テクノロジーでPRの業務効率はどう変わる? ~ 広報・PR系SaaSを集めてみた
PR Tech局の宮澤です。今回、「テクノロジーでPRの業務効率はどう変わる? ~ 広報・PR系SaaSを集めてみた(前編・本記事)」、「PRパーソンとしての付加価値を高められるPR×テクノロジーのキャリアとは(後編)」という2つのテーマで記事を書かせていただきます。本題に入る前に、簡単に私の職歴を紹介させていただきます。
PR業界におけるテクノロジー活用の現状について
2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けたガイドライン」を取りまとめたことを契機に、業務のDX推進は様々な業界で進んでいます。
しかし、広報・PR業界では、依然としてアナログな手作業や、担当者の経験や感覚に頼らざるを得ない業務も多いのではないでしょうか。
当社では、広報・PR担当者が行う業務を、➀プランニング、➁リレーション、➂作業 の3種類に分類しており、➀プランニングと➁リレーションを「人間が創造性を発揮し、アイデアを生み出すことに注力すべき業務」と位置づけています。
一方で、「記者リストの作成」「リレーション管理」「プレスリリース・案内状配信」「クリッピング」「レポート作成」などの業務は、➂作業 に分類しています。必要な業務ではあるものの、処理に時間や労力がかかり、これらの業務を日々こなすことに追われてしまいがちではないでしょうか。
そして、この③作業 に分類される業務を自動化・効率化し、➀プランニング、➁リレーション業務 にどれだけ多くのリソースを割くことができるかが、広報・PRの担当者が生産性を向上させる上で重要であると、ビルコムでは考えています。
③作業 の業務を自動化・効率化する上で欠かせないのが、テクノロジーの力を活用したSaaSの利用です。
下記は法人向けITソフトウエアのレビューサイト「ITreview」が毎年出しているIT/SaaSのカオスマップです。マーケティング領域では、「アクセス解析」「MA(マーケティングオートメーション)」「広告運用」「サイト改善」「メールマーケティング」等のサービス数が多く、広報・PR領域に特化したテクノロジーを活用したサービスは少ないのが現状です。(2023年8月時点)
しかし、近年広報・PR業界でもテクノロジー活用の動きが活発化し、状況が変わってきています。実はIT/SaaSのカオスマップに掲載されていない、広報・PR担当者向けの様々なSaaSが登場しているのです。
■クリッピング・効果測定系SaaS
PR Analyzer(https://www.pranalyzer.jp/)
PR Times Web クリッピング(https://prtimes.jp/webclipping/service/)
Meltwater(https://www.meltwater.com/jp)
PR オートメーション(https://pr-automation.jp/)
Prasy(https://pr-asy.com/)
@クリッピング(https://www.atclipping.jp/)
Qlipper(https://qlipper.jp/)
■リリース配信系SaaS
PR TIMES(https://prtimes.jp/)
Digital PR Platform(https://digitalpr.jp/)
PR-FORCE(https://www.pr-force.biz/)
アットプレス(https://www.atpress.ne.jp/)
PressWalker(https://presswalker.jp/)
共同通信PRワイヤー(https://kyodonewsprwire.jp/corp/)
ValuePress(https://www.value-press.com/)
HARVEST(https://harvest.site/)
広報太郎(https://kohotaro.jp/)
■採用広報・その他 SaaS
TalentBook(https://www.talent-book.jp/)
CLUOD PRESS ROOM(https://top.press-room.cloud/)
上記は一例ですが、既にテクノロジーを活用した広報・PRの業務を自動化・効率化するSaaSが20以上存在しており、その数は年々増加しています。
PR×テクノロジーでクリッピングと効果測定を支援する「PR Analyzer」
私が担当している広報・PR担当者向けSaaSは、「PR Analyzer」というクリッピングと効果測定に特化したサービスです。現在200社以上の法人に導入いただいており、マスメディアからSNSまで網羅性の高いクリッピングと、「リーチ数」など9つの指標を用いた効果測定が可能です。
前述のスマイルカーブの図で、③作業 に分類される業務のひとつとして「クリッピング業務」があります。この業務を自動化し、さらにクリッピングしたデータにもとづく効果測定をPR Analyzerでは支援しています。
効果測定におけるSaaSの活用については、AMEC(国際的なコミュニケーション効果測定・評価協会)が提唱するPRの効果測定に関する「バルセロナ原則3.0」でも言及されています。以下の原則2の中で「ツールの選定」という記述を確認できます。
バルセロナ原則の詳しい解説は以下のブログで紹介しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
効果測定においてSaaSの導入自体は目的ではありません。しかし、広報・PRの効果を改善するために、SaaSを活用して効果測定に取り組むことがグローバルで一般化してきていると考えられます。
その他、効果測定以外にも、広報・PR担当者向けのSaaSは増えてきており、それに伴いPR業界でもテクノロジーに関連したキャリアを築く方も増えていくことが予想されます。
後編では、「PRパーソンとしての付加価値を高められるPR×テクノロジーのキャリアとは」というテーマで、PR×SaaSの組織で働く魅力や、広報・PRの業務とSaaS運営の業務の違いについてお伝えします。是非後編もご覧いただけますと幸いです。
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