かなむらさん、ちょっと質問したいことが:同人誌を作るスケジュール

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>こんにちは。いつもツイートを拝見しています。
今度人生で初めてのイベントで、人生で初めての同人誌を出すことになりました。全く勝手がわからないのでとりあえず今は本文以外のことは考えないで、一に原稿で二に原稿という感じで進めています。
そこで質問なのですが、かなむらさんはどのようなスケジュール(例えば締め切りから逆算して表紙を作るのはこの時期とか)で制作を進めてますか?

 この質問頂いたのが去年の九月なので絶対にもうこの本は出ていると思うというか、もうお返事したような気もするんですが、これよく聞かれるので改めて答えておきます。


1 同人誌を出すことが決まる

 一年前、三か月前、三日前、いろいろです。わたしはコピー本はほとんど作らないので(作るのは好きなんですが遠征で忙しくてそれどころじゃないことが多いので)たいてい三日前くらい、日曜がイベントで木曜か金曜くらいに思いつくという意味ですが、これは印刷所に頼む際のほぼ最終に近いデッドラインです(わたしは割増入稿を基本的に利用しません)。

 小説同人誌なら基本的には三ヶ月~二週間くらい前に予定を立てますが、小説以外(評論系)の同人誌の場合時間がめちゃくちゃかかるので一年くらいを目標にしています。でもまあ三ヶ月以上を目標にする場合は同人誌を作ることが目的というより「とにかく書いて、書けたら本にしよう」なのでちょっといろいろ勝手が違いますね……。

2 ネタ出しとともにタイトル・装丁を考える

 本を出そうと決めた当日~翌々日くらいで、書く内容をざっくり決めて、使いたい紙や表紙のイメージをぼんやり固めます。本全体の雰囲気を考えていくことで書きたい小説のイメージも固まってきます。

3 同人誌の締め切りを早割・通常・延ばせるぎりぎりまで出す(印刷所を決める)

 出すと決めた当日か翌日くらいには調べておきます。あんまり早いとわからないので、ざっくり「来年の8月初旬頃締切」とかだったりすることも。早めに上がったら早割使ってこの印刷所でこの料金プラン、目標はこのへんの料金プラン内に収めたいのでこの印刷所で、ぎりぎり入稿ならこのへん、というのを決めます。

4 タイトルができたら表紙を作る

 タイトル、装丁、料金プランあたりが決まった時点で表紙を作ります。背幅まわりは微調整できるようにしておきます。

 プランに合わせて、表紙案もフルカラーと二色刷り・単色刷りなどで三種類くらい作っておくこともあります。

 また、このタイミングでできれば本文装丁や文字組も決めておきたいし、扉や奥付といった事務ページも終わらせておきたい(小説を書いてみないと着手できないこともある)。ここまでで余裕があれば三日(~もっと余裕があれば一週間くらい)、余裕がなければ三時間くらいでどうにかやっつけます。

5 小説を書く

 書いたら終わる!

7 小説の校正と本文ページの編集をする(いつも思ったより時間がかかる)

 本文の装丁や文字組、ノンブル、タイトルまわりの調整、事務ページ……一時間くらいで終わるような気がするのにいつも思ったより時間がかかる……。朝が来る……。

8 入稿

 おつかれさまでした!



 わたしは表紙は早めに作るのですが、画像加工があまり得意ではないため、「不得意なジャンルのタスクを残しておく心理的ストレス」を解消するために表紙をさっさと作ります。タイトルがなかなか決まらない人や表紙を作るのが大好きな人、作品作りの合間に気分転換が欲しい人はあとに残しておいた方がいいのかも。

 この場合の得意ではないというのは漫画やイラストを普段から描く人やデザインが本職の人と比べると得意ではないという意味であり、また、小説を書くより所要時間の計算が個人的にしづらいので時間の余裕があるうちに片付けておきたいということでもあります。わたしは小説を書く際「これだけのエピソードだと何万字くらい、何万字書くなら所要時間何時間、日割りで何日」が計算できるほうの小説書きなので(いまでもできるかちょっとあやしいですが、少なくとも二次創作をやっていた頃は完全にできたので)小説以外の作業を時間や心理的な余裕があるうちに仕上げておきたい。できれば本文装丁も先に固めておきたい。あとは小説を書いて誤字脱字チェックするだけでいい状態で小説を書けるなら、早朝9時入稿ぎりぎりまで起きて原稿をやるというような芸当もまあできる……。

 また、表紙づくりは小説のイメージボードも兼ねているので小説をどういう方向性で書いていくかを固める役割も果たしています。

 要するにわたしは「小説以外の雑務を全部先に済ませる」「小説のイメージを表紙から逸れないようにしっかり固める」さえできていればあとは作業に取れる時間が12時間しかないとかでもまあ本は出ていた、って感じでした。

 もちろんこれは各々で優先順位の決め方があると思います。ポイントとしては「苦手なことから先に済ませておくと、あとの作業がストレスフリーでできる」ということです。

 あと、原稿をスムーズに進めるためには「原稿中ではない時間に何をしておくか」が結構大事で、原稿が始まる以外の時に表紙の作り方や装丁案をためておくとか、本文の文字組のフォーマットを作っておくとか、漫画の人だとソフトを使った時短テクをマスターしておくとか、小説なら自分にとって便利なテキストエディタの使い方に慣れておくとか、スムーズに原稿に入れる方法を考えておくとか、そういうのが大事。

 原稿中って思ったより忙しいし思ったより時間がないので、とにかく時間があるうちに準備をしておく、あるいは自分をデータベースとして使える状態にいろいろインプットしておく、そして原稿中にはインプットしたことを全部使って時短でも手癖でもばんばん使って全力で時間内にできる限りのことをできるように工夫する、というのが大事だと思います。

 質問者さんはもう脱稿したかもしれませんが……おそくなってごめんね……みんな原稿頑張ってね~。

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