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旧東海道ウォーク⑯ 蒲原宿→由比宿

2022年10月9日(日)。
蒲原宿から、桜えびで有名な由比宿まで、向かいます。

1.静岡市の東端
2.不思議な駅の場所
3.由比の一里塚跡
4.<第十六番>由比宿


1.静岡市の東端

蒲原宿から、県道396号を西へ進みます。
かつての国道1号であったと思われますが、現在の国道1号は「富士由比バイパス」として海岸沿いを走るため、旧東海道とはほとんどかぶりません。

県道396号を進みます。

このあたりの民家の多くに、切妻屋根の側面に何やら不思議な飾りがついているのが気になります。この地区の風習でしょうか。

上の屋根から垂れ下がる、曲線の飾り。


これから向かう由比の桜えびが有名ですが、手前の蒲原も桜えびを猛アピールしています。
向田川にかかる橋のデザインは、「桜」と「えび」。

桜の模様
となりは、えびの模様
蒲原特産、と銘打っています
「まがりかね」と「上(じょう)」でカネジョウ。なるほど。

蒲原は、旧庵原郡蒲原町で、独立した自治体でしたが、「平成の大合併」で2006年に静岡市に編入され、静岡市清水区に組み込まれました。
当時は、蒲原と清水との間にある由比町は合併に合意せず、蒲原は清水区の「飛び地」になっていましたが、2年後に由比町も合併して、陸続きになりました。
現在も、ここは静岡市の東端にあたります。

ここも、清水エスパルスのホームタウン、になるんですね。
路線バスは廃止され、静岡市の自主運行バスが肩代わり。
東海大地震に備え、津波ひなんビルの案内が目立ってきました。

2.不思議な駅の場所

蒲原宿から由比宿へ向かう中間地点あたりに、蒲原駅があります。

東海道線の蒲原駅。寂しげな駅に見えます。

蒲原宿からはだいぶ離れた町はずれにあるな、と思ってWikipediaを調べたら、そこにはこんな背景があったようです。

東海道線が静岡まで開業した1889年、当初このあたりでは蒲原宿近くに駅を設置予定だったが、岩淵の有力者が鉄道省に強く働きかけ、蒲原ではなく岩淵駅を設置した(現富士川駅)。
その後、蒲原の住民が駅の設置を求めたが、蒲原宿の近くだと岩淵駅との距離が近すぎること、また西隣の由比宿周辺への利便も図るためとして、蒲原宿と由比宿の中間地点に蒲原駅を設置(1890年)。
しかし戦後になって、蒲原宿周辺の人口が多いことから、岩淵駅と蒲原駅の間に新蒲原駅を設置(1968年)。
ちなみに、蒲原駅開業後に、由比町(当時)内にも駅を設置を求める声が上がり、由比宿からは西方のはずれた場所に、1916年由比駅開業。

蒲原駅前の表示。確かに蒲原宿より由比宿のほうが近いことを、わざわざアピールしてますよ。

新蒲原駅、蒲原駅、次の由比駅と3駅連続で、集落と駅の位置が微妙な関係の「玉突き」状態ですね。

駅とは反対側、山側には東名高速の防音壁が見えています。

3.由比の一里塚跡

久々に現れた、青い「東海道」標識
格子戸がある家
手前は「新鮮・親切」、奥は「正札」。素敵な看板です。

山側を走っていた東名高速が、オーバークロスして、海側へ出ます。

東名高速の下

この先、由比のあたりは、山が海岸線まで迫って平地が少なく、旧道は峠道となる場所ですが、東名高速・国道1号・JR東海道線は、海岸線に張り付くように走る区間になります。

南側を見ると、国道1号の先には、すぐ太平洋です。
神沢の信号から、左の脇道へ入ります。
「由比宿すぐそこ」ですが、由比駅より蒲原駅のほうが近い。
神沢川酒造所。銘酒「正雪」の蔵元。
酒蔵の隣は、養蜂場

由比の一里塚跡は、かわいらしい標石でした。

日本橋から三十九里目

4.<第十六番>由比宿

由比宿の東西の入口には、枡形が残されていました。
まずは、東枡形跡から、由比宿に入ります。

はっきりわかる桝形状の道路
案内板

国道からも外れ、JRの駅も遠く、静かで雰囲気のある街並みです。

由比宿の街並み
重厚感ただよう旧家
御七里役所跡。一般の飛脚とは別に、紀州徳川藩専用の飛脚を七里ごとに設置していた場所。
雰囲気がある、お蕎麦屋さんの建物

由比宿の本陣跡は、本陣公園として整備され、資料館や休憩所が設置されていました。10時45到着。ここで休憩にします。

由比本陣公園
由比宿の案内図
公園内部
資料館と休憩所
由比宿の全体
西の桝形が、よくわかります。

公園内には、東海道広重美術館がありました。
見学しましたが、中は残念ながら撮影禁止。

東海道五十三次は、広重の浮世絵の代表作

旧道沿いの水路では、亀が並んで日向ぼっこ。

最初は本物とは気づきませんでした
説明を読んでるみたいで、おもしろい構図。

休憩を終えて、さらに西へ進みます。
歴史上の人物として知られる、由比正雪の生家は、この染物屋。

幕府の転覆を図ったとされる、「由比正雪の乱」

江戸時代だけでなく、明治以降の歴史的建物も残されています。

明治時代の郵便局
説明版。かつての飛脚屋が、郵便局に変わったようです。
旧庚子(かのえね)銀行本店。現在は清水銀行の営業所として現役。
昭和初期のギリシャ風建築が立派です。
案内板
南側には、JR東海道本線・国道1号・東名高速が並列。その先は駿河湾。

西木戸跡に到着。由比宿はここまでです。

案内板
当時の由比宿の宿割地屋号。全部の起こっているんですね。
ここも桝形が残っています。旧道は左へ。
ただし、由比川を渡る橋がありません。
当時はここから徒歩で渡河したようです。
戻って、現在の由比川橋を渡ります。

次は、薩埵(さった)峠を越えて、興津宿へ向かいます。

蒲原宿→由比宿
 距離 4.2km
 所要 1時間20分

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