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切なくて美しいその世界は、限りなく青に近い黒。

星がめぐる微かな音のする、真夜中。

囚われたのは、私なのか、あなたなのか。

いにしえ、月の女神は穢土に棲まう男に恋をした。生まれては必ず死するさだめの人間の男に。

嘆く女神は希う、老いるを知らず死ぬるを知らぬ永のいのちを。

そうして男は繋がれた。

永遠のいのちと永遠の眠り、朽ちることも果てることも許されない抜け殻となって。

女神は夜ごと訪れる、愛しい男の眠る場所。折り重なる互いの熱を、夢の汀で糾うために。

女神はセレネ、眠るはエンデュミオン。

決して、私とあなたではない。

それなのに…。

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