2015年10月 ビジネスコンテストに提出し、書類選考で即落とされたボツ企画

もっと簡単に専門知識の共有を〜薬剤師に特化した知識共有サービスの構築〜

①ビジネスプランの具体的な内容
 薬剤師に特化した専門知識の共有サイトの構築を行う。この専門知識の共有サイトを活用することにより、薬局薬剤師が医師や他の医療従事者からの医薬品を中心とした質問を適切にかつ時間をかけずに回答でき、さらに個々の薬剤師としてのスキルアップにも繋がるようになる。専門知識の共有サイトとは具体的には、以下に示したサイトである。
1. 医師からの問い合わせなどで、わからないことがあった時に、サイトを通じて質問を行う。それを見た他の薬剤師が質問に回答していく。回答にあたっては参照した文献や書籍の引用先、出典先を記載するよう義務づける。
2. 医師からの問い合わせに対する回答や医薬品に関する情報を蓄積していき、過去の情報を検索できるようにしていく。検索に関しては全文検索できるようにする。
3. 医薬品情報に関する投稿コンテンツ(自己学習や勉強会から得られた知識)をテーマごとに記載していく。信頼性のある医薬品情報を集めるために、医薬品の情報を投稿すると200円分のポイントが獲得でき、さらに1にあるように質問を回答すると100円分のポイントが獲得できるような仕組みにする。(1文字0.4円〜1.5円)
4. パソコンやタブレット端末、スマートフォンに対応したサイトとする。

②ビジネスプラン考案の動機
 現在、薬剤師は全国28万人で、そのうち薬局の従事者は15万人、病院・診療所の従事者は5万人と薬局薬剤師が半分以上を占める。また、薬局・医療施設に従事する薬剤師は男性6万8千人、女性は13万6千人と女性が圧倒的に多い。(平成24年厚生労働省調査)。子育てなどの理由からパートタイムでの勤務の女性薬剤師が多く、さらに薬剤師としての臨床経験がなく、定年退職後に薬局での臨床業務を行う薬剤師が比較的多い。そのため、薬剤師一人一人が持っている知識や経験の差が大きいと思われる。医師や看護師のように技術が重視されず、むしろ知識が重視される職種であるため、常に知識の習得が必要である。知識がなければ医師や他の医療従事者から信頼を失う可能性もある。そのため、もっと簡単に専門的な知識を共有できることが必要であると感じた。また医師は内科や外科、眼科など専門分野に分かれており、他の医療従事者や患者に対して得意とする専門領域を開示している。薬剤師にも得意とする領域があるが、医師や他の医療従事者、患者からはすべての領域の薬剤の知識を深く知っていて当然と思われがちである。薬剤師にも得意領域、専門領域があり(現在はがん専門薬剤師、小児薬物療法薬剤師などの資格制度がある)その知識を全国の薬剤師で共有することで薬剤師としての役割をもっとアピールできるのではないかと感じ、このビジネスプランを考案した。


<サービスの特長について>
・薬剤師専用の専門知識の共有サイトはこれまでにない。
・現在類似しているサイトは信頼できない情報も含まれていることがあり、多くの情報が乱雑に記載されており、どこを閲覧すれば回答に辿り着くのかわからないと考えられる。求人情報に関する事項が非常に多い。
・薬剤師が臨床の現場で医師や他の医療情報などから問い合わせがあったときに検索(過去の質問内容や投稿コンテンツの全文検索)を行う。検索にかからなかった質問に対しては他の薬剤師に質問をする。
・小さい薬局かつ個人経営であれば、書籍や文献などが収集しにくく、医薬品情報が集まりにくいのが現状である。
・全国の薬剤師が困難症例などを共有できるようにする。今後は薬局が在宅に介入するケースも増え、困難症例を経験するケースが増えてくると考えられる。
・信頼性のあるサイトにするため、薬剤師名簿登録番号などを確認し、会員が薬剤師であることを確認する。
・医師専用の症例、医師専用の医薬品情報共有サイトの成功例がある。(東証マザーズ)

①ターゲットとして想定している市場の特徴や顧客像、市場規模等
・対象とする市場と顧客 全国の中小薬局の薬剤師+病院勤務薬剤師   
・市場や顧客の規模   5万人対象(病院薬剤師+薬局薬剤師の1/4)  
・顧客の特徴 
1.医薬品情報収集する時間が取れない薬剤師や臨床経験が浅い薬剤師 
2.他施設の薬剤師と意見交換を行いたい薬剤師 
3.知識を増やしたい薬剤師

ある程度の規模の総合病院には医薬品情報室が設置されており、主に医薬品に関する情報を取集・整理・評価し、医薬品の適正使用に貢献している。医師・看護師・薬剤師などの医療従事者や患者からの問い合わせを受け、医薬品の投与量や投与方法、相互作用、副作用、後発品に関する情報などひとつひとつ根拠に基づいた最適な情報を提供している。薬局にも、このような情報室が必要と考えられるが薬剤師不足と人件費などから設置は厳しいのが現状である。薬剤師が持っている知識を全国の薬局のネットワークでつなぐことで病院内における医薬品情報収集業務が薬局においても簡便になると思われる。
  また、ある程度薬剤師の会員が集まった段階で①他の医療職種(看護師・栄養士・施設で働く介護士)などから薬剤師へ質問できるサイト、②薬剤師から看護師へ、または薬剤師から栄養士などへ質問をすることや情報共有ができるサイトを順々に立ち上げることも可能となる。これらより各専門分野においてインターネット上で医療連携を行うことができるようになる。看護師・栄養士・施設で働く介護士など他の医療従事者は薬の知識については一般的に詳しくはないが、業務上薬剤を取り扱うケースが多い。特に老人福祉施設で働く従業員にとっては、薬剤の管理、配薬をしているケースが多く、インターネットで気軽に薬剤について信頼性のある情報を知りたいときに過去の質問例を検索することや、薬剤師に質問できる点は非常にニーズがあると考えられる。
  看護師、栄養士、介護士など他職種同士(コメディカル)が連携して情報共有できるサイトはこれまでにない。

(6) 競争優位性
 現在開設されている薬剤師コミュニティサイトなどは、求人案内やアンケート、簡単なQ&Aなどたくさんの情報が錯誤しており、いざ、医師や患者から問い合わせを受けた時にどの情報を取ればいいのかわからない。これらの会員数は1.7万人(総薬剤師数6%)と伸び悩んでいる.
また、類似の医師の専用サイトが存在するが、医師の3人に1人が会員になっており、成功しているといえる。
 薬剤師専門のサイトとして、文献などひとつひとつ根拠に基づいた最適な情報を記載することにより、情報の信頼性が向上する。

(7) 実現可能性
①ビジネスプランの事業化に向けた取組状況及び今後のスケジュール
1. 薬剤師に特化した専門知識の共有サイトを立ち上げる。(初年度)
2. まず、三重県を中心に東海地区に口コミ、紹介、人脈で会員を探す。薬卸業者にも、広報をお願いする。また、インターネット広告を活用して、サイトの認知度を上げていく。(初年度〜2年目以降)
3. ある程度の会員数を獲得すれば、学会や広告などで全面的に広報活動を行い、さらに会員数を増加させる。

②事業展開上の課題・問題点と解決策
 1.会員数の増加が課題となる。薬剤師は学会などに参加することも多い。参加人数が多い学会として日本薬剤師会があり、2日間で1万5千人が参加する。会員増加を目的に学会などで広報活動の営業を行う。 
 2.医薬品情報は日々変化していくため随時更新が必要である。会員が随時更新を行っていけるような仕組みを作る。投稿をすればポイントが貯まっていくような仕組みなどを整える。
 3.収益性が課題となる。会員費の他に製薬会社からの収益を得ることが重要である。薬剤師数の会員数が増加すれば、薬剤師会員に対して製薬会社が広告を掲示することで自社コンテンツなどを活用した情報提供や宣伝ができる。現在、ジェネリック医薬品メーカーは20社を超える。国も医療費削減のため2020年度までに普及目標を80%にすると表明しており今後売り上げは伸びていく業界であると考えられる。ジェネリック医薬品のメーカーを選定するのは薬剤師であることが多く、薬剤師に対する情報提供、宣伝はジェネリック医薬品メーカーにとって有用であると考えられる。       
※ジェネリック医薬品‥先発医薬品の特許の期間満了後に販売される医薬品
 4.サイト立ち上げ初期の会員数は非常に少ないと思われる。そのため会員数を増やすために医薬品の情報の投稿数や質問回答数を立ち上げから増やしていく必要がある。開始初期の月額会員費は無料とし、会員数やある程度医薬品の情報の投稿数や質問回答数が増加すれば、有料会員を設ける。
【例:有料会員→月額540円 (詳細検索可能 検索回数無制限 お気に入りの情報を保存できるなど)  
   無料会員→月額無料 (検索できない)】
 また、信頼性のある医薬品情報を集めるために、医薬品の情報を投稿すると200円分のポイントが獲得でき、さらに質問を回答すると100円分のポイントが獲得できるような仕組みにする。(1文字0.4円〜1.5円)
  信頼性を向上させるために、実名で記載した場合はポイント数が増えるなどを考慮する。またサイト監視を行い、不適切な内容に関しては、強制削除を行い投稿者の強制脱退を実施する。サイトの信頼性を第一にして運用を行いシステム上、契約書上のセキュリティ関連に関しては、投資を惜しまない。

薬局が他職種に対して適切な医薬品情報を伝えることで患者の健康を向上させることができる。結果的に、地域住民だけでなく、地域医療関係者からの信頼も得られる薬局作りにつなげられる。


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