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(C78) 中国の産業界では既に5Gに関する様々な試みを検討中-2 (2019.8.15) by (株)情報通信総合研究所 町田和久 より抜粋加筆しました。

⑶ ローカル5Gとの関係

中国移動、中国電信、中国聯通3社の第1期展開都市に省都でも大都市でもない河北省の「雄安」が入っていることが興味深い。

雄安新区は習近平主席の肝いりであり、かつての深圳や上海の経済特区に次ぐ新たな特区として計画が既に進んでいます。

そして、初めから5Gを前提としたスマートシティ構想を推進しており、既に自動運転のテストエリアなどとしても利用が始まっています。


特定エリアにおいて各産業で5Gを閉域で利用する「ローカル5G」向けの周波数については、
現在MIIT等で検討中です。

MIITが発表したワークプランによれば、
2019年12月までに30~300GHzのミリ波の利用計画が提案されることになっています。


⑷ 実際の中国の産業界では既に5Gに関して様々な試みが検討されています。

例えば、
①2018年4月に百度は、
中国電信と戦略的提携協定を締結し、5Gを含めエッジ・コンピューティング、自動運転、スマートホーム、AIなど様々な分野での協業を推進することとしました。


②2019年3月にJD(京東)は、
上海に5G物流パークを建設する計画を発表しています。
この物流パークは中国初となるもので、ロジスティクスと5G技術を統合し最適化しようとするものです。

同パークは、中国移動および中国聯通の共同で運営され、商品の保管、追跡、検査が自動化されるというものです。


③2019年4月に中国の鉄鋼最大手・宝鋼集団(Baosteel)は、
中国聯通との戦略的協力合意書に調印。
両社は、共同でIndustrial IoTの5Gアプリケーションに関するパイロット・プロジェクトを上海市宝山区の宝鋼集団の工場で実施します。

世界初の5Gベースの製鉄産業におけるIoTプロジェクトになるとアピールします。


5G展開における中国の状況は以下。
❶基地局の方式
①中国:新設を要するSA方式
(現在約60万元/基と、相当なコストが必要)
②米国、韓国、日本など:
従来の3G、4G設備に追加して使用するNSA方式

❷中国鉄塔が190万サイトの基地局数を保有。
(中国国内シェアの97%)

❸5G分野の標準必須(SEP)特許出願数のシェアは以下。
中国:34%
米国:14%
中国以外の国は中国に対して特許料を支払うため、コスト競争では不利になります。

❹通信速度
①米国の5G回線速度:
平均約300Mbps、最大値998Mbps

②ファーウェイ社が2019年9月に発売した5G対応携帯での実測値:978Mbps

現在、5Gの世界基準が確立していません。
10Gbpsの速度があって初めて、5Gのメリットが享受できます。

❺量子コンピュータが必要
情報量が高速・大容量となる5Gに現在のコンピュータは対応しきれないとされています。

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