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冒険。

 だから、ベランダに出る時は洋服を着なさいって、そんなの言われなくても分かってた。慌ててたし、ほんのちょっとの瞬間だよ。どーせ誰も見てないよ、なんてね、天気も良かったし、ダダっとね、サッとね、スリップ一枚の姿で、干してある洗濯物の中から、お目当ての物を掴んだの。あ、乾いてる、良かった〜
陽射しも反射して天気も良い。
そんな時、
視線を感じて上を見たら…
あ、このマンションって、上層階がちょっと奥に段々となってるから、5階の住人と目が合っちゃって、しかも、何だか笑ってる。あ、ちょっとイイ男♡なんてチェックはしていないわよ。いや、本能でチェックしてたかもねw わたしは、貧乳じゃないし、巨乳ってのでもないけど、バランス取れた丁度良い美乳だから、「目撃者になれてラッキー」くらい思いなさいよw 自分で言うな、あほらしいw
まだ見てる、ふざけて投げキッスの振りをしてみた、恥ずかしさを隠した裏返し。
きっと降りて来る。
妙な確信に、あ、玄関の鍵を締めてないことに気づいて、また慌てて、スリップ姿で走って、鍵に触れる前に、何故か?ドアの覗き穴から、さっきの男が立ってる気がして確かめてみたくなった。


もう…居た。

あ、鍵、まだ、

「ね、ドアの前に居るよね?」
男が話しかけて来た。
平静を装って、背筋を伸ばして、応える。
「何で降りて来たの?」
「だって呼んだでしょ」
次の瞬間、ドアが開いた、、、
大声で叫んでやろうと思っていたけど、やめた。
近くで見たら、どストレート。タイプだから。
あ、まだスリップ姿のままだった。
気づいたら、男はケーキの箱を手に持っていて、一緒に食べない?と笑った。
リビングのテーブルに向かい合わせで座り、沈黙になるのも嫌だし、キッチンで紅茶でも淹れようと、さっき掴んで椅子に掛けたジーンズを履きながら歩いて、また途中にある、昨日着た麻のシャツを羽織った。
この状況下はおかしい。とにかくおかしい。
そんな言葉を脳裏で囁きながら、男の好みが、ダージリンか、アールグレイか、セイロンか、なんてバカらしい。そもそも家にはアールグレイしか無い。
お湯が沸くまで黄昏ていたら、斜め後ろに瞬間移動したように立つ男に、今更ながら驚いた。

「な、何?」
「分かってるでしょ?」
羽交い締めにされされて、正気に戻る。ヤバい、ヤバい、この状況は、あ、でも顔も体格も匂いもイイかも。
また、ハッと目覚める。
さっきまでの状況が嘘のように、わたしと男は静かに向かい合い、紅茶を飲みながら、男が持って来たチーズケーキを黙々と食べた。
陽射しは更に強く、外の景色を蜃気楼のように、ボヤけさせる。洗濯物だけがヒラリと時々、影を落として、室内に明暗を反転させる。
この後、やっぱり、そういうことになるんだろう。
そんなエロスを想像しながら、
(甘いもので満たされた後は面倒くさいな)なんてことを浮かべながら、あ、この男も蜃気楼で、実態のない幻なんじゃないか?と思って、どうせなら確かめてやろうと、テーブルの下から脚を伸ばして、男の脚元がちゃんと存在するのか、よーし、確かめてやる、確かめよう、と
あ、また、ブツブツとしていたみたい。
あ、女って、男以上に、面倒くさい。



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