ブラッカー

取り留めのない事を吐くだけ。 黒いモノと縁があるので、ブラッカーと名乗りました。 けれ…

ブラッカー

取り留めのない事を吐くだけ。 黒いモノと縁があるので、ブラッカーと名乗りました。 けれど好きに呼んでください。

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19/07/19

今日演じた役は、一昨日の練習の時と、昨日のニュースを見守りながらの練習の時では、まったく違った。ニュースを見ながら、悲しくなって何度か泣いた。練習をしながら、あまりにも気が滅入るので、タイムだけとって眠った。 一夜明けて、稽古場に入っても、どうしてもフィクションと思えなかった。

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       雨の降る夜は好きである。  特に降りだす数分前が、たまらなく良い。  午後7時38分着。定刻通りに電車は着いて、毎日通う地下鉄の最寄り駅から這い出る。  駅前交差点の見慣れた風景を、湿った空気がドラマチックにする。降り出しそうな雨の匂い、帰路につく疲れた顔、ヒールの靴音、スラックスのすれる音。無言の人、遠くの会話。  少し夜、くらいの居心地の良さ。  たまらなく良いな。  朝よりも軽い足取りで、駅前の 松のや に滑り込む。電車に揺られながら、晩ご飯のことしか考えてなかった。

      • 【短編小説】祖父とビールと卵かけご飯

         私の出身は、私が生まれる数年前に閉山した鉱山で、幼いころに死んだ祖父は鉱夫をしていたそうだ。  母に聞くところによると、祖父はなかなかの酒豪であったそうで、酔っ払ってはまだ3歳くらいの幼い私を担いで、「二人で銭湯に行ってくる!」と車に乗ろうとし、家族総出で引き留めるというような賑やかな人だったらしい。  覚えていない。  むしろ、無口な人であったような気すらしている。というのも、唯一ある祖父との記憶で、彼は一言も喋らないのである。  暑い夏の日。  実家の家は台所に裏戸

        • 大事なものが大事じゃなくなる理由

          大事なものが、いつのまにか大事じゃなくなっていることがある。 その原因が、単純な「嗜好の変化」であるなら、さして問題はないと思う。人はそもそも変わるものだし。変わることは、構わない。 けれどその原因が、「大事にしなかったから」であるなら、それはとてもさみしい事だ。それは喪失だからだ。そしてその喪失に本人が気づくことはない。 大事なものが大事じゃなくなる理由は「大事にしなかったから」大事じゃなくなったから大事にしないのではなく、大事にする「仕方」が分からない、ということが