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NCAA「大学を支える寄付の文化」

アメリカにおいて寄付は社会への貢献、人助け、聖書にある規律としてアメリカ社会で重要な意味を持ちます。ビルゲイツも多額の寄付を行うことで知られていますが日本との「税制」の違いもありアメリカでは寄付金は税金の控除項目として追加できますから税金対策の一面もあります。

今回なぜ「寄付」に注目したかというとNCAAに加盟する大学スポーツ局の売上のうち約半分近くをこの寄付金が占めるからです。
少し古いデータになりますが2015年の寄付金ランキングを見てみましょう。

Texas A&M University $66,987,139 (約72億円)
University of Oregon $53,698,089
University of Michigan $51,717,862
University of Texas at Austin $42,234,883
Texas Christian University $38,319,614
Kansas State University $34,369,836
Auburn University $31,739,556
University of Washington $30,730,210
University of Notre Dame $30,461,237
University of Kansas $28,934,681

トップのTexas A&Mは約72億円の寄付金を得ています。2019年現在年間200億円の売上をあげているTexas A&Mですが、売上の約40%を寄付金が占めているため大学側にとって寄付金をいかに多く集めるかは大変重要なタスクになります。2位のオレゴン大学は同大学卒業でナイキ創設者のフィルナイトが多額の寄付を行なっていることで有名です。(ナイキ大学と揶揄される事もある。。。)

攻めの寄付

全米屈指の名門校であるスタンフォード大学は少しでも多くの寄付金を募るためにインターンの学生を約10名ほど採用し、ひたすら1日中ネットサーフィンを行い、卒業生の情報をかき集めています。
経営する会社が上場し景気のいい卒業生に寄付の依頼を行ったり
亡くなった卒業生の家族の元に、「〜さんの名前を大学に刻みませんか?」と問い合わせるなど合理的かつ”攻め”の営業を行なっています。
日本では考えられないような事ですが、それほど寄付金が大学の経営にとって大きな存在と言える一つの良い事例だと思います。

NFLドラフト前に寄付を宣言

2010年にネブラスカ大学からドラフト1位でデトロイト・ライオンズに指名されたダムコング・スーはドラフト直前に260万ドル (2億8000万円)を大学に寄付することを宣言した事で話題になりました。まだドラフト指名も受けていない時点での宣言でしたが自身が受けた恩恵に対して次の世代に還元する事による恩返しを意味します。
その後200万ドルはStudent Athleteのコンディショニング支援に使用され残りの60万ドルは学位を取得した工学部の奨学金に寄付されました。

ネーミングライツ

アメリカのスタジアムなどでは施設全体の大きなものでなく個別にネーミングライツを持つことが一般的です。座席やロッカールーム、会議室、トレーニングルーム、監督ルームなどがその例です。

通常はスタジアムの建築費や改築費をどう集めるかが課題になりますが
アメリカでは寄付の文化の元、ネーミングライツや基金等でほとんどの建築費や改築費を賄えてしまいます。キャンパス内にあれほどの大きなスタジアムを建築できるカラクリは「寄付」にあるのです。

まとめ

大学スポーツの収益構造が他のスポーツに比べて違う部分は
「寄付」にあると思います。
意外と知られていない事実ですが、多額の寄付を集められるのはスタンフォード大学のような攻めの営業を行なったり、マーケティング部門がきちんとした体制を整えることであれほど寄付を集めることができるのです。
無論寄付する側も嫌々寄付するのではなく、ある種寄付を行うことは名誉でもあるのです。前途ご紹介したスタンフォード大学のある寄付分野ではウェイティングリスト(寄付に待つとかあるんですかという感じですが。。)
があるなど寄付したくてたまらない人がいるのです。
そのような事実は日本人の私からしたら不思議で仕方がありませんが
アメリカ独特の文化とはいえ、見習うことがたくさんありますね。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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