インドのビジネスモデル図解まとめ6個

こんにちは。ビジネス図解研究所のぐら(ジマタロ)です。

先日の記事でお知らせ下通り、今回で月刊ビジネスモデル図解の更新は最後の更新になります。最後の特集はインドです。みなさんはインドにどんなイメージを持っていますか?

代表的なものではカレーやタージ・マハールなど、最近ではインド映画のボリウッドや自動車会社のタタ・モーターズなども、日本ではよく知られているかと思います。そして、ビジネスに注目してみると、ITを活用した特徴的なサービスや、インフラなどの課題に対するソーシャルビジネスなど、インドならではのユニークな取組みが多く見られます。

そして、いま急成長を遂げているインドは、2016年の時点で世界第3位のスタートアップ企業数があり(※1)、2025年には中国の人口を追い越すともいわれており(※2)、経済的にも高い注目が集まっています。そこで今回は欧米や東アジアではあまり見られない、インドならではのユニークな6つのビジネスモデルに注目してみたいと思います。

図解目次

1. アラビンド眼科病院:手術の高回転率化により、貧困層に無償で医療サービスを提供する眼科
2. ダッバワーラー:職場に家庭のお弁当を届けるインドならではの配達サービス
3. ayaashree Industries:インド発女性の起業と意識改革を促した生理用ナプキン
4. AirInk:排気ガスから作られたインク
5. Aadhaar:生体認証を用いたインド版マイナンバー
6. rural supply chain:インドの農村が豊かになるB2B2Cモデルを構築

それではどうぞ!

1. アラビンド眼科病院

「不必要な失明を根絶する」ため、医療の定説を覆したビジネスモデル

Aravind Eye Hospital(以下、アラビンド眼科病院)は、1976年にDr. Govindappa Venkataswamyがインドの南部マドゥライに設立した眼科病院だ。現在ではマドゥライの他、11の拠点をもつ。「インドにおける不必要な失明を根絶する」そんなビジョンを持ち、58歳にしてアラビンド眼科医院を開いた創設者のDr. Govindappa Venkataswamyは、「ドクターV」の愛称で知られている。

インドでは、2010年時点で年間400万人もの国民が、失明の主な原因である白内障を患っており、その当時の失明患者数は、全世界のそれの4分の1を占めていた。しかもその人たちの多くが、日本で受けられる診療レベルで失明を避けることができたと言われている。

それほどまでに失明者が多い原因は、診療を受けることができない貧困層の多さだ。「不必要な失明を根絶する」ため、ドクターVは、貧しい患者でも診療を受けられるように高額な医療費を負担しなければならない医療の既存ビジネスモデルを変えなければならないと考えた。

アラビンド眼科医院のビジネスモデルでは、貧しい患者が無償で医療サービスを受けることが可能だ。患者の支払い能力に応じて、医療費の全額負担・一部負担といったように傾斜をつけて医療費を回収することによって、貧困層へ無償で医療を提供しても黒字経営を実現している。

このビジネスモデルの特長は、手術の回転率が圧倒的に高いことだ。日本や他の国では、1回の手術につき手術室に入る患者はひとりなのが普通だろう。しかしアラビンド眼科医院では、手術室に複数人の患者が入る。1人目の手術の間に、スタッフが2人目の患者の手術の用意をして、スムーズに次の手術を始める仕組みだ。ひとり当たりの手術時間は15分と、これ自体は他の病院との差はない。しかし、手術と手術のスキマを省略することで、高い回転率を実現して収益をあげている。懸念となる感染症などのリスクについては、他の先進国と同レベルの確率でしか起こらないことを明らかにしている。

また、このビジネスモデルをつくる上でドクターVに立ちはだかった壁がある。白内障により曇った眼内レンズと交換する、人工レンズのコストの高さだ。従来使用されていた欧米製の人工レンズは1枚60~150ドルドルと高額で、当初アラビンド眼科医院は寄付によって集まった人工レンズで手術を行なっていた。1992年に設立され、アラビンド眼科委員の製造部門となっている「Aurolab(オーロラボ)」では、徹底的なコストカットとマージンの圧縮で、従来の10分の1以下の価格の人工レンズを開発することに成功した。それにより、寄付に頼らない独立経営を実現している。

貧しい人たちに無償で医療サービスを提供し続けるためには、経済性を成立させ、病院が持続していく必要がある。一見矛盾しているようにも思えるが、彼らは「人工レンズの開発」、「高回転率の手術」、「段階別の医療費負担」といういくつかの仕組み(創造性)を掛け合わせることで、経済性を実現している。まさに社会性・経済性・創造性のすべてがうまく調和している、素晴らしいと思える事例だ。

2. ダッバワーラー

100年続いている就労機会の仕組み

インドのムンバイでは、5000名もの人が毎日17万5000個の弁当を届けている。この弁当を届ける配達員はダッバワーラー(DABBAWALA)と呼ばれており、会社ではなく組合の形式で組織が構成されている。インドでは家庭でつくられた暖かいごはんを食べる風習や宗教上の理由などから、昼食でも家庭の食事を食べたい需要が高い。しかし大都市の混雑する通勤時間帯に自身で持ち運ぶのは困難であることから、家庭のお弁当の配達というユニークなサービスが成立している。

インドは道路状況が悪かったり遅延や渋滞が起こったりするにも関わらず、遅れたり配達の間違いが起きることはほとんどないらしい。それが実現できているのは、組合が基本的な規則だけを定めて現場の動きやすさを優先した仕組みによって運営されていることが理由にあげられる。例えば、決まった時間に集荷して個別対応は受けない、文字の読めない人でも配達先を間違えないよう記号を用いた表記が弁当箱に記載されている、常に5人ほどの余力を持たせておくことでトラブルがあってもリカバーできる体制をつくっている、など。

このように、多くの人にとって働きやすい労働環境を提供することで、ダッバワーラーは自分の仕事を遂行できるようになり、それが結果として配達の間違いや遅れを起こさない仕組みを生み出している。ダッバワーラーの報酬はどの立場であっても同じ金額になっている。組合の体制をとっているため給与格差が起こることもないので、不満も離職率も非常に低いようだ。全体を通して出た利益は組合全体の方針で、コンピューターのスキル習得などの福利厚生や寄付などの活動にまわっている。

社会性の観点で注目したいのはShare my Dappaという取組み。これは、インドの食事を分け与える文化が活かされた社会貢献の一例だ。弁当を回収するときに『Share』のシールを弁当箱の上に貼っておくと、ダッバワーラーはそれを一度ボランティアの人に集めて、ボランティアは余ったお弁当を恵まれない子どもたちに届ける。100年以上前から始まったダッバワーラーが、この弁当の配達というビジネスが、現代では社会課題への貢献にも役立てられていることに、関心させられる。

3. Jayaashree Industries

インド全体を救う女性用ナプキン

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