会社の仕事を作り直す方法(Chapter4-1)

1 そもそも基本が出来ていない

なぜ「仕事の本質」からズレるのか。

それは、仕事そのものがきちんと作られていないことが考えられます。
ビジョン(経営方針や事業方針)やミッション(部門の使命や役割)が決められていないとか、“本質”に基づいて仕事や業務が作られていなければ、ズレというものが存在しません。
そもそも「仕事の質」なんて考えることも、議論することもできないのです。

(1)ビジョンやミッションが無い

売上目標や1日の処理量などの数値目標は設定されているが、経営方針が無いということは、ありませんか。そのような場合、経営者は、数値目標がビジョンなのだと勘違いしているのです。もし、日々の数値目標だけを追うために仕事をしているとしたら、方法や手段を選ばなくなってしまいます。
また、ビジョン(方針)やミッション(使命や役割)を社員に伝えることをせず、作業だけを社員に指示してやらせている場合もあります。社員は、言われたことをやればいいのですから、「仕事の質」を意識することなんてありません。

(2) “本質”に基づいて仕事や業務が作られていない

① 規模の拡大

経営者や中核幹部である部門長の”頭の中”にあるビジョンを元に、社員や部下を組織化し、全体として仕事の整合を取っている。
つまり、「あの人だけが分かっている」ということは、ありませんか。

一人が見渡して仕事の整合を取ることができる人数は、せいぜい50人までです。仕事の場所が離れていたり、もともと素養の無い人であれば、その数はもっと少ないでしょう。人数が増え、組織が大きくなるに従って、全体を見渡すことができなくなり、一人では仕事の整合が取れなくなってしまいます。
そうなると、仕事だけが伝わって、だんだんと誰かの頭の中にあるビジョンからズレていきます。

② かけ声だけ

ビジョン(経営方針や事業方針)は有る。それを、社員にもちゃんと伝えている。あとは「自分たちで考えてやれ」「みんなでがんばれ」と現場にかけ声をかけて終わり。ひどい場合には、言いっ放しということは、ありませんか。

年頭の社長の挨拶や、社内報などで、方針を知ったとしても、大概は「へ〜、そうなんだ」で終わりです。気持ちや心構えは変わっても、仕事までは変えようとしないでしょう。
もうこの段階でズレています。

③ やり方が分からない

ビジョン(方針)は有るし、ミッション(使命や役割)も設定されている。そして、そのことは、ちゃんと社員も知っている。最近は、それに合わせて少しずつ仕事の内容も変わってきたなぁと感じる。そんなこと、ありませんか。

上手く行っているようにも思えるこの状況。実は、ここにもズレの要因が潜んでいます。
方針が打ち出されたからには、その方針に合わせた仕事をしなければならない。ただ、何をすればいいのか分からないので、思い思いに、なんとなくやっている。だいたい合っているからいいんじゃないの。

結局、“本質”に合わせて仕事を決め、仕事を作っていくやり方が分からないから、社員の裁量に任せてしまう。それを各自に任せていては、社員全員の力を結集することはできないのです。

つづく


このブログは、弊社発行の小冊子『社員力を100%活かすための 会社の仕事を作り直す方法』を再構成しています。


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