徳島県那賀郡那賀町での人権教育研究会

私にとって郡部でのLGBT講演会は初めての経験でした。那賀町の人口8,400人で、会場となった町の中心にある鷲敷中学校でさえ教員は16人というところです。そこに那賀町にある全小、中、高の90人の先生ほか、教育長もご参加頂きました。予定のある先生以外は全員参加の研修会でした。

町の抱える最大の課題は、人口減。このような地域でどうLGBT人権文化を根付かせるかを考える。

同性婚、差別禁止、ダイバーシティという文脈で語れば、どのような結果になるのか。そんなことを感じつつ、探り探りの講演となりました。ゆっくりゆっくり皆さんの反応を見ながらの話を楽しみつつ進めました。

ここで何を話せば、皆さんが心の窓を開けて頂けるのか?

差別、偏見の中にある当事者の子供たちを可視化するだけでは、おそらくインパクトに欠けることは最初からうすうす分かっていましたが…

最後に私が選択したのは、過去の同和研修でした。

同和研修のあり方を省みて、「課題の完全解消への道標」を明確に示し、「10年先の世界一を目指そう」と締めくくりました。

徳島県もそうですが、西日本は、特に同和研修が盛んな地域です。それを省みることは人権教育では、事実上タブーとなっているように思います。あえてそれに触れたのは、パラダイムを変え理解増進教育へいざなうためです。

研修会の終了後、役員の先生と話をしましたが、驚きとともに、私がLGBT理解増進にかけた思いが十分に伝わったのではないかと感じました。

「同和問題の解消に向けての取り組みで、よい部分は見習い、そうでない部分は踏襲しない」という明確なメッセージは、理解増進への道を明確に示せたと思います。

別途、保護者のお一人が控室にお越しになり、人口減に悩む町を反映し、人口増につながる施策として、町が行っている「若者の出会いの場の提供」とLGBTという具体的なものがありました。活動をサポートしている皆さんの多くは善意の中高年の女性の皆さんとのことでした。

私は即答を避け、LGBT理解増進法の成立後にできるであろう政府の連絡会に図り、全国にあるこのような活動とLGBTへの配慮について、国が見解を示すようにしたいと約束しました。人口減が深刻な地域で、全国的に行われている施策ですから、各地が共通の認識を持つことが大事だと思います。

徳島と言えば、LGBT人権講師として問題が指摘された講師が過去にいましたが、当地での講師は偏りが今でもあります。地域に偏った活動があるとそのメッセージが広がってしまう現実があります。特に当事者や大学の教員は影響が大きいでしょう。

都市部と違いコミュニティが密な郡部での今回の研究会で、多くの課題が確認できました。

鷲敷中学校長の吉成先生は、徳島市まで往復約4時間、車での送迎をして頂きました。いろいろと車内で意見交換もさせて頂きました。心から感謝します。




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