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セリエA 第24節 トリノダービー 〜POGBACK

ロカテッリが累積警告で出場停止の危機的状況で迎えたトリノダービーは4-2でユベントスが勝利しました。試合内容は、トリノがリードする展開でしたが、ユベントスが余裕を持って逆転したような印象を受けました。ポグバの復帰やバレネケアのデビューと明るい材料も見えた試合を振り返っておきます。
なお、DAZNはなぜかフルタイムはリアタイできないという謎設定でした…。なぜでしょう?そして、実況、解説がイタリア語だったようて、やたらボンジョルノを連呼するので陽気な方なのかなと思っていたら、トリノにボンジョルノという選手がいました。フィオレンティーナのイタリアーノ監督といい、ザ・イタリア🇮🇹な名前でいい感じです。

ユベントスの5-3-2

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、クアドラード、ダニーロ、ブレーメル、サンドロ、コスティッチ、ファジョーリ、バレネチェア、ラビオ、ディマリア、ブラホビッチ。5-3-2を採用。

バレネチェア

ロカテッリの不在をどうしてくるかと思っていたら、新星・バレネチェアのアンカー起用が解答だった。これにより、パレデスは事実上戦力外通告となってしまったのだろうか?ただ、アンカーとしてのプレーならば、バレネチェアの方が安心して見ていられると思った。少なくとも、この試合のバレネチェアは守備時に空けてはいけないスペースを簡単に明け渡すことはなかった。ボール保持の際に局面を進めるプレーはあまりできなかったが、その分CBに時間を与えてビルドアップに貢献していた。何度かパスが合わずにショートカウンターを撃たれた場面もあったが、頼れる兄貴たち・ブラジルトリオがカバーしてくれた。願わくば、状況を見て攻撃を加速させるプレーができるようになるとさらに頼もしくなる。フィジカル面では高さがあり、球際もトリノの選手に負けていなかった。一歩が長いため、カバーできる守備範囲も広い。ラビオやザカリアのようなストライドの長さを活かしたボールを絡めとる守備を何度か見せていた。今季から来季にかけてロカテッリを休ませる際の代役として経験を積みながら、トップチームに定着していく可能性は十分ある。

ブラホビッチ

3バックが開いて互いに距離を取り、バレネチェアと連携してボール保持を試みる。トリノのハイプレスが3トップ気味に来る時もあれば、2トップ気味に来ることもあり、ハイプレスの枚数が安定していなかった。2トップでハイプレスに来た時は、3対2の数的優位を生かしてフリーになったサンドロやブレーメルを起点にボールを前進。3トップ気味に来た時にはボールを受けた選手とプレスに来る選手の距離とタイミングによってドリブルでの前進を試みることもあった。本来なら、バレネチェアが3トップの間からパスを受けたり、CBと同じ高さまで落ちたりすると助かる。今後に期待したい。トリノのプレスがハマってしまったら、ロングボールを蹴る。そして、この試合ではブラホビッチがロングボールを収めること収めること。フィジカルコンディションはかなり上向きなのだろうと思う。クロスバー直撃のシュートもあり、強烈なミドルシュートもあり、ブラホビッチもゴール量産体勢に入りつつあるのかもしれない。なお、フィオレンティーナの会長がブラホビッチを揶揄するようなコメントをしたみたいだが、それは当たってはいない。ユベントスは長期的な視点でブラホビッチに大金を使ったわけで、今季の得点を比較することに意味はあるのだろうか。確かにブラホビッチにはディフェンス面のマイナスはある。しかし、圧倒的なフィジカルを活かしたポストプレーとディフェンダーを引き付けるスペースメイクは得点だけでは測りきれない価値がある。ブラホビッチを追い越してゴールに迫るプレーを見せ始めた覚醒したラビオやファジョーリ、ミレッティと相性もいい。ブラホビッチを中心とした攻撃の構築。アッレグリがこれから取り組むべき課題になる。一方、ブラホビッチ自身には、ユベントスの守備組織の中で働くことができる守備を身につけていく必要があるだろう。

魅力的なアタック

ボールを前進させれば、クアドラードとコスティッチが幅をとって、ブラホビッチが真ん中に鎮座。ラビオはペナルティエリアに突撃をかけ、ファジョーリとディマリアがフリーで動き回る。ピッチの幅を有効に使いつつ、流動的かつペナルティエリアに人数をかけた魅力的な攻撃を展開していた。1点目はユベントスが狙った攻撃が見事にハマった素晴らしい得点だった。後方のボール保持から引いてきてフリーになったディマリアにボールが渡る。コスティッチが左サイドを駆け上がり、ディマリアからスルーパスを受け、ドリブルでディフェンスを外してクロス。ブラホビッチとラビオが飛び込み、流れたところをクアドラードが右足一閃。ビルドアップから左サイドを崩して、クロスにブラホビッチ、ラビオ、逆サイドからクアドラードが飛び込んだ。この攻撃を継続することができれば、どんな相手からでも得点をとることは可能だろう。

また、2〜4点目は全てセットプレーだったが、ブレーメルを筆頭に高さ、強さを兼ね備えた選手が大勢飛び込んでいく。ユベントスのセットプレーは対戦する相手からすると脅威となるはずだ。

ブレーメル

この試合のターニングポイントのは、後半開始直後のトリノのカウンターに対してブレーメルが見事な対応を見せたことだったと思う。ディマリアのパスをカットされ、被カウンターの場面で4対3の数的不利な状況を作られた。前半終了間際に追いついたところだったが、もしこのカウンターをゴールに繋げられていたら試合の流れはトリノに傾いていたかもしれない。ブレーメルの見事な守備でトリノに流れを渡さずに済んだ。

カウンターに出るトリノの選手4人に対し、ユベントスはダニーロ、ブレーメル、サンドロの3人で対応。ドリブルで持ち上がる選手に対してブレーメルが少し前に出て対応し、サンドロは左、ダニーロは右に位置していた。トリノの選手はサンドロのサイドに2人、ダニーロのサイドに1人が上がっていた。下がりながら対応しているところで、サナブリアがサンドロの前を横切るダイアゴナルランを仕掛ける。その瞬間、ブレーメルは少しだけ左にズレてサナブリアへのパスコースを切る動きを見せた。おそらく、ほんの数歩の差だ。パスラインを切られたことでサナブリアにパスが出せず、状況は2対2に切り替わった。ミランチュクへとパスが出たが、サンドロが落ち着いて対応。最後はファーサイドを狙ったシュートが外れて事なきを得た。

ブレーメルはドリブルをする選手を見ながらサナブリアの動きも注視していたはずだ。体の向きも完璧で、警戒すべきサイドの状況を把握して動くことができた。昨季のセリエAベストディフェンダーがいよいよその本領を発揮し始めたか。

POGBACK

そして、ポグバの復帰だ。後半途中から投入され、主に左CHとしてプレー。ペナルティエリア内でボレーシュートを撃ったり、コスティッチのフリーキックに飛び込んだりと早速チャンスに絡むプレーを見せていた。ボールを受ける位置、プレーの判断も悪くなかった。守備のポジショニングも問題はない。攻撃のクオリティの高さと守備の戦術理解を高い次元で融合させている稀有な選手であることは今更言うまでもない。ユベントスを一つ上のレベルへと引き上げてくれる選手だ。あとはコンディションを上げるだけだ。4点目は、本来のポグバであればラビオまで流れる間もなく決めてしまっていただろう。

ポグバの復帰はチームにとって絶大な効果をもたらすことだろう。

一つは、クオリティの底上げ。ファジョーリ、ラビオも不足はないが、ポグバのテクニック、パワーは2人にはないものだ。キックのパワーと精度はチームに大きな変化をもたらすだろう。ミドルシュートでの得点が増える可能性は高い。ライン間でボールを受けてターンできれば、強烈なミドルシュートでゴールを脅かすことができる。ディフェンスがミドルシュートを警戒してくれれば、コンビネーションやスルーパスを狙うチャンスも出てくる。他にもフィジカルの強さを活かしたボールキープで起点となるプレーも期待できる。何より、高い戦術理解がある。攻守に渡って的確なポジショニングでチームを助けてくれるだろう。

二つは、ターンオーバーが敷けること。ミレッティのケガとパレデスがアッレグリの信用を勝ち取ることができなかったことで中盤はロカテッリ、ファジョーリ、ラビオが出続けることになってしまった。この3人の疲労は尋常ではないだろう。スペツィア戦の動きは誰の目から見ても重かった。ここにポグバが帰ってきてくれることで、少なくともポグバと途中交代で少しは休ませることができる。ポグバが本調子であれば、ミレッティ、バレネチェアも加えて中盤の各ポジションに2人ずつ揃えることができる。EL、リーグ戦、コッパイタリアを残すチームにとって、要となる中盤の選手をうまく休ませながら戦うことができるのは大きなプラスになるはずだ。

何より、ポグバのプレーを見るのは楽しい。どんなプレーを見せてくれるのかワクワクする。ディマリアやロカテッリ、コスティッチ、ブラホビッチにキエーザらとプレーしたらどんな化学反応が起きるのか。これからユベントスの試合を見るのがさらに楽しみになってきた。

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