コペンハーゲン式デザイン思考を用いて、今何故か流行っている「旅行サービス」を考えてみた


Studio Optさん主催「コペンハーゲン式デザイン思考を学ぶ!1dayワークショップ」に参加してきました!

ワークショップでは、デザインスクールの名門CIID(@コペンハーゲン)出身のKiuraさんを始め、Taishi Kamiyaさん、平野友規さん、田端 俊也さんの4名が講師となり、コペンハーゲン式デザイン思考を用いて、今何故か界隈で流行っている旅行サービスをアウトプットしました。

ワークショップの他の参加者が既にレポートや感想をnoteに書いているので重複する点もあるかと思いますが、僕の方では調査からコンセプト設計までのより具体的なプロセスを中心にレポートをしていけたらなと思います!いざっ!


前置き

本題に入る前に、「コペンハーゲン式デザイン思考って何?」に一言で答えると、「人々を中心にデザインする」ことです。他のデザイン思考との違いは、ユーザーを巻き込む(プロダクトやサービス設計において実際のユーザーにプロジェクトに入ってもらい共創する)ことでした。一般の生活者が国や企業のサービス設計に前のめりに参加してくれるデンマークのカルチャーが根底にあるみたいです。豊か。

ということで、1チーム3人に分かれ、「旅行」というお題でワークショップの始まりです。ざっくりとした流れは

①テーマ設定
②調査
③分析
④提供価値の定義
⑤ソリューション化

といった感じで調査や分析を通して課題を定義し、それを解決するための提供価値を考え、具体的なサービス案に落とし込みました。


テーマ設定

まず最初に、「旅行」といってもかなり漠然としているので、

①「旅行」という言葉から思いつく単語をポストイットに書き出す
②メンバー内で共有を行いグルーピング
③その中からチームで特に気になったワードを選定

といった流れで、「テーマ」を具体化していきました。
僕らの班では、「旅行の計画って結構大変だよね」という話で盛り上がったことをきっかけに、「人々はどのようにして旅先を決めているのか」というテーマを設定しました。(※後でわかったことなのですが、多くの班が「旅行の計画」的なテーマを選定しておりました笑)


調査

次に、先程決めたテーマの深堀りに向け、インタビュー内容の設計を行いました。僕らでいうと、「人々はどのようにして旅先を決めているのか」を知るために、下記の質問を用意しました。

①最近行った旅行先はどこですか?
②その旅行に行ったきっかけは何ですか?
③その旅行先はどのようにして決めましたか?
④その旅行先を選んだ決め手は何ですか?

そして、いよいよインタビューの実施!

(※インタビューの対象者は他のチームの方で、役割をローテーションしました)

講師からは「インタビューは証拠集めではない。目的はインスピレーションを得ること」というアドバイスを頂きました。確かにこの時点で「きっとこうなんだろうなあ」という思い込みが自分の中にあったので、インタビューでは自分が欲しい答えをもらうために誘導しないよう気をつけました。

以下、インタビュー内容のサマリになります。

Aさん(20代女性)
「母親とのんびり過ごしたい」とふと思ったことをきっかけに旅行を計画。リゾート風な過ごし方がしたいと思い、東京から2時間以内(その時は1泊2日という制約があったため)で行ける海、プールをGoogle検索。その中でお台場と大磯が候補地として上がり、後は周辺のホテルをインスタと公式サイトを行き来しながら探し、母親と相談した上で大磯のホテルを予約した(決め手はリゾート感?)。旅行は誰かと一緒に楽しみたいので、1人で行くことはない。ただ、リラックスしたい、無駄なストレスを感じたくないという思いが強いので、お互いを理解している人(主に家族か恋人)としか旅行には行かないし、計画自体も手軽にやりたい。
Bさん(20代男性)
①長期休みが近づいたことをきっかけに、彼女に旅行へ行こうと提案。たまたまマイルが溜まっていたので飛行機で行ける場所で候補地を探し、北海道、香川、福岡の3択に絞った。その中で、日数(2泊3日)の問題で北海道を削り、福岡は特に気になる観光地が見つからなかったことと、ずっと行きたいと思っていた直島(香川)のホテルの空室を発見したので、香川に行くことを決めた。

②定期的に行っている同期旅行では1人のメンバーが日程調整、行き先候補の洗い出しと提案、ホテルの予約をしてくれるので、自分は基本的にリアクションするだけで良かったし、旅行自体とても楽しかった。行き先はそのメンバーとなら基本的にはどこでも良かったので、皆が行ったことがない場所に決まることが多かった。だが、いつも旅行計画をしてくれていた同期が転職してしまったことを機に、その同期旅行自体がなくなってしまった。また同期旅行に行きたいとは思っているが、中々計画しようとは思わない。


分析

次にインタビューで得た気づきをポストイットに書き出し、チームで共有した上で、インサイトを探りました。

元々チーム内では「旅行には行きたいがどこに行ったらいいかわからない等、旅先を決めるコストの高さが課題なのでは」という仮説を持っていたのですが、AさんもBさんも割とすんなりと決めていたということを踏まえ、課題は「旅行計画を推進するコストの高さ」にあるのではという話になりました。(※あくまでn=2ですが)

特にそう感じさせたのは、Bさんの「定期的に行われていた同期旅行が推進していたメンバーがいなくなった途端に無くなってしまった。同期と一緒に過ごす時間、旅行が楽しかったし、また行きたいと思っているが、自分では中々計画しようと思わない。」という発言でした。

これらを踏まえ、僕らのチームではインサイトを下記のようにまとめました。

・人々は旅行において、どこでもいいという訳ではないが、場所に対してのこだわりはそこまで強くなく、どちらかというと、漠然としたテーマ(同行者と一緒に楽しめるか、気分転換になるか等)と制約(日数、予算)に沿っているかを重視する。

・人々は旅行計画においてざっくりどこに行くかは選択したいが、その他の細かい作業(行き先、ホテル、移動手段候補のリストアップ、同行者のコンセンサスを得る、予約、集金など)はやりたくない。

旅行計画を推進することで得られるメリットが小さい且つ、そもそも旅行計画にかかるコスト(参加人数に比例)が高かったり、万が一その旅行が楽しくなかったら自分の責任になったりとデメリットが大きいことが旅行計画に対して中々乗り気になれない要因なのかもしれません。かといって、丸投げが良いという訳ではなく、ある程度の納得感と旅行計画した感は欲しいんだなあと感じました。わかる。


提供価値の定義&ソリューション化


「では、どうしたら旅行計画を推進するコストを抑え、簡単に旅行に出発できるか?」
この問いに対するアイデア出しを行います!

なんですが、なんとここにきて「各チーム1名を残して別チームへと移動して下さい」という指示が出ました。

正直最初は半信半疑だったのですが、先入観のないメンバーが入ることによって、新しい視点、アイデアを得ることができたり、自分達のチームが積み上げてきたものをフラットな視点で見てもらえたりと沢山のメリットがありました。結果、40~50ぐらいアイデアが生まれました。(下記一部抜粋)

・旅行計画代行サービス(ペコッターの旅行版)
・グループメンバーのインスタのいいね!履歴から旅程を作成してくれるAI
・福袋型旅行(当日までどこに行くかわからない旅行、日程調整と予算を決めるだけで旅行に行ける)
・現実から脱出旅行(↑にリアル脱出ゲームの要素を加えた旅行)
・投票型旅行(botが旅行プラン複数提案してくれ投票で旅行先を決める)
・Uber版バスツアー

ブレストが終わった後は元のチームに戻り、投票で最も良いと思うアイデアを選定しました。


最後に、アイデアを実際のサービスに落とし込むためのコンセプトマップを作成しました。コンセプトマップには、サービスのコンセプト、想定ユーザー、ユーザーにもたらす価値、ユーザーシナリオ等を模造紙に書きました。

僕らの班では「LINEグループに専用のbotを入れるだけで旅行計画から精算までの全てがLINEで完結する」サービスを考えました。(※ズボラ旅臭がしたらそれは気のせいです)

サービスのコンセプト
旅行計画を代行してくれるLINEbot

想定ユーザー
お金はあるけど時間がない人(20代後半~30代前半)

ユーザーにもたらす価値
参加人数、日程、予算、テーマ(リラックスやアクティブなど)を投げるだけで、旅程の提案から清算をしてくれ、後は集合場所に行くだけで旅行に出発できる

ユーザーシナリオ
①LINEグループにbotを入れる
②botに参加人数、日程、予算、テーマを投げる
③botが上記の条件を踏まえ旅程を複数提案してくれる
④グループメンバーの投票で旅程が決まる
⑤LINEPayで入金する
⑥旅行当日に集合場所に行く(完)

いざ発表!

「旅行の計画」というテーマを設定していたチームが殆どだったにも関わらず、最終成果はどこもバラバラでとても面白かったです。


感想

「Build、Test、Repeat」is 大事!楽しい!
冒頭では省略したのですが、CIIDが大切にしているマインドの1つに「Build、Test、Repeat」というものがあります。「さっさと作って試して振り返りをしてまた作ってを繰り返していこうね!」ということだと解釈しているのですが、今回のワークショップではこのマインドの重要性を1番に感じました。例えば、「旅先を決めることにかかるコストが課題なのでは」という仮説がインタビューを経て引っくり返されたのですが、引っくり返しを受け入れずに1つの仮説にこだわったり、検証をずるずる後回しにして後半で引っくり返されていたら、恐らく最終アウトプットまで辿り着かなかったと思います。検討にかける時間とのバランスが難しいですが、「検証」と「振り返り」のスピードはアウトプットの精度に大きく影響を与えるのだなと感じました。

安西先生、もっと豊かに、ポジティブにデザインしたいです。
ビジネスが絡んでなかったからかもしれないのですが、凄いポジティブな場だったんですよね。誰かが意見やアイデア出しをすると、「いいね!」とか「面白い!」とか「そのアイデアに乗っかってこんなの考えてみた!」など。帰り道にご一緒した参加者(デザイナーさん)がぽろっと「今日楽しかったなぁ。日頃の業務で似たようなことやってるはずなのに何が違うんだろう」と呟いていたのが印象的でした。わかりみ。会社は慈善活動ではなくビジネスを行う団体なので、1つのサービス、UIをとっても「何故やるのか?」、「それをやるとどんな利益があるのか?」、「本当にそれなの?」等の指摘が入る。その指摘自体はむしろ必要だと感じている派なのですが、それが明後日の方向にエスカレートして論破やマウンティングに近しいものになっているんじゃないかとも思いました。綺麗事かもしれないのですが、「いいね!やってみよう!」とか「もっとこうした方が良いなと思ったんだけどどうかな?」のようにフラットに物事が進められたら、幸福度が上がるんじゃないかなーなんて思いました。優しい世界なのか甘い世界なのか。でもデンマークはこんな世界みたいですね。


以上になります!Studio Optさん、講師の方々、そしてワークショップに参加する機会を下さった坪田さん、本当にありがとうございました!!!


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ヒビッキー

旅行サービスのUXデザイナーをしています。ポケモンが好きです。https://twitter.com/hibiki0r

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