二次創作はどうして二次創作でなくてはならないのか
二次創作がオリジナル小説と境目がわからなくなったとき、公式準拠ではない設定が用意されて、性格づけが変えられていくとき、よく出てくる言葉です。「オリジナルでやればいいのに」。それは外部からの言葉であるだけではなく内的な葛藤であることもあります。
さて、それではオリジナルでやればいいのでしょうか?
答えはたいていの場合NOです。オリジナルでやったほうがいいことが絶対にないとは言い切れません。好ましいと感じているモチーフを好ましく運用することが目的であれば二次創作をしている意味はあまりありません。少なくとも、好ましいと感じているモチーフをより好ましく扱うことはたやすくなります。
ではどうしてオリジナルでやることを全面的に推奨しないかというと、二次創作者が見ているものは大抵の場合「好ましいモチーフ」ではないからです。
これはひとつの例にすぎませんが、たとえばそこに見出されているものは、「自分ではない何か」です。それは一般的に「わたし」に対する「あなた」、つまり「他者」に見出しているものととても近いものです。「わたし」が「あなた」をどのように認識しようと、どれほど「あなた」を観測したほかの人の見た「あなた」と違うかたちをしていようと、それは「わたし」にとっては「あなた」であって、「わたし」が「あなた」を「あなた」として認識し続けている以上、それは「自分が作り出したものではない何か」として描くことによってしか成り立たないのです。
これはひとつの例です。いろいろな二次創作者がいるでしょう。けれどこれだけは確かです。
あらゆる二次創作者にとって、「これは二次創作である」と定義できる根拠は、その作者にしかありません。
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