オリジナルでやればいいのに

 昔々あるところに、腐女子がいました。

 腐女子はパラレル設定が好きでした。パラレル設定とは、二次創作をするとき二次創作元の設定を使わずに自分で考えた、もしくは他の人が考えた設定を共有することを指します。

 彼女の考えたパラレル設定は、とても手が込んでいて、おもしろいものでした。それを読んだ人が言った言葉が、善意だったのか悪意だったのか、今となっては判別ができません。

「二次創作である意味ないんじゃない? オリジナルでやればいいのに」

 彼女はそれを聞いて長い間考え込み、結局、一次創作を書いてみることにしました。自然、彼女が愛していたキャラクターと似たようなキャラクターが登場することは避けられませんでした。そういうキャラクタが―が好きなのだから、仕方がありません。彼女の一次創作は、それなりに好評を博しました。

 そして今度は多分、はっきりと悪意でした。

「あのキャラのまんまだよね? 二次創作でやればいいのに」

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