サルバドールの朝
たまに、「ものすご~く悲しい気持ちになりたい・・・」と思うことがあります。
変ですかね?でもあるんですよ。
「1日1回、膝が折れるぐらいバカ笑いする」というノルマを、同じ仕事部屋の同僚と打ち立てたこともあって・・・お互いがどうにかして相手を爆笑させようと、暇を見つけてはあの手この手。
結構な成功率で、息が出来ないほど、よくふたりして笑いころげました(≧∇≦)。
その反対が「悲しい気持ちになる」活動。
これは独りで挑みます。
ワイルドの「ナイチンゲールとバラ」とか「幸福な王子」、星の王子さまの最後の方などは、なんど読んでも「ぁうぅぅ」となれます。
幸せそうに不幸になっていくのが酷です。
で、表題の映画のお話。
この作品は、フランコ体制下のスペイン(1939-75)で実際に起こった悲劇の映画化。
あらすじ
1973年、独裁政権下に育ち、不条理さにうんざりしていた25歳の青年サルバドールは、反政府運動に精を出していた。ある日の活動中に突如銃撃戦となり、サルバドールは自らも瀕死の重傷を負いながら投獄され、果てに刑事を射殺した罪で死刑判決を受ける。死刑を何とか阻止しようと、弁護士や仲間たちは奔走するが・・・
映画前半は、活動の資金稼ぎに銀行強盗を繰り返す、サルバドールたち若い活動家のアナーキスト振りが目だつ。近代のスペイン史を知らないと(私はよく知らなかった(^-^;)、ちょっと無茶苦茶な若気の至りに見えちゃう。
自分を「独裁政権下に生を受けた青年」に据えて観ていくと、ことの善悪の判断基準の不確かさや、「もう、行ける所まで行くしかない」焦燥感が、分かる気がしないでもない。
後半は、主に獄中のサルバドールとそれを取り巻く人々の関わりが描かれる。
不条理な死刑を何とか止めようとする仲間たちの友情、獄中の彼を支える姉妹の絆、看守との間に芽生えた関係、父との和解・・・人間ドラマが丁寧に描かれる。その合間を縫って、死刑阻止の攻防戦!たまりません~
そして、ラスト30分は覚悟してください。
死刑を題材にした映画はいくつか観ました。
『グリーンマイル』『デッドマンウォーキング』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ラストダンス』・・・ぬるい。
流石ヨーロッパ産は容赦ない。
本作は死刑の是非を問う映画ではないので蛇足ですが、「ガローテ」っていう処刑方法に関しては・・・こういう方法は廃止してくれと思う。
「ガローテ」は残酷です。
しかし、ここで目をそらすなら、最初からこの映画を観ないほうがイイです。
後味はモノスゴク悪い。
冒頭で書いた通り、「ものすご~く悲しい気持ちになりたい・・・」と思う時に観る1作です。
救いは、サルバドールが殉教者として死ななかったことぐらい。
暫くは、ディランの「『ノッキン・オン・へヴンズ・ドア』を聴くと涙が出ちゃう」病になる恐れも・・・
2006年 スペイン映画 2時間15分
監督:マヌエル・ウエルガ
出演:ダニエル・ブリュール
おまけ
主役のダニエル・ブリュールさんは、1976年スペイン生まれのドイツ人俳優さん♪
『グッバイレーニン』(2003)や『イングロリアス・バスターズ』(2009)などが、221Bのお薦めです♡
ナチスドイツの国防軍一等兵(可愛い(*≧з≦))
『Captain America: Civil War』(2016)の悪役も決定したらしい?
おしまい
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