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EL R16 ユベントス vs フライブルグ 〜ポゼッション+リトリート

来季のCL出場権がかかるELの決勝トーナメントがついに開幕。アルテタのアーセナルにシャビ・アロンソのレバークーゼンも見れるじゃないかという上になんと3月分の料金で2〜4月まで観れるというキャンペーンも紹介されてWOWOWを契約しました。R16の相手はブンデスリーガで上位争いをしているフライブルグ。簡単な相手ではありませんでしたが、0-1で先勝。試合内容もあと何点か取っていてもおかしくない今季ベストと言っていいものでした。しかし、アウェーでの2ndレグがあるので全く油断はできません。この試合を振り返っておきましょう。

ユベントス

スタメンは、シュチェスニー、クアドラード、ダニーロ、ブレーメル、サンドロ、コスティッチ、ミレッティ、ロカテッリ、ラビオ、ディマリア、ブラホビッチ。今季定番となった5-3-2でスタートした。

ファジョーリではなくミレッティだったのは、ディマリアが下がってくる中でより前でクリエイティブなプレーができるミレッティを選んだという意図ではないだろうか。ミレッティはディマリアとプレービジョンが合うのかもしれない。相性が合ったコンビネーションやパス交換を何度となく見せてきている。3-1-5への変化からディマリアがトップの位置から下がってフリーになるユベントスのビルドアップのメカニズムにおいて、前線でボールを受ける選手のクオリティは重要だ。ディマリアが下がってビルドアップに関わった後、ディマリアが上がって攻撃参加してこそユベントスの攻撃は完成する。ディマリアが前線に上がってくるための時間を作る必要がある。そのためには、前線のプレッシャーが厳しいスペースでボールを受けてプレーできる選手が必要だ。ライン間でプレーしてボールを動かせる選手はディマリアを除くとミレッティかポグバかどちらかになる。ファジョーリもライン間でのプレーもできるが、中盤を豊富な運動量で走り回るダイナモといったキャラクターに思える。前日ミーティングの遅刻によってポグバがベンチ外となれば、ミレッティの先発は自然な流れと言えるだろう。

獅子奮迅のラビオ

フライブルグは5-2-3でスタート。ユベントスのビルドアップに対して3トップをぶつけてきた。しかし、ディマリアが下がってくるディマリア・ロールとロカテッリのフライブルグの選手の間をとるポジショニングによって3トップのハイプレスを無効化。ユベントスは狙い通りボールを保持して攻撃を仕掛けることができた。これに対してフライブルグは5バックから人を前に出す守備で対抗。ここまでは前節のローマ戦と同じ展開になったが、ここからが違っていた。ラビオが、ミレッティが前に出てくるフライブルグのディフェンスの裏へフリーランを繰り返す。特にラビオは何度となくディフェンスラインの裏を狙って走り込んでボールを受けることに成功していた。ラビオの裏を狙うプレーによってユベントスのビルドアップはペナルティエリアへの侵入というチャンスへと繋がっていった。ラビオの裏抜けを警戒してディフェンスラインが下がると、その手前を使って攻撃を仕掛ける。ファウルをもらって惜しい直接FKを連発していた。ビルドアップから崩しのフェーズへの移行もスムーズでボールの前進には困らなかった。そのままシュートやクロス、被ファウルなど攻撃がひと段落するところまで行っていた。そのため、トランジションの場面はあまりなかったし、そもそもユベントスの守備はリトリートがメイン。無理してハイプレスに行くことはほとんどなく、5-3-2の守備ブロックを自陣に敷いてミドルプレスで守る。徹底して中を閉める守備でフライブルグにボールを持たせつつチャンスは作らせない。さらに中盤3枚のポジショニングとディフェンスラインから飛び出す迎撃守備を組み合わせてボールホルダーに対してプレッシャーをかけて守備ブロックの外へとフライブルグを押し出す。まともなシュートを撃たせず、ほぼパーフェクトな守備でクリーンシートを完遂した。

ポゼッション+リトリート

スタッツ上はボール保持率ではほぼ互角だった。それはユベントスの攻撃がスムーズに最終局面までたどり着いていたことに起因する。その結果、ユベントスのボール保持の時間が短くなっていた。さらにユベントスの守備はハイプレスではなくリトリートが基本。必然的にフライブルグがボールを保持する時間は長くなる。ユベントスの攻撃のスムーズさとリトリートを基本とした守備の組み合わせがユベントスの保持率の低さにつながっている。保持率では互角でも、シュート数、枠内シュート数では圧倒して、試合自体はユベントスが支配していた。アッレグリが志向する試合をコントロールするプレーが実現しつつある。

ただ、どれだけ完璧な試合運びを見せていても、突然失点することはある。それがフットボールだ。今回のユベントスの得点がいい例になるだろう。フライブルグも最後の最後で踏ん張って守備をして無失点で切り抜けていた。しかし、一連の攻撃の流れでディマリアが前に残っていた状態でコスティッチをフリーにしてしまった。ブラホビッチにはマークについていたが、おそらくこの試合で初めてペナルティエリアに入ってきたディマリアにはマークにつききれなかった。フライブルグからしたら、事故的な失点だっただろう。それまでディマリアは後方にいてペナルティエリアに飛び込んでくることはなかったのだから。

VARで取り消されたゴールもそうだ。ダニーロがクロスの目測を見誤り、ヘディングを空振り。フライブルグの選手に当たって溢れたボールを叩き込まれた。このシーン以外、危ないシーンはなかった。しかし、仮に手ではないところに当たっていたら…。

アッレグリがかつてコメントに残しているように、フットボールは30秒あれば全てが変わる。どれだけ完璧な守備をしていても、ピンポイントのクロスを合わせられたら止められない。ローマ戦のマンチーニに決められたゴラッソもそうだ。パーフェクトなスピードとコースでミドルシュートを撃たれたら、止められない。だからこそ、作ったチャンスを高確率でモノにする決定力が必要になってくる。ブラホビッチを90億円も払って獲得したのは何のためだったのか。いよいよ、ブラホビッチの進化が問われる時期がきたように思う。

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