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「充電」が会話の1割を占めた話

ついに、買いました。手回し充電機能付きの、懐中電灯とラジオとスマホ充電器。

実は私、以前は沖縄に住んでいて、しかもテレビ局で台風リポーターやってました。当時は、台風が来れば取材に出なくちゃいけなかったので、

「不要不急の外出はしないでください」

とカメラに向かってしゃべりつつ、自分は屋外でびしょ濡れになりながら仕事してました。

だから、台風には慣れっこです。

だけど、今回ばかりは買いました。この充電器。だって、ここは沖縄じゃなくて、東京なので。東京に、沖縄県民でもビビるくらいの台風が来るので。

それで、この充電器を買う時のことなんですが。

大きな家電量販店へ行ったら、店の入り口近くに「スマホに充電できます」「懐中電灯、乾電池あります」という特設コーナーが設置してありました。

さすがだなぁ。よくいえば、消費者ニーズをきちんとわかっているし、言い方をかえれば、商売根性ハンパない。

ま、おかげさまで、充電器の売場を探す手間が省けました。だけど、何しろ私、こういう商品を買うのは初めての上に、とってもキカイ音痴なんです。

「これ、どうやって使うんだろう…」

不安を抱えながら、展示してある現物を手に取って、あれこれ動かしてみました。

この充電器、一番目立つのは、本体の後ろ側についているハンドル。「手回し充電機能付き」って書いてあるので、このハンドルをグルグル回すと、充電ができるみたいです。なるほど。

で、グルグル回しながら、懐中電灯のスイッチを入れたり、ラジオのスイッチを入れたりしてみました。取扱説明書を読まなくても、なんとなく動いてくれる気がする。ホッとしました。だって、繰り返しますが、私、キカイ音痴なので、キカイの取扱説明書が、とっても苦手なんです。

そう思いながら、ふと、この充電器の売場についているPOPを見たんですね。

「充電時間 2時間」

じゅうでんじかん、にじかん。これ、どういう意味だろう??ハンドルをグルグル2時間も回してないと、ちゃんと充電ができないのかな?2時間もハンドルを回し続けるって、結構、大変なんだけど。

「あの~、すみません。この、充電時間2時間って、どういう意味ですか?」

近くにいた店員さんに聞いてみました。でも、その人自身もわからなかったみたいで、別の店員さんを呼んでくれました。

呼ばれた店員さんも、最初は「??」っていう顔をしていたんですが、しばらく考えて「ああ、USBでこれに充電する時は、2時間かかります、っていう意味ですね」と教えてくれました。

「はぁ…。USBで、これに充電?これ、ハンドルを回して充電するんじゃないんですか?」

「それもできますけど、USBでパソコンとかにつないで、そこから充電もできます」

「ああ。なるほど。それで、スマホにも充電できるんですよね?」

「そうですね。スマホにも充電できます」

「ええっと…。この充電器に充電されていないと、スマホには充電できないんですよね?」

「そうですね。だから、この充電器に充電する方法が、USBで充電する方法と、ハンドルを回して充電する方法があるってことです」

「はぁ…。なるほど。ありがとうございます。充電、してみます」

…と、ここまで会話をして、ようやく理解できました。理解できたので、レジへ行って会計を済ませました。

ところで、今、私とこの店員さんの会話に「充電」っていう言葉が何回出てきたと思います?

時間にすると1分もないくらいの会話、たった300文字程度なのに、15回くらい「充電」という言葉が出てきます。300文字のうち、漢字2つが15回なので30文字、つまり会話の約1割が「充電」です。

あとで気づいたのですが、この場合の「充電」という言葉には、2つの意味があります。

ハンドルを回したり、USBでパソコンとかにつないで、この充電器に電気をためる「インプット充電」

電気がたまったこの充電器から、スマホなどにつないで充電する「アウトプット充電」

インとアウトでは、意味が真逆なのに、どっちも「充電」

そりゃ、ややこしくなるわ。

あ、さらによく考えたら、「ハンドルを回して充電する」のは「充電」なのかな?「ハンドルを回す」のは「発電」じゃない?あ、ハンドルを回して「発電」して、この充電器に「充電」するのか。

ああ、キカイはややこしい…。


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