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ブリとワラサと、黄色い尾っぽ

「あれ?ブリって、冬の魚じゃなかった?」

なじみの居酒屋に行き、メニューに「ブリ(ワラサ)の刺身」を見つけた私は、店主に聞いた。

「あ、そうそう。これはブリよりも小さいワラサね。関西ではハマチかな」

「そういえば、ブリって出世魚だもんね」

ブリは、関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」だが、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」と名前が変わる。

これは、ブリが古くからタイと並ぶ縁起のいい魚で、商品価値が高く、全国の水揚げ地から江戸や大坂などの大消費地に運ばれた、ということが関係しているらしい。成魚であるブリよりも、幼魚は傷みやすいこともあって、地元で消費されていたため、それぞれの地域で愛着を込めて、ブリ以外の名前が付けられたのだそうだ(2014/8/20「日経スタイル」より)。

「いいの、いいの。どんな名前でも、おいしいことに間違いはないんだから」

私は、ワラサの刺身にほんの少しワサビを乗せ、箸でつまんで醤油につけた。口に入れると、冬のブリほどではないが、十分に脂が乗っていて、うまみが舌に広がっていく。

「ん~、やっぱりおいしいじゃん!」

「びんこは本当にうまそうに食うよなぁ」

店主がニコニコ笑って言った。私は、ワラサのうまみを堪能しつつ、夏の日本酒を味わった。

「だって、おいしいもん。自然に笑顔になりますよ、これは~」

「あ、そういえばさ、ブリって英語でも名前が変わるのかな?」

「さぁ…。どうなんだろう?」

私がすかさずググると、検索した画面には、ちょっと意外な答えが出てきた。

「イエローテイル(yellowtail)、またはアンバージャック(amberjack)だって」

「イエローテイル?」

「うん。直訳すると、黄色い尾っぽ。ポニーテールのテールとか、テールスープのテールとか」

「ああ、尾っぽね。あ、そういえば、ブリの尾っぽは黄色いなぁ」

「な~んだ。見たまんまなんだね」

「で?名前は変わらないの?」

「うん。変わらないみたい。ワラサとかハマチとかは、ヤング・イエローテイル(young yellowtail)だってさ」

「ヤング・イエローテイルね。オレはヤングなポニーテールの方がいいなぁ」

「え??それって、若い女の子のことでしょ~!!」

私がツッコミを入れると、店主は「もちろん」と答えて、ニヤリと笑った。

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びんこ/長谷川敏子

東京在住のライター。山形→沖縄のテレビ&ラジオ局→東京。書く&司会もします。得意分野は沖縄・酒・食・ビジネス系など。noteでは、和食がテーマのストーリー&雑記ブログ。お仕事のご依頼はホームページから https://www.binco-hasegawa.jp/
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