【イベントレポート】これからは“共に創る”時代だ。~新たな新規事業立ち上げのメソッド~

2019年3月18日、billage OSAKA内にて大阪府主催「大阪共創ビジネスプログラム(OCBP)特別セミナー ~「大阪共創ビジネスプログラム2018」 事例で学ぶ!新事業創出と未来への挑戦」が開催されました。

本イベントは「より価値の高い新規事業創出を支援する大阪共創ビジネスプログラム」と銘打って、中小企業独自の強みを生かした新規事業創出を後押しするための、中小企業に特化した事業支援をするプロ五グラムの一環で開催されました。

新規事業領域へと踏み出したい大阪府内の中小企業を対象に、セミナーやイベントの開催、ワークショップの実施、メンター制度、一般ユーザーからの意見を取り入るなど、外部資源を活用して新規事業を“共創”することで、市場ニーズに合った成功率の高い事業プランの作成を支援します。



今回登壇いただいたのは以下の4名です。

玉井 博文 さん(マッスル株式会社 代表取締役)

岩本 康男 さん(新日本コンピュータマネジメント株式会社)

廣瀬 智一 さん(株式会社NOVENINE 代表取締役)

田崎 和弘 さん(株式会社グローカル・アイ 代表取締役)


以上の4名です。

早速マッスル株式会社の玉井さんから基調講演をしていただきました。



世にないロボットの開発を続けるベンチャー企業

愛媛から大阪へ、そして独立まで

玉井さんは幼少時代、愛媛県の松山市で生まれ育ち、18歳の時に大阪へ。愛媛と比べて別世界が広がっていました。一番驚いたのは、大阪の人はエスカレーターを走って上がること。愛媛ではそのようなことはありませんでした。人もたくさんいて、こんな中でやっていけるのだろうか、ととても不安なりました。しかし、それでも会社で技術屋として働きながら30代半ばを迎えます。そのとき玉井さんは思いました。「本当に会社で自分のやりたいことができているのだろうか。」と。エンジニアとしてやりたいことをやりたい、でも会社に勤めている限りそうはいきません。そんな思いが募っていくんかで、玉井さんが最終的に下した判断は「会社を作ること」でした。

独立してぶつかった壁、そして転機が

そうして独立をして会社を立ち上げたのですが、当時は世間にとても冷たい対応をされてしまいました。開発のための部品を購入しようとしても売ってくれないのです。しかし、そうしたことにめげない、という想いで会社を刑していきました。

そんな玉井さんは当時、大きな会社の手伝いを始めました。コンピューターミシンのプロジェクトに携わり、完成するとその性能から称賛され、注文へとつながりました。会社を立ち上げて2、3年。ようやく軌道に乗り始めます。

アメリカで得た大きなチャンス

そのうちロボットを作ってみたい、という想いがありました。サラリーマン時代、玉井さんは一度産業用のロボットをすでに制作したことがありました。大手企業の手伝いではありましたが、それがなんとベストセラーに。世界中で売れました。しかし、当時こうしたい、ああしたいとお手伝い先の人に伝えましたが、それが叶わず、前職で勤めていた会社でもできないない、ということでとても悔しい想いをしたといいます。

自分の会社では自由にできる。なのでいろいろなトライをしました。すると手伝いをした会社の製品がどんどん売れていくのです、とても感謝されました。しかし、そうした手伝いの中で「自分の考えたことを自分のブランドとして売りたい」と考えるようになります。そうした中で、面白い話が玉井さんのもとに舞い込んできました。

玉井さんの友人からサンディエゴに行かないか、という誘いでした。アメリカのカルフォルニア州にあるサンディエゴはリゾート地であると同時に医療機器の集積地でした。玉井さんの友人は、当時日本で医療機器のベンチャーを立ち上げており、玉井さんは技術面でその友人を手伝っていました。そうした経緯での渡米の話でしたが、玉井さんはアメリカでの仕事に夢を見て二つ返事で了承、渡米をします。25年前のことでした。

しかし渡米をして玉井さんは困惑する場面に出くわします。いざ渡米して仕事相手のもとへ足を運ぶと、いきなり「君は何ができるの?プレゼンをしてよ」と言われました。当時日本ではプレゼン、というものが浸透していませんでした。言葉の壁もある中、必死にホワイトボードを使って会社のことやできることを必死に伝えました。相手はなんとなくわかった、と言いますが、次に質問が飛んできます。玉井さんはさっぱりわかりませんでした。適当に答えてもまた次の質問。玉井さんはこの場面を二つの言葉で乗り越えました。

一つは「Good」という言葉。自分たちの製品・技術はいいものだ、と伝えるために使用しました。そしてもう一つは「Cheap」。今思えばこれは「安っぽい」という意味だったと思うのですが、当時はとにかく安くいていいものなんだ、ということをこの2語で伝えようとしていました。結果、ホワイトボードのプレゼンが良かったのか、注文してもらえるようになりました。言葉ができなくても乗り越えられた、ということが自信につながりました。言葉ができれば何でもできる、と思っている人もいると思いますが、実はそうではないのです。

そのおかげもあって今ではこの時開発した医療機器が世界中に販売され、数万台が今でも人の命を救っています。技術屋にとってこれほど嬉しい事はありません。

世界へ羽ばたいた「人口筋肉」

この時に使用した、モノを素早く正確に動かせる技術をロボットの筋肉部分に使用できると考えます。その筋肉から「マッスル株式会社」と名付けました。そしてこの技術を自社製品として売り出すことに決めたのです。

この「人工筋肉」は素早く速く動くことから、3Dプリンターの印刷部分などに活用できると考えました。それを日本の大きな企業に売り込みに行きますが、そこでも障壁が。「取引口座がないから、小さな会社とは取引できない」と理由で何社も何社も取引を断られてしまいます。玉井さんはさすがに怒りを感じました。そんな中、また新たなチャンスが到来します。シカゴでの展覧会の機会が訪れたのです。

偶然のキャンセルによる展覧ブースの空き。そこに出展したらどうか、という友人からの誘いでした。玉井さんは即座に返事。カバン片手に渡米して、たった3㎡のブースに人工筋肉を展示しました。するとどうでしょう、あふれんばかりの人だかりができたのです。その中には大企業の社長や会長、有名な技術者もいました。

どうして日本とアメリカでこれほど対応が違うのだろうかと考えました。日本ではその技術ではなく人を見ているのです。会社の肩書や歴史、実績など。しかしアメリカは違いました。商品をしっかり見てもらえたのです。アメリカには自由と責任がきちんと根付いている場所なんだと痛感しました。

アメリカで購入された人工筋肉の多くはテーマパークなどのアトラクションに使用されました。スムーズにキャラクターのロボットを動かすことができたからです。見えないところですが力を発揮できました。また、また、医療分野においては遠隔手術のロボットにも活用されました。これは医療界の中でも最先端の機械です。自分の作品がこうした最先端の技術を支えていると思うと感動しました。

世界へ広まったマッスル株式会社

しかし、一部の業界には名の知れてきた会社となりましたが、まだまだ一般の人たちんは認知がされていない状況。知らせることができないという状態が続きました。しかし2009年ころ、上海の万博の話が上ががってきたのです。

偶然、上海万博で日本産業館を担当するデザイナーに出会ったのです。自分を「ロボット屋」と称して名刺交換をしたことが玉井さんのその後を変えます。偶然、そのデザイナーはじめ日本産業館のプロデューサーたちがロボットを作れる人を探していたのです。そうして玉井さんに声がかかり、では上海万博に出展しようか、と話が進んでいきましたが、当時、日本はリーマンショックの後遺症から金銭的に余裕があるわけではありませんでした。なので、玉井さんは自分でお金を集めて自分で展示すると決めます。

そこで玉井さんが開発したのが、壁を上る人型のロボット「夢ロボ」です。日本産業館の外壁をひたすら上って降りてを繰り返すのですが、その技術はとても話題になりました。これが日本のロボットが世間に知れ渡った瞬間でした。上海万博ののち、この夢ロボはアメリカでも紹介して、100万人もの人た日の目に触れることになります。

国をも動かす確かな技術と構想

また、上海万博ののちマッスル株式会社には多くの人が助けを求めて来社するようになります。もともと部品やでしたが、上海万博でロボットを展示したことで、多くの人がマッスル株式会社のことを知るようになってのです。そうした案件の中の一つに介助ロボットの案件がありました。玉井さんが作ったのは人を抱えてベッドや車いすへ移動させる介助ロボットです。これも展示会に出すと話題なり、多くのメディアに取り上げられ、なんと安倍首相も来社したのです。

時の総理が来社したことにより、さらにマッスル株式会社の信用は上がっていきました。政府が支援してくれる、という発言でメディアも多く集まり、杭からも補助金をもらうこともできました。仕組みは単純ですが、多くの反響をもらえるようになりました。

今では多くのロボットを開発しています。世のなかの一人で暮らしいる人たちの癒しのためにロボットの技術を使用できないか、と生み出された会話できるロボットや、観光案内ロボット、文楽の人形の動きを再現するロボットなど、分野問わず様々なロボットを開発しました。

多くのロボットを開発したものの、これが本当に世間に通じるのかと疑問に感じた玉井さんは、文楽のロボット「BUNRAKU」をオーストリアのメディアアートの祭典に出展することにしました。そこでも多くの人の関心を持ってもらい、ヨーロッパでも注目されることが分かったのです。自分たちがやっていることは少し変わっているが、それでも的はずれではないとわかりました。その文楽ロボットを改良して作った「KUROKO」というロボットは外務省の依頼で、アイルランドに展示したところ、そこでも話題になりました。そういったところで、さらに自信を持ちました。

また、洋服店のマネキン屋から動くマネキンを依頼されたこともあります。動くマネキン「QLOGO」をファッションの3大基地にもっていくと、やはり反響がありました。そうして翌年も依頼をされたのです。

夢をもち、夢に向かって進め!

行きあたりばったりの人生でしたが、ここまで来て何をしていたのか、改めて考えてみました。「夢を持ち、夢に向かって進め!」ということです。サラリーマンの時に思い描いた、ロボット屋になりたいという夢、そしてそこから部品を作ったり様々なチャンスをもらったり…。結果いろいろな人と知り合い、いろいろな人から仕事をもらえるようになりました。誠実に自分の夢を追っかけていたらいつの間にかこうなっていたんだと思います。自分の経験がどれだけ影響を与えられるかわかりませんが、何かのヒントになればと思います。自分の夢をぐらつかせないように。



続いて平成29年度支援採択企業から、新日本コンピュータマネジメント株式会社の岩本康男さんにお話しいただきました。



世にないロボットの開発を続けるベンチャー企業

SenStick3(マルチセンシングデバイス)の紹介

これは1㎝×5㎝の基盤に気圧センサー、明るさセンサー、加速度センサー、紫外線センサー、温度・湿度センサーなどをすべて搭載して乾電池で動くようにしたものです。これらは歯ブラシや箸などに搭載が可能だと考えています。歯ブラシに搭載すれば磨き残し等が判別でき、箸に搭載すれば、箸を利用しているときの力の入れ具合等のデータが取得でき、正しい橋の使い方などに反映ができるようになります。こうしたアイデアをハッカソン等で多くの人に考えてもらい、たくさんの利用方法が考案されてきました。

最終的にこのデバイスの活用方法として考案したのが、教育キットとして販売しようと考えました。多くのアイデアが出るんだったら、好きに作れるようにしようと考えたからです。教育開発キットとしてツールやマニュアルをセットにして販売するとともに、プログラミングも可能にしました。現在各大学と共同開発をして、Rudy言語を使用して自分で自由にプログラミングをできるようにしています。

SenStick3の可能性

SenStickはあらゆる場面で活用が考えられます。例えば「スポーツ」では、2020年のオリンピックや2021年の関西ワールドマスターズゲームに向けて活用ができますし、「医療」の分野においては医者と患者の架け橋としても活用できます。「介護」の分野では少子超高齢化に向けてIoTと併用することも考えられますし、「健康・環境」の分野ではBIGデータの集積デバイスとして、そして2025年の万博でも活用が考えられます。もっとほかのビジネスにも活用したいとも考えています。

具体的な事業支援

2017年には大阪ビジネスフューチャーズ2017に出展したところ、見事採択され、2017年11月から2018年3月まで事業支援をしてもらいました。

具体的に以下のような支援を受けました。

〇消費者からのアドバイス
実際に使用を考えてくれる人から普通に生活をしている主婦まで、さまざまな人からSenStick3に関して意見をいただきました。様々な人が集まることで多角的な意見を聞くことができます。しかし、岩本さんの場合は、一つひとつの意見は実現自体はできそうだが、ビジネスに出来るかというと、ムジカ氏いそうなものばかりになってしまいました。

スマート歯ブラシ開発までの道のり

ここで岩本さんは重要な出会いを果たします。辻さんという方との出会いでした。また、辻さんのコーディネートでNOVENINEの廣瀬さん、竹山さんとも出会いました。

岩本さんはマルチセンシングデバイスをビジネスにつなげたいと考えていましたが、それをどのようにビジネスにつなげようか悩んでいました。一方でNOVENINEでは歯科医療を通じて日本の医療課題に挑戦するため、イノベーティブなスマート歯ブラシを開発したいと考えていました。岩元さんはこの「歯科医療を通じて日本の医療課題に挑戦する」というビジョンに大変共感し、NOVENINEさんと一緒に新たな共創を創れないかと考え、一緒にプロジェクトを進めることになりました。

2018年の3月、NOVENINEさんとトークセッション構想を発表。握るだけで操作ができ、様々なセンサーの情報をLEDの色で知らせることができ、また、検出したセンサーデータは自動で送信・蓄積され、必要な時にデータ解析結果を見ることができるようにしようと考えました。

この構想をいろいろ相談しました。するといろいろな意見が出てきます。かっこよくしたい、だったり、もっと操作を簡単にしたい、においを検出したいなど…。様々な意見が出た結果、既存のSenStick3を使用するのではなく、新しく作ったほうが早いのでは?という結論に至りました。

スマート歯ブラシの機能・デザインを検討する際に、岩本さんはデバイスの構造をフォローすることになりました。会社的にはもちろんSenStick3を購入してもらった方がビジネスにはなるのですが、実現させるという点に関して考えた時に、ビジネスは度外視して協力しないといけない、という考えになりました。そして新たなコラボレーションという形で進んでいくことになります。

共創に必要なこと

これまでを振り返って岩本さんは共創に必要なことをいあkのようにまとめました。

・出会いを大切にする
・お互いを尊重し、Win-Winの関係を目指す
・商品・ビジネス・サービスは常に誰のための価値創造化を考える
・面白くないと続かない。常に進化していくことが必要
・PDCAサイクルは、ビジネスができてから
 考える前に、まずやってみる
・情熱を持ち、積極的に、夢の実現に挑む!(入鹿山 剛堂 さん談)
 (Passion、Active、Dream、Challange)
・既存の知識や常識にとらわれない
 出来ない理由はいくらでも出せる
 あきらめずにどうしたらできる顔を考えることが大切

あとはやるべきことを実行するだけです。



(NOVENINEさんのお話は他社とのアライアンス、外部資源の活用などがあるため、本イベントレポートでは割愛いたします。)

続いて、平成30年度支援採択事業から、株式会社グローカル・アイの田崎和弘さんからお話をいただきました。



中小企業と大学の共創事例:食を通じた健康事業

株式会社グローカル・アイの事業内容

グローカル・アイさんは「からだデリ」というサービスを事業として展開してます。大阪市立大学医学部付属病院や全国国立病院管理栄養士協議会などの医療機関とネットワークを持っており、全国163の国立病院の6グループ、約650名の管理栄養士から提供される献立を生活者に対して、お弁当や惣菜、冷凍食品として提供するサービスです。きちんとしたエビデンスに基づいた管理栄養士の献立を食べられることが大きな魅力です。

「からだデリ」のは現在、全国国立病院管理栄養士協議会監修の弁当として、全国のスーパーマーケットや百貨店、ドラッグストアなどで販売されています。一部通販もありますが、小売店での販売が主流です。東京では一部会議用の弁当として販売しているところもあります。販売されている弁当にはフリーダイヤルの番号が記載されており、電話をかけることで健康のサポートを受けることもできます。

「1:1:1バランス弁当」を、大阪市立大学医学付属病院監修で2月28日に販売を開始しました。栄養部が1:1:1のバランスで構成されており、このレシピをグローカル・アイが考案して、2府8県の各スーパー、コンビニ、病院売店等で新商品として販売を開始します。

販売にあたってワークショップを開催しました。このワークショップで製造者や小売店などの人たちをはじめとして様々な意見が飛び交いました。今後の新しい弁当、健康のかたちをテーマに話し合いをしてもらい、意見の蓄積ができたと思います。こうしたワークショップの開催なども支援していただきました。

こうした取り組みはメディアにも取り上げられ、報道されました。現在は47社834店舗から発売されています。ぜひ購入して下さい!

今後の取り組み

現在はAIを使用した栄養相談システムを開発中です。今までアナログでしていた相談をAIを活用することでデータを蓄積、分析し、相談者に還元していきます。また、スポーツ弁当などの試食会の支援いただく予定です。

こうした連携の中で、スポーツという場面で運動と健康を掛け合わせた弁当や、スーパーなどではヨガなどをしている人向けに簡単にタンパク質が取れる弁当などを開発して販売してきたいと考えています。

現在は近畿、四国中心に関西で展開していますが、関東がまだまだです。大阪から全国へこの「からだデリ」による健康づくりの輪を広げていきたいと考えています。



以上で公演はすべて終了です。また、大阪府では平成31年度の大阪共創ビジネスプログラムへの参加企業も募集しています。

新規事業の創出支援を、共創という形で支援していきます。※2019年7月からセミナー開催予定です。ぜひご参加ください!



以上で全プログラムは終了。新規事業は自社のリソースだけではなく、外部のリソースを生かして共に創っていくことが、これからの新しいスタイルになっていくかもしれませんね。



大阪共創ビジネスプログラムに関するホームページはこちらから



billage OSAKAではこれからもこのようなイベントを随時開催していきます!


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

またスキしてくれると嬉しいな!
4

billageOSAKA

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。