かなむらさん、ちょっと質問したいことが:煮詰まっているときの言語化

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>仕事や人間関係や人生で「煮詰まっちゃってる」とき、人に相談できる段階まで言語化できず手遅れになってしまいます。とりあえず紙に書き出して……とやろうとしても、頭が真っ白になって何も書けないのです。こうなってしまったとき、ごちゃごちゃしたものを相談相手に伝わるくらいまで整理する方法はありますでしょうか。

 「とりあえず紙に書きだす」をやるときのポイントは、まずなにか言葉を描こうとはしないことです。

 気軽に書けて気軽に捨てられる紙をまず用意します。チラシの裏とか印刷ミスの紙とかいらない紙のほうが良い人のほうが多いでしょう。

 それに、まず線を引くなり丸を書くなりします。とりあえず手を動かして線が引けていればなんでもいいです。絵を描いてもいいです。ぐちゃぐちゃに塗りつぶしてもいいです。

 紙がぐちゃぐちゃになってきたらそこにウワーとかギャーとかつらいとか苦しいとか、吐き出したい悲鳴をとりあえず書いてみます。書きづらくなってきたら別の紙にウワーとかギャーとかをどんどん書いていきましょう。

 悲鳴を紙に書いていって、自分がずいぶんつらいのだということを紙にぶつけることに慣れたら、そこから「自分にとってつらいこと」をどんどん書き出していきます。理不尽な八つ当たりでもなんでも構わないので、ちょっとでもつらくて嫌なことは全部書いてみましょう。書きたくないほどつらい場合は「書きたくないほどつらいこともある」と書いて構いません。

 つらいことをひととおり書き終わったら、今度は、どんなに実現不可能なことでもいいので、「自分の人生に起こってほしいこと」「これからしたいこと」「これから改善されてほしいこと」をいろいろ書いてみます。

 だれかに相談したいけどうまく相談できないという場合、これらの、言語化以前の悲鳴を紙に書いておくと、「やつあたりのようにたくさん話を聞かせてしまって本題に入れない」ということは防ぎやすいのではないかと思います。


 誰にも相談できない場合も、改めてこのあと紙に書いていくことで整理できます。

 「つらいこと」と「したいこと」を全部書き終わったら、最後に、改めて新しい紙(これはこれまでよりちょっときれいな紙のほうがいいかもしれません)を取り出して、「自分の人生は(人間関係は、仕事は)こんなふうによいようにできるはずだ」という部分を、これまでに書いたメモをもとにまとめてみましょう。

 次に、それがすぐに実現可能か、長期的には実現可能か、実現不可能かを考えます。

 最後に、実現不可能な夢はなぜ実現不可能なのか、また、本当に実現不可能だとしてそれを諦めたり忘れたりすることはできるかを考えます。できれば、「ほかに楽しいことがあるから実現不可能でも良い」とか「今は不可能だと思っているけれどそのうち可能になる日が来るかもしれない」というふうに前向きな方向で実現不可能な夢に向き合えると問題解決に近づきやすいと思いますが、それが不可能な場合は納得がいくまでゆっくり「実現不可能であるなあ」と考え込むのもそれはそれでいいと思います。


 なお、使う紙は人によっていろいろで、すてきなノートを買ってくるところから始めたほうが良い人もいるでしょうし、ノート一冊書ききって捨てることで問題を処理できるという人もいると思います。自分にとって書きやすい紙、感情を打ち明けやすい紙を見つけられるとこの作業はぐんと楽しくなります。もともとゴミだった紙、すぐに捨てていい紙、無料の紙、たくさん書いてもなくならない大束のコピー紙、メモパッド、コンビニで買ってきたノート、丁寧に製本された上質なノート、世の中にはいろいろな紙があります。

 筆記具も適したものがあるかもしれません。この場合は、はっきり書けるマーカーペンや、走り書きに適したボールペン、長時間筆記に適した万年筆などが使いやすいように思いますが、なにか自分の筆記にとって適したものが見つかると、意外なほどにうまく自分の感情が整理できることがあります。

 もちろん紙ではなくテキストエディタなどデジタルツールを使っても構いません。タブレットに専用のペンを使ってメモを取る人もいます。自分に適したメモツールが見つかるとメモを取るのはとても楽しくなります。

 文具オタクからの蛇足でした。

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