神とふぁぼ魔
昔々、神がいました。
神がいましたと言ってもそれは架空の非実在の(神が架空で非実在であるかどうかは宗教家から物言いが入りそうですがここではさておいてください)存在を示す神ではなく、単に絵がめっちゃうまい神でした。ただのインターネットミームです。
神は、まだ神と呼ばれたことはなかった子供の頃から絵を描くのが好きでしたが、職業にすることを望むほどではありませんでした。神は毎日たくさんの絵を描きましたが、老後の人生まで見据えた定期収入が見込める仕事に就くための努力も惜しみませんでした。そして神はオリジナルイラストを趣味で描き続け、それに満足していました。
ある日神はとあるアニメにハマりました。それはすごく面白いアニメで、しかも神がすごく好みのタイプの男の子が出てきました。神はインターネットで感想を探そうとし、そうして、男の子と男の子が楽しくいちゃついているイラストを発見しました。神は思いました。「BL! そういうのもあるのか!」
かくして神はそれまで培った技術とセンスで神の座に躍り出ました。pixivで1000usersはあたりまえ。Twitterのフォロワーは10000近くまで伸びました。
そしてひとりのふぁぼ魔が神を愛しました。ふぁぼ魔はTwitterで気軽にどんどんいいねをつける人のことです。ふぁぼ魔は神の絵も人格も性格もなにもかもが好きだったので、端からどんどんいいねをつけました。リプライも時々飛ばしますが、いいねの量は圧倒的でした。
ある日神はTwitterアカウントを消しました。
イラストだけではなく漫画を描くことを覚えた神ははじめての同人イベントに出ることになりました。ふぁぼ魔は同人誌を買いに行き、差し入れを差し出して、言いました。「どうしてアカウント消しちゃったんですか?」
神は答えました。
「わたしを監視してる人がいて、こわかったの」
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