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GE日立、日本勢初の小型原子炉(SMR)を受注

日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の原子力合弁会社、GE日立ニュークリア・エナジーは2021年12月2日、次世代原子力の「小型モジュール炉(SMR)」をカナダで受注したと発表しました。日本勢の小型の商用原子炉の受注は初めてです。日立が強みを持つ軽水炉技術を使った出力30万キロワット級の「BWRX-300」と呼ばれる小型原子炉を納入します。2022年末に建設許可を申請後、早ければ2028年に完成予定です。

受注先は電力大手のカナダ・オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)とのことで、同社は昨年2020年11月13日、既存のダーリントン原子力発電所(93.4万kWのカナダ型加圧重水炉×4基)で、小型モジュール炉(SMR)の建設に向けた活動を開始すると発表していました。

オンタリオ州のトッド・スミス・エネルギー相は発表を受け、「オンタリオ州は、本日の発表を契機としてSMRのような新しい原子力技術でリードしていくことになり、これは州とカナダ全体にとって経済的・環境的に大きなチャンスとなる。SMRは信頼性が高く、GHG排出のないエネルギーを提供すると同時に、雇用、経済成長、輸出機会を生み出すことが可能だ。この技術のリーダーとなり、オンタリオ州の原子力に関する専門知識を世界にアピールする機会が今まさに訪れている」とコメントした。

JETROビジネス短信

とのことですが、信頼性が高いとは本当でしょうか。

小型モジュール炉(SMR)は、既存の原子力発電所より信頼性は高く、テロにも強いかもしれません。でも次世代電源として期待していいのでしょうか。

放射性物質を環境中に放出してしまうような事故のリスクは低いとされるが、使用済み燃料や廃炉後に放射性廃棄物が生じるのは通常の原発と変わらない。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12921012102021000000/

と、あるように、既存の原子力発電所の問題の根本的解決はなされていないように思います。

「小型モジュール式原子炉は、たいていが悪策だ」と自然エネルギー財団では痛烈に批判しています。

SMRは、製造規模の経済性を達成できず、建設速度が遅く、スケールアップによる効率性を犠牲にし、安価ではなく、遠隔地や炭鉱跡地に適しておらず、多大なセキュリティコストに直面し、廃炉にはコストと時間がかかり、賠償責任保険に上限が設定される。意図的に効率の悪い方法を選んでいるのに、課題は何ら解決されていない

https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20210528.php

自然エネルギーばかりではなく、既存の核分裂による原子力発電ではなく、核融合の研究は進められていますが、日本のエネルギー政策として、水素エネルギーやメタンハイドレートなど、そのほかの選択肢はどうなのでしょうか。

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