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The atmosphere - もうすぐSUGOツーデイズ- エンデューロ日記 No.28

来週、2021年11月21-22日、SUGOツーデイズが宮城県のスポーツランドSUGOで開催される。地元、村田町の協力を受けていることから、昨年から「村田SUGOツーデイズエンデューロ」というのが正式名称になった。JEC(MFJ全日本エンデューロ選手権シリーズ)の最終戦。今季は、最高峰のIAクラスをはじめランキング争いが白熱していて、個人的にもその行方に強い興味を持っている。飯塚翼Shercoと、保坂修一GASGASは僅差で最終戦に臨む。また、3位、4位争いも僅差。内山裕太郎Yamahaと太田幸仁KTMはどちらも緊張してのSUGO入りになるはずだ。

チャンピオンと2位の差は、わずかという見方もできるし、天地ほどの差があるとも言える。それには及ばなくても、3位と4位の差も大きい。内山、太田ともに、スペシャルテストで競うクラシックエンデューロを専門にし、ISDEの経験も豊富なライダーで。彼らがプライドをかけて競う舞台としてSUGOはふさわしい。


ランキング争いとはかかわりの無い、いや、すべてのライダーにとって、SUGOは取り組み甲斐のあるチャレンジングな2日間競技だ。

パルクフェルメ方式で、長いシングルトラックの移動路を持ち、それぞれに性格の異なる3つのスペシャルテストでタイムを競う。スケジュールの最後にはモトクロス形式のスペシャルテストである「ファイナルクロス」まで用意されている。それは2日間で再現されるISDE、「2日間のシックスデイズ」と形容できる。伝統的なエンデューロの基本的な構成要素をほぼすべて備え、アマチュアのために日本で再現されたISDEなのである。


dirtNPさんによるSUGOツーデイズ。静かな時間の流れがよく描かれている印象的な3分間。


日本にいながらにして、ISDEを経験することができる。この2日間に参加するライダーは、エンデューロライダーとして、得難い幸運に遇されているといっても言い過ぎではない。

SUGOの2日間競技が始まったのは2003年である。1990年代前半から、数名の熱心なエンデューロライダーたちが、自力でISDEへの個人参加をおこなっていたが、その一人であり、当時、スポーツランドSUGOの職員だった藤原広喜が中心となって、SUGOでのエンデューロ開催を企画した。

スポーツランドSUGOの広大な敷地をフルに活用すれば、一般道路を使用することなく、ISDEのように移動路とスペシャルテストを組み合わせた競技ができる。

日本から世界に通用するライダーが育つ土壌になるように、という意図は、最初の大会から競技形態に反映されていた。ISDEとほぼ同じルールで、パルクフェルメ方式を採っていた。また、特別ルールとして、初日夕方のワークタイムおよび2日目朝のワークタイムでタイヤ交換を行うと、前後タイヤ1本につき60秒のボーナスを得ることができた。これはこのSUGOツーデイズが、「ISDEライダー養成教室」として企図されたものであったことを示すものだ。

SUGOツーデイズには、当時、まだ個人的な取り組みとしてISDEに参加していたライダーたちが多く参加していた。彼らは、ロールモデルあるいは先輩、教師としての役割も担っており、3月のまだ寒いSUGOのパドックには、あるいはISDEもこうか、と思わせるような空気感があった。夕方のワークタイム、朝のパルクフェルメの緊張感は、すべてのライダーにエンデューロという競技でだけ味わえる何かを提供する場所だった。

それは今も継承されているはずだ。どの時代、どの場所で行われても、この基本的な競技形態が維持されている限り変わらない。それがエンデューロの普遍性である。

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