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1577年オックスフォードのブラックアサイズ

「ブラック・アサイズ」は、1577年7月6日から8月12日までイギリスのオックスフォードで起こった複数の死亡事件の名前です。
この事件では、オックスフォードで約300人が死亡し、他の場所では約200人死亡したそうです。

オックスフォードのニュー・ロードにある旧郡庁舎の壁には、次のような碑文が書かれています。

この場所の近くには古代のシャイア ホールが建っていました。
このホールは、不幸にも1577年7月のブラック アサイズ事件の舞台として歴史上有名でした。このとき、刑務所熱として知られる悪性疾患により、大蔵首席男爵ロバート ベル卿が 40 日以内に死亡しました。上級保安官(マートンのロバート・ドイリー卿) 、そして約300人以上。
囚人の悪臭によるこの病気は、生意気な口の悪い書店員ローランド・ジェンキンスが女王に対してスキャンダラスな言葉を発したとして裁判中に発症した。

刑務所熱(Gaol Fever)というのは、シラミやツツガムシが伝播する発疹チフスおよびネズミ発疹チフスを含む細菌感染症のことだそうです。つまり、中世の刑務所や牢獄のような劣悪な環境で発生する病気なんですね。

「アサイズ」は、古フランス語のアシスassise (「会議、法的措置」 – asseoirの過去分詞、「席に着く」)という意味で、法廷を意味しています。

ローランド・ジェンキンスは、エリザベス1世への反逆罪で裁かれていて、耳を切り落とすか、さらし台で釘打ちにされる刑を宣告されました。

報告書によると「その後は誰も死亡せず、感染もしなかった。女性も子供もそのせいで亡くなった人は一人もいませんでした。」とあり、不思議なことに女性と子供の死亡は報告されていないそうです。
そのため、ジェンキンスが呪いの魔法をかけたという説も広まったそうです。

エリザベス・ベーコン

19 世紀の記述には、
「裁判官、陪審員、証人、いや実際、法廷にいる囚人、女性、子供を除くすべての人が、最初は地の底から発生したと考えられていた悪臭によって殺されました。
しかし、あの偉大な哲学者であるベーコン卿は、それが騒々しい刑務所から連れ出されて裁判を受けるために法廷に連れてこられた囚人たちから来たものであることを証明しました。」と書かれていました。

偉大な哲学者であるベーコン卿とは、フランシス・ベーコン(1561年1月22日 - 1626年4月9日)のことで間違いないでしょう。
実は、ジェンキンスの裁判で感染して亡くなった上級保安官ロバート・ドイリー卿は、フランシス・ベーコンの異母姉妹エリザベスの最初の夫でした。

エリザベス・ベーコンは、ニコラス・ベーコン卿と最初の妻ジェーン・ファーニーリー (1552年没) との間に1541年頃に生まれました。
父親の最初の結婚により、彼女には初代レッドグレーブ準男爵ニコラス・ベーコン卿、エドワード・ベーコン卿、ナサニエル・ベーコン卿という3人の兄弟と、ヘンリー・ウッドハウス卿と結婚したアンとエリザベスという2人の姉妹がいた。
父親とアン・クックとの再婚により、彼女はアンソニー・ベーコンとサー・フランシス・ベーコンの異母姉妹となった。 

エリザベス・ベーコンとロバート・ドイリー卿は1572年に結婚しています。ロバート・ドイリー卿は、7月29日に埋葬されたことがわかっています。 

ロバート・ドイリー卿についてはwikiに情報がないのでよくわからないのですが、1576年にナイト爵位を授与されているそうです。
ドイリーの姓は、フランス由来。先祖は1066年のノルマン征服のあと、イングランドに移住してきたフランス人でしょう。
オックスフォードのドイリー家は、オックスフォード城オスニー修道院を建設するなど土地の有力者でした。

オックスフォード城址2006年の航空写真

不当な裁判

ローランド・ジェンキンスが投獄されていたのは、当時すでに刑務所として使用されていたオックスフォード城でした。
この裁判は、そもそもが不当なものだったという説もあります。
ジェンキンスはローマトリック信者だったそうです。
ヘンリー8世とその娘のエリザベス1世によって、英国国教会(プロテスタント)へと宗教改革が進められており、カトリック教会を支持する者は定期的に投獄され、処刑されていたのです。
ジェンキンスの裁判は、見せしめの魔女狩りだった可能性が強いです。
不当な裁判だったとしたら、呪いと言うより神罰だったかも。

当時の裁判は、裁判官が巡回してくるスタイルだったので、囚人たちは長い間投獄されており、刑務所熱で死亡することが多かったそうです。
ジェンキンスが法廷に引き出された時(おそらく裁判を受けたのは彼一人ではなかったと思う)、細菌媒体が裁判所内に広がったのでしょう。

ジェンキンスの裁判が行われたと思われる1577年7月6日のホロスコープ(時間は不明のため正午に設定)を作ってみると、細菌に関係する海王星は蟹座7度にあり、山羊座8度の土星とオポジションになっています。
冥王星(牡羊座0度)を加えると緩いですがTスクエアになります。
火星が蟹座29度にあり、水瓶座1度の天王星とオポジション。冥王星は、このオポジションを調停しています。

海王星と木星(乙女座11度)のセキスタイルが感染拡大に影響した感じですね。ノード軸が牡羊座と天秤座の15度でグランドクロスも形成しています。

ブラック・アサイズ再び?

英国では1586年にもデポン州のエセクター城(ルージュモン城)でブラック・アサイズが起きていました。

エクセター城のブラック・アサイズは、首席裁判官エドモンド・アンダーソン卿(1530年 - 1605年)によって1586年3月14日から開催された四旬節アサイズの際に起きました 。
エクセター刑務所は王立エクセター城の地下にあり 、法廷は城の建物内にありました。現代の医学的見解によると、その原因はヒトのコロモジラミが媒介する発疹チフスでした。
死亡した犠牲者には8人の裁判官、12人の陪審員のうち11人、数人の巡査が含まれていました。

近年の刑務所は清潔と聞いていますので、刑務所熱(発疹チフス)は起きないと思いますが、2018年にロサンゼルスのホームレスの人々に流行がみられたそうです。

そういえば、最近マダニで感染するケースがちょこちょこ起きているようですね。先日、日本では亡くなった方も出ました。

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マラリアを根絶したいと言っているアノ人が、蚊を撒いているという説もありますね。

この記事を書いているのは2023年7月6日で、1577年のブラック・アサイズから446年目。2024年3月25日の日食をみると、ノード回帰しています。
1577年のN天王星(水瓶1度)に、トランシット冥王星がぴたりと重なります。トランシット土星(魚12度)は、N木星(乙女11度)とオポジション。
海王星(魚27度)もN冥王星(牡羊0度)に近づいていますね。
1577年のカルマが・・・?

今日はこのへんで。最後までお読みくださりありがとうございました。

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