【イベントレポート】あたりまえをアップデートしよう~新しい「性」の捉え方~

11月11日(日)、billage内にて、NEWRON株式会社主催の「人権啓発アイデアソン~若者から「性のかたち」を捉え直す」が開催されました。

今回のイベントは10月14日から「SNSを活用して性的マイノリティに関する正しい知識を普及できるコンテンツの考察」をテーマに集まった総勢40名の学生を中心にアイデアソンが行われ、本日はブラッシュアップしたそれらのアイディアを審査する審査会として開催されました。


まずは登壇者兼審査員の麻倉ケイトさんの講演からスタート。

小学2年から、心と体の性別の不一致に違和感を覚えながらも、ずっとそれを隠し男性アーティストとしてデビューしたが、平成21年にカミングアウト。性同一性障害を乗り越えた花嫁モデルとして注目を集め、世界同時公開予定のハリウッド映画で女優としてのデビューが決まっている。


女性として生きる

男性の体に女性の心を持つ麻倉さん。自分がトランスジェンダーだと気づいたのは物心ついた時のことでした。

麻倉さん
「周囲の人たちは普通に、例えば男性として生きていたらある日突然自分は女性の心を持っている、と気づく人たちが多いのですが、私は物心ついたころ、幼稚園より少し前くらいから『母親のように育つんだ』と思っていました。すると、小学校の時の制服やランドセルの色分けで自分がお父さん側の人間なんだ…といざ向き合ったとき、ガーンっていう気持ちでした。男性の体という棺に閉じ込められたような…。
どうしたらいいのかも、自分の正体さえも小学校1、2年生のころにはわかりませんでした。今まで思っていた自分じゃなかった。とてもショックでした。
小学校2年生の時に好きな人の話を友達としていた時も、自分の好きな人は『○○君』と男子の名前を挙げると、『お前それおかしいねんで。』といわれました。その時はどうしてなんだろう、と逆に疑問に思っていました。だけど、それを言うと周りからいじられだして…からかわれたり、自分の主張を受け入れてもらえなかったり、それがきっかけで、自分は隠し事をしなくてはいけないんだ、と、とても辛くなりました。」

親にも先生にも受け入れられず、周囲からもからかわれてしまい…環境を変えるために、中学校から大阪に引っ越しました。しかし、そこでも小学校の時と同様に周囲からからかわれ、学校へ行くのがつらい毎日でした。

しかし、そんな中で麻倉さんはあるものに出会います。それは「ダンス」でした。

麻倉さん
「ダンスで打ち込むようになってから、学校に行くのが嫌だな、という日でも『学校が終わればダンスが待っている』と思えるようになったので、学校でも頑張れるようになりました。何でか、というと、ダンスをしている間は学校外の人やいろいろな年齢の人と性別ではなく『ダンス』でつながっていたからです。『ダンスが好きだから』。そういう集まりだったからこそ私は救われました。」

ダンスにひたすら打ち込み、ダンサーとして活動をしていた麻倉さん。その後歌の世界へと転向し、海外でも人気のアーティストになった麻倉さんでしたが、本当にこれでいいのか、と疑問に感じました。

麻倉さん
「自分のやりたかったことをしても、どんなにファンが増えても、自分の性別のことがずっと引っかかっていました。本当の自分を隠してバラエティ番組やテレビに出ても、今まで自分の言動を隠すということに注力していて、暗い人だと認識されて、そのまま仕事がどんどんなくなっていきました。どうしてこうなってしまうのか…、と自分のことが嫌いになってしまって、自信がなくなって、そのまま引きこもってしまいました。」

このままではいけない、と事務所の社長にも助けられながら何とかしようとして、少しずつ前向きになりました。しかし、やはりずっと心に引っかかるのは「性別」のこと。それならば、と麻倉さんはこう続けます。

麻倉さん
「この違和感を歌詞にしようと思いました。自分では言えないこと、できないことをさらけ出して強くいきたい、ということを別の人物、主人公に置き換えて表現しようと。その時たまたまテレビのオファーがあったので、テレビで歌わせてもらったら、すごく反響がありました。性別のことではないにしろ、悩み事をもっている人たちから励まされた、とたくさんの言葉をいただきました。」

けれど嬉しくなかった。他人をはげませても自分ができていない、というところで嘘をついているような気分になったのです。そう思って歌が歌えなくなって、自分を傷つけて、悩んで…。自分の本当のことをカミングアウトすることが怖くてたまらなかったのです。

2年ほどたって、どうしても耐えられなくなって、麻倉さんはついにカミングアウトをしました。一番信頼を置いていた、母親代わりの社長に。すると、社長はすんなりと受け入れてくれました。

麻倉さん
「このとき、一人でも自分のことを受け入れてくれる人がいるだけでこんなに強くなれるんだって感じました。」

受け入れてくれる人が一人でもいた。そう感じて、麻倉さんは公の場でのカミングアウトを決意しました。ファンの前でのカミングアウト。そこで浴びせられたのは、応援の声でした。

麻倉さん
「『そんなの関係ない!』『僕たちは女性だからとか男性だからとかでケイトさんを応援してるんじゃない。ケイトさんだから応援しているんだ!』というファンの声にすごく後押しされて、同じ一生なら自分らしく生きなきゃ損だな、と思えて、すごく前向きになれて、人生が変わりました。」


少しずつカミングアウトをしていき、障壁を乗り越えながらも次々と夢をかなえていき、今では歌手として女優として活躍している麻倉さんはとてもかっこよく見えました。これからも自分らしく挑戦していってほしいです。



さて、ここからはいよいよアイデアソンのプレゼンです。

評価基準はこちら。

共感性(いろんな若者の心に響くメッセージ性があるか)
実現可能性(実行ができるアイデアかどうか)
話題性、持続性(拡散されやすそうか、長期的に話題になるか)

以上です。

10分間のプレゼン準備の後、プレゼンの開始です。まずは肉民 チームから。


大阪ALLY急増中!

僕たちはこの一か月間、「大阪ALLY急増中!」というキャッチコピーの元活動していました。

今、LGBTの当事者は自分がセクシャルマイノリティであるとカミングアウトしようとしても、どんな目で見られるかわからないという恐怖があり、また、ストレート(LGBT非当事者)の人たちは自分の周りに当事者はいないと思っている人が多い、という現状が無意識の差別意識を生んでいる現状があります。

それに対してLGBTの支援意思「ALLY」を広めていこう、という解決策を考えました。

しかし課題もあります。LGBTの人を支援したいという意思を持っていても、周りにはわからないのです。それを伝えるためのツールが不足しています。

もっと気軽に支援の意思を表明したい、ということで、まずターゲットを普段あまりLGBTに関心がないであろう大学生に絞り、コンテンツとしてLINEスタンプを考案しました。

日常生活で頻繁に使う、女の子が使用したいと思うかわいいデザインと関西弁、一部がレインボーのさりげないデザイン、という3つの特徴があります。

効果として、SNS上で使用することで「そのスタンプかわいいよね!」から始まる会話でカミングアウトのハードルを下げることを期待しています。


次にチーム インスタ映えの発表です。


性のカタチは2通り!?くだらない常識なんて消してしまえ

現状の課題は、非当事者は、男性女性以外の多様な性が認知されていないのでは?と考えています。たとえ認知されていても、考える機会もないのではないのでは。逆に当事者にとっては性についてなかなかカミングアウトしづらいのではと思っています。なので、「カミングアウトしやすい環境を作ろう」というところに目標を置きました。 

ターゲットは高校生です。学校内という狭いコミュニティの中でしか生活していないので、悩んでしまうのではと考えたからです。また、思春期、という時期で恋愛に関して悩みやすい時期なのでは、と思いました。

そこで、男と女以外の性もあるんだよ、と知ってもらうため、「性のカタチは2通り!?くだらない常識なんて消してしまえ」というフレーズを考えました。

具体的な性の多様性を知ってもらうための方法として、ポスターとクリアファイルにしようと考えています。ポスターは教室などに掲示して常に目に付くようにし、クリアファイルで学校以外の場所で目に入るようにします。

ポスターの啓示は府立高校の教室に張ってもらい、キャッチコピーを伝えます。実際の当事者の声もフレーズとして載せたいです。クリアファイルは1000枚を学校前で配布。ポスターよりも具体的な内容を載せ、SNSでシェアしてもらったり、自分たちでも拡散していこうと考えています。


次にNORI×3 チームの発表です。


無意識の可視化

私たちのコンセプトは「無意識の可視化」です。このコンセプトを通して、性別という区切りではなく、1人の人間として相手のことを捉えられる社会の実現を目指していきます。

しかし、現状大小さまざまな課題があります。私たちはそれを「身近感の不足」としました。その根源には知識の不足と当事者意識の不足があると考えます。そのアプローチとして、基礎知識の提供や実体験の提供をすることでLGBTが身近な存在であることを感じてもらい、理想の状態に近づけたいと考えています。

コンテンツは動画を選びました。理由として、まず一つはターゲットである若者(特に大学生)に届きやすいからです。若者のSNS利用率が多いため、SNS上にて拡散しようと考えています。二つ目の理由は、16万円で製作可能である、ということ。プロのカメラマンに見積もりを出していもらいました。最後に拡散力が高い、といことです。すでに自主制作でSNS上に公開したところ、88,000ものインプレションを獲得出来ました。この理由から、費用対効果は高いといえます。

実際のコンテンツデザインは、知識提供動画と実体験提供動画の2種類を制作します。
まず知識提供動画は、最初に問題提起をし、視聴者に考える時間を与え、答えで驚きを提供し、メッセージを表示する、という構成です。特徴は、時間の長さが短く端的に表現されている、ということと、無意識のうちに考えさせる、ということです。一番伝えたい「LGBTは13人に1人」というメッセージが印象に残るようにしています。
次に実体験提供動画では同性愛も異性愛も恋する気持ちは同じ、と知ってもらうことで親近感を持ってもらうことを目指します。課題を体験できる、恋する気持ちが同じであることを実感できる、恋愛の多様性を示すことができる、という3つのポイントから視聴者に当たり前を超えた恋について考えてもらいます。

動画というコンテンツで親近感を提供し、今まで見えていなかった無意識なものを可視化することで気づいてもらい、当たり前をアップデートしてもらいたく思っています。


NORI×3 チームのTwitterアカウント


次にチーム ももてんの発表です。


「違いを楽しめる」社会へ!

今私たちが考えている課題は違いを楽しむ力の欠如です。当たり前と異なるものに対して嫌悪感や不快感を感じてしまっているのです。理想の状態は楽しみながら知識を増やしていく状態です。

そこで解決策として、診断ツールの作成を考えました。診断という遊びは違いをシェアして楽しむコンテンツだからです。

テーマは「気づきが見つかる!個性豊かな旅のおとも診断」。気づきという点で性の当たり前をアップデートすることを、個性豊かな、という部分でキャラクターたちの違いを楽しんでもらいます。コンテンツとして、2~3択の質問に4回答えると、その回答に応じてゲームのRPG風の「旅のおとも」を診断できます。キャラクターが18種類いて、それぞれが異なるセクシャリティを持っています。

メリットとして、一つは、SNS世代が楽しむ診断と啓発コンテンツの組み合わせは今まで前例がなく、社会への新しい問いかけになること。そして二つ目は、診断結果をシェアすることで友達と一緒に楽しめるので長期的に拡散されます。また、三つめは、いつでも編集可能であるため、啓発内容の編集も可能です。

リスクとその対策として、自身のセクシャリティを診断するものと思われないために自分のおともを診断するという設定にし、また、そのキャラクターの特徴が該当セクシャリティの代物だと思われないため、「あくまで一例です」と羞恥します。

ターゲットはSNS利用者、Twitterをメインにしようと考えています。興味を持つきっかけになればと思います。SNS世代の社会へ問いかけて現状をプラスに変革し、違いを楽しめる社会になることを効果期待します。


ももてん チームのTwitterアカウント


最後はyummyナベ チームの発表です。


無知の世界を既知の世界へ

僕たちが考える課題は、性の多様性について知っている人はいるものの、知らない人や考えたことのない人がまだまだ多い、ということ。そして性の固定概念で人を傷つけていることがある、ということだと考えました。僕たちのアイデアで性のカタチについて知るきっかけになってくれれば、と思います。

日常の無意識の性に関することを漫画にして性について知ってもらおう、というコンセプトです。

まずポスターとして、カクレクマノミをモチーフに使用しました。カクレクマノミは、生まれたときには性別がなく、成長するにつれて性別が決まっていく生物です。また、カクレクマノミはイソギンチャクに住んでおり、社会の中の性の見えづらさを象徴していると考えました。

もう一つは、既存のアイデアを掛け合わせたデザインを利用し、見る人に問いかけをする参加型のポスターのアイデアを考えました。

LGBTの人たちと関わる中で、性別は流動性(ジェンダーフルール)という考えを話中で聞いていましたが、その流動性と同時に重複性というものも存在するんではないか、とも考えています。ポスターにQRコードを掲載して啓蒙用WEBサイトに誘導もします。性の多様性に関して不思議に感じた人に対していろんなジェンダーがある、ということを伝えられるジェンダー図鑑を作れればいいなと考えています。

ターゲットは大学生や、性について考えたことのない人たちです。まずは自分たちの通う大学にポスターを配布しようと考えています。


yummyナベ チームのTwitterアカウント


以上ですべてのチームのプレゼンが終了しました。

審査の間は一般観覧者も交えて「人間ビンゴゲーム」を行いました。
マス目に書かれた条件の人を会場内で見つけてマス目に名前を書いてもらい、ビンゴを狙うゲームです。

たくさん交流ができて、とても楽しそうです!

審査中…ドキドキですね。


さて、楽しい時間はあっという間に過ぎ…。

いよいよ、結果発表です。
今回は以下の賞を用意しました。

・チームワーク賞(チームワーク力が一番高かったチームに表彰)
・インフルエンサー賞(正しい知識普及に対する発信力に表彰)
・優秀賞

以上です。

ここからは受賞チームと写真、そして受賞理由を掲載していきます。


インフルエンサー賞 yummyナベ チーム

10月14日eventからのSNSの投稿を合わせて63回行い、参加チーム最多。内容も漫画という親しみやすい内容で知識を普及、セクシャルマイノリティに詳しくない人でも自分ごととして捉えられるものだったことが評価されました。心の性、好きになる性、表現する制など、内容も多様でした。


チームワーク賞 NORI×3 チーム

チームでのやり取りが非常に活発で、電話会議数は23回!ほぼ毎日会議を行い、参加できなかったメンバーへ議事録を作成するなどという場面も見られました。チームで集まっている写真をSNSへ上げている回数が最多でした。


ここで優秀賞の発表だったのですが、審査員の会議が白熱したため、急遽、審査員特別賞が二つ贈られることになりました。


審査員特別賞(麻倉ケイトさん) yummyナベ チーム

麻倉さんコメント:
「提案してもらったゴミ箱が何かシンボル的なものになるかな、と思いました。ユニバーサルトイレなども東京では普及してきましたが、まだまだです。全世界的にシンボルは必要だと思い、選ばせていただきました。」


審査員特別賞(世耕石弘さん) 肉民 チーム

世耕石弘さんコメント:
「共感性が高かった、というのが大きかったですね。また、他のチームに比べて幅広い年代に普及しそうなコンテンツでした。意思表示って結構めんどくさくて、胸にシンボルを付けるという手段もありますが、つけている人は結構しんどかったりします。LINEスタンプで知りたい人に知らせられて、わかっている人にはストレートに意思表示ができる、という点でコンビニエンスでよかったと思います。」


優秀賞 NORI×3 チーム

松岡宗嗣さんコメント:
「本当になかなか決められなかったのですが、すでに動画を発信してたくさんの人に拡散されていて、なおかつ初めて知る人にもわかりやすくピンポイントで作られていました。実現性もきちんと考えられていて、そういう点で選ばせていただきました。」


これにてすべての発表、表彰が終了しました。受賞された皆様、おめでとうございます!


最後は記念撮影をしてイベント終了。

皆さん、お疲れ様でした!



人権啓発アイデアソンのホームページ



billageはこれからもこのようなイベントを髄時開催していきます!


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