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格闘技における体重超過問題

最近、格闘技界では試合前の計量で
選手が規定の体重まで落としきれないケースが多発し
問題になっています。

※写真↑の
合唱番組チームメイト武尊くんも先日のタイトルマッチの対戦相手が計量オーバーだったとか。

体重超過をした選手には格闘技関係者やファンから多くの批判的な意見が寄せられ
その影響によってかは断定出来ませんが
先日、無理な減量を行った選手が亡くなると言う
痛ましい事故が起こってしまい
体重超過への罰則を緩めるべきか否かが
SNS上で論争を呼んでいます。

事故は大変残念であり
未来にまだまだ楽しい事が沢山待っていたであろう
才能溢れる若者が志半ばにして人生に幕を下ろした
その事実、そして無念を思うと胸が苦しくなります。

しかしそれとは別に
体重制競技における
体重超過の罰則の緩和/容認には断固として反対したいと思います。

悲しい事故と
罰則の緩和/体重超過の容認

これは全くの別問題だと
私は思っています。

片方の選手が体重超過をしてきて
もう一方の選手がしっかり体重を落としていたら
当たり前ですが
これはフェアではありませんし
スポーツ競技でもなくなってしまいます。

体重差は勝敗にも影響しますし
更に身体にダメージを与え合うと言う格闘競技の性質上どうしても相手の体重が重いぶんだけ軽い方に負担や危険のシワ寄せが来ます。

私もかつて石垣島で行われたMMA大会で4.7キロオーバーのロシア人との試合が強行されKO負けを経験しましたし
ブレイキングダウンでは運営からの説明なしに4キロ重い階級への試合直前の変更をされまして
2キロ重い相手(こちらは運営のミスなので相手は悪くない)と戦い
その打撃の重さに苦しみました。

仮に体重差がなくても私は負けていたかもしれませんが、これは勝ち負けと言う結果だけの単純な問題ではないんですね。

これらはやはり公平なスポーツ競技においては
絶対にあってはならない事なのです。

では、キロまで行かないような
ほんの少し
例えば数百グラムオーバーであればいいのか?と言えば、私はやはり駄目だと思います。

その少しの差が勝敗を分ける可能性もゼロではありませんし
仮に勝敗に影響しなかったとしても
公平さを欠いた試合はもはや競技ではなく
一過性のイベントや
下手するとお遊びになってしまいます。

例えばオリンピックのマラソン競技などで
あまり速くない国の代表選手がいたとして
「あ、私どうせ優勝までは出来ないからちょっと先に走り出してもいいですかね?」とか言い出して
それを審判や運営が「う〜ん、まあいいよ」とかオッケーしたら一気にしらけませんか?

あと、バスケとかの最高の舞台(NBAとか?)で
「ちょっと今日だけゴールの位置が片方のチームだけ低いです、でも3センチくらいだからあまり影響ありません」とかなったり(バスケ未経験なんで的外れな例えかもですが…)
サッカーのワールドカップで「片方のゴールだけひと回り小さくしました」とか
「うちら強いから最初から2点差スタートでいいよ〜」みたいな事がまかり通ったならば
皆さんは真剣にその競技を見られますか?

それらを許した瞬間に
どんなハイレベルな選手が出場していても
その競技はテレビ番組の企画レベルになってしまうのです。

もちろん肩の力を抜いてアスリートの凄さを見られるテレビやYouTuberなどの企画は楽しいですが
一流アスリートらが富や名声を得るに至った元となる競技がそんないい加減なことではいけません。

運営や選手やトレーナーなどの業界内の人間が
体重超過の容認を支持すると言うことは
自らが命や名誉を賭ける競技を貶め辱め
お遊びにしてしまう行為だと私は思います。

では
体重超過への厳罰をどうするか?と
事故の再発を防ぐにはどうするか?を
考えて行きましょう。

私個人の考えでは
体重超過への罰則は更に厳しくして行くべきだと思います。
《更に》と言いましても団体や競技によって違うので
一概にこうとは言えませんが
基本的には試合を成立させては駄目だと思います。

ただし
心無い誹謗中傷やネットリンチみたいな事はやめるべきだとも思います。

これは私の勝手な憶測なので
なんの根拠もデータもありませんが
体重超過をしても興業や運営側試合を成立させたりしてしまうので
余計にバッシングが強まっている気がします。

そして真面目な選手ほどそれを気に病んで無理をしてしまう。

なのでシンプルに
《体重を落とせなかったら失格で出られない》
では駄目でしょうか?
場合によっては相手への賠償金も支払うなども必要かも知れません。

もちろん対戦相手や興業主やお客様には迷惑はかかりますが
もうこれは失敗したんだから仕方ないし
その一番のペナルティを「輝ける舞台に立てない」と言う結果により選手が償う。

私はこれがシンプルで良いのではないかと
現時点では考えています。

再発を防ぐには選手やコーチの減量に対する意識や技術の向上はもちろん
前日計量であれば当日戻して良いキロ数に制限をかけるか
もしくは、一番良いのは当日の試合1時間前とかに計量をすれば
それが1番安全でフェアなんじゃないかと思います。

今のMMAなどで主流の前日計量ですと
《水抜き→戻し選手権》の様相を呈していて
内臓的や体質的にそれに適している選手が有利になってしまう事が考えられますし
先述したように何より選手の健康や命が危険に晒されます。

私の先輩MMAファイターも現役時代に過酷な水抜きをした事により内蔵を壊し
引退後もず〜っと最期まで足のむくみをはじめとした色々な症状に苦しんでおられました。

そして、それが直接的な原因ではありませんし
死因は別のものでしたが
先輩は40代半ばと言う若さでの世を去りました。

個人的な意見ではありますが
現役時代の過酷な減量の影響もゼロではなく
間接的な影響はあったのではないか?と私は考えております。

とにかく
健康面においても
体重制競技においても
フェアで安全性の高い当日計量を
私は推していきたいです。

とある格闘技界の名トレーナーさんが言っていたのですが、食料が安定供給されてきた農耕民族の日本人の内蔵は前日計量のシステムに合わないそうで
前日計量に向くのは
何日も空腹で獲物を追いかけ
捕まえたらたらふく食べて一気にデカくなる狩猟民族なんだそうです。

いきなり世界の流れを当日計量にするのは難しいでしょうが
段々と世の中がそうなって行くことを
願っています。

最後になりますが
とにかく前日計量/水抜きと言うのは
頻繁に救急搬送者を出す事態に発展したり
その1部の方が後遺症が出るほどの深刻なダメージを追ったり
命を落としたりする程の危険性があるわけで
そこから推測される事と言うのはやはり
人によって個人差はあれど
ある日、あるタイミングでは
仮に選手がキチンと計画的に減量を行ったとしても
身体の不調や故障、なんらかの防御反応で上手く行かない事があるのではないかと
私は思うんですね。

そしてまだ水抜きの減量法に関しては憶測や論争が飛び交うくらい未知の部分も多いので
計量オーバーが必ずしも選手の怠慢や準備不足で起きているのではないのではないか?
もしかしたら前日計量と言うシステム自体にも
問題があるのではないか?と
私は考えています。

なので、あまりにも酷い内容の舐めた計量オーバーなどは別として
体重超過が起こった流れや背景
その前後の選手の態度やふるまいなどを考慮し
不可抗力が考えられる場合は
あまり心無い言葉を浴びせたりする事は控えるなど
するのが
悲しい事故を減らすために
今私達が出来る最速で最善の対処なのではないかと思いまして
本日このような記事を書かせていただきました。

お読みいただき
ありがとうございます。


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