ロシアがルーブル払いを要求するのは、気体の天然ガスのみで日本へのLNGは対象外

ロシア政府は、いわゆる「非友好国」に対して、天然ガスの輸入代金をルーブルで支払うように要求しています。

気体の天然ガスが対象

ただし、この枠組みは、欧州諸国を対象にしたものと言えます。大統領令によると、対象となるのは「気体の天然ガス」であり、日本や韓国が輸入している液化天然ガス(LNG)は対象にはなりません。ノルドストリームなど主にガスパイプラインを使った欧州向け輸出を想定しているのです。

日本はサハリン2からの原油や天然ガスを輸入をしていますが、サハリン南部でいったん液化してから船にのせて輸入しているために、気体の天然ガスを輸入しているわけではありません。

サハリン2とは

サハリン2プロジェクトとは、サハリン州北東部沿岸に存在する石油および天然ガス鉱区と関連する陸上施設の開発プロジェクトです。

Wikipediaによると、サハリン2は、国際入札から1994年にロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事の三者が合同でサハリン・エナジー社を設立し、ロシア政府と生産物分与協定(PSA)を締結したところから始まりました。開発が進み、うまくいきだした2006年9月、ロシア政府は環境アセスメントの不備を指摘し、サハリン2の開発中止命令を出してきました。その後の交渉で、2006年12月にロシアのガスプロム参画が決まり、2007年4月にはサハリン・エナジーの株式の50%+1株を取得しました。
これによってサハリン・エナジーの出資比率は、英蘭シェルが55%から27.5%-1株、三井物産が25%から12.5%、三菱商事が20%から10%に減少することになりました。

サハリン北部で産出した原油や天然ガスは、陸上パイプラインでサハリン南部、コルサコフの東13kmのプリゴロドノエ(日本統治時は深海村)に送られます。陸路で送るために冬季には流氷により船舶の航行が困難なオホーツク海を避けることができます。

プリゴロドノエには、ロシア初の石油・液化天然ガスを輸出する港湾施設と大規模な液化天然ガス工場があります。この工場は、日本の千代田化工建設、東洋エンジニアリングとロシアのOAO Nipigaspererabothka (Nipigas)、KhimEnergoとのコンソーシアムにより建設されました。

サハリン(樺太)南部の町にあるこの工場は、北海道のすぐ北に位置します。日露戦争の際、日本軍が最初に上陸したのは、プリゴロドノエだそうです。

この工場から積み出されたLNGは、新潟へ向かい東北電力などで使用されます。東北電力は、サハリン・エナジー・インベストメント社と、2006年5月12日に売買契約を締結しており、2010年度より20年間、年間最大約42万トンのLNGを購入することとしているとのことです。

ちなみに英シェルはサハリン2から撤退を決めたが、日本はサハリン2からの撤退は表明していません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?