボテボテのヒットであろうが同じ言葉を掛け続けた。苦笑いしながら応えてくれる瞬間も僕にとっては心地いい。

ホームランもたくさん打った。なかでも6年生最後の大会で放ったランニングホームランは、今でも目に焼き付いている。外野にボールが転々する間、躍動してダイヤモンドを回る姿は、これまでもらった時間を自分のものにした瞬間で、最高に輝いていた。

その彼はこれから高校で、大好きな先輩とまた一緒に野球がてきる。どんな準備をしているのか、していないのか、知らない。でも時間は誰にでも平等にあることに気づけたら、きっとじっとはしていられないはずだ。スイッチは自分で押さなければならない。


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