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【ボクシング】ジョナス防衛もメイヤーの圧勝にしか見えなかった


1月20日(日本時間21日)
イギリス・リヴァプール・M&Sバンクアリーナ
IBF女子世界ウェルター級タイトルマッチ10回戦
○ナターシャ・ジョナス(39歳、イギリス=66.2kg)チャンピオン
●ミカエラ・メイヤー(33歳、アメリカ=66.3kg)1位
判定2-1(96対94、93対97、96対95)

 クリーンヒット数、相手に与えたダメージ、主導権争い等のリングジェネラルシップ。その全てにおいて、メイヤーが優っていたとしか見えない試合だった。ジョナスを支持したジャッジ二者は、地元ファンの大歓声に飲み込まれてしまったとしか思えない。

 サウスポースタイルから軽快なフットワーク、サイドステップを使い、スピーディーなストレート主体の攻撃を仕掛けていく。これがジョナスの持ち味だ。が、それが活きたのは初回と5ラウンドの最初だけだったと言い切ってよい。
 メイヤーは、決してそのスピードに気後れせず、かといって、慌ててスピードで対抗しようとすることもなく、非常に落ち着きながら、じわりじわりと自分のリズムを築き、距離を詰め、一転してタイミングを速めたワンツーや右ストレートを放ってヒットを奪った。その右から遠ざかるために、ジョナスが右(メイヤーから見て左)への移動を多用すれば、左フックを上下に送る。それを鬱陶しがって、今度は逆に回っていけば、右ストレート、右フックで押さえ込む。ジョナスは自然、正面の空間に封じ込められてしまい、右ストレートの威力圧力に押されてしまい、下がってロープを背負う場面が増えていった。

 当日の朝にも計量が実施されるはずのIBFだが、試合が始まる夜までに時間はたっぷりある。その間にさらに増量したのだろうメイヤーは、ジョナスよりふた回りも大きく見えた。それゆえ、重く強い右は、ジョナスにとってさらに脅威となっていたことだろう。これを止めなければという思いから、強打で跳ね返そうという意思が働き、ジョナスは自身の持ち味である動きを止めてしまう。それこそまさにメイヤーの思うつぼ。動かない的をメイヤーは心地よく攻める。顔面への右ストレートのみならず、ボディも打ち、左フックでも上下を攻め、それらを組み合わせたコンビネーションを繰り返す。さらにグッド・スパイスとなっていたのが右ボディアッパーだ。左ボディアッパーのカウンターを得意とするジョナスのお株を奪うような、接近戦での差し込み方。ジョナスの足を止めた要因のひとつでもあった。

 きちんとした筋立てどおり、冷静に一撃でもコンビネーションでもジョナスを捕らえていったメイヤーに対し、精神的にも追い込まれ続けたジョナスの連打は的確性を欠いた。相打ちになってもメイヤーが常に優り、左目周りをいつの間にか腫らされたジョナスは、抵抗の姿勢を示すのに精いっぱい。それでも、ダウンだけは拒否しきった姿は立派──そんなことを考えながら、10ラウンドの戦いを見届けたのだが……。

 判定結果に不服の表情も態度も示すことなく、清々しい様子で「リマッチ」を訴えたメイヤーに救われた。

ジョナス=18戦15勝9KO2敗1分
メイヤー=21戦19勝5KO2敗

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