物語以前02 キャラクターの「過去」

 さて、物語における現在と過去と未来についてお話をし、それは人物にも適応できるという話をしましたが、このテキストは基本的に二次創作者を対象にしたものであり、つまり、キャラクターを新規で用意することはあまり一般的な行為ではないのですが、新規でキャラクターを用意する場合も、既存のキャラクターに肉付けをしていく場合も、同じようにそのキャラクターの「現在」そして「過去」と「未来」を設定することは、そのキャラクターを把握する近道になります。


 キャラクターを創作する際の手順として、最も単純なものは、「そのキャラクターは何のために存在しているか」を考えることです。それは物語において必要な存在だから存在しているのかもしれませんし、あるいは作者にとってもしくは読者にとって好ましいから存在しているのかもしれません。

 既存のキャラクターを扱うときも同じように考えることができます。二次創作の際、既存のキャラクターを扱う場合は、「そのキャラクターを扱うことになった動機」が存在するはずです。それは単純に「好きな部分」かもしれませんし、その他に描きたい側面があるかもしれません。

 その「もっとも描きたいイメージ」「重要なポイント」「大切であると自分が思えるところ」が発生するに至った「これまでのこと」を考える、ということが、「過去」を設定する、ということです。

 「大切なところ」を得るに至った経緯、どうしてそのようなキャラクターになったのか、ということは、既存のキャラクターであっても埋まっていない(あるいは埋まり切っていない)可能性があります。大切なのは、その「重要なポイント」の「過去」を探る、あるいは考え出すことによって、「その人がその人であるポイント」、「その人がその人でありつづけられる理由」を理由づけすることができます。

 キャラクターの「現在」は「いまわたしたちが見ているそのキャラクターが、どのような姿をしているか」であり、「過去」とは「その姿を得るためにどのようなできごとが起こったのか」です。


 キャラクターが「過去」から「現在」に移行するところには必ず「物語」があります。そして当然キャラクターは「現在」から「未来」へ移行します。「現在」が書き手によって任意に選ばれた「何らかの重要さ」である以上、この場合の「未来」とは、「書き手にとってこれから起こってほしいこと」を想定することであり、また、「そのキャラクターは未来をどのような展望としてとらえているか」ということを考えるということです。

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