北海道を駆ける(オホーツク篇)

ツーリング日記のようなもの。

***

オホーツク海沿いの宗谷国道をひたすら南に向けて走っている。

猿払(さるふつ)では、牧草地を貫いている道路がずっと直線のところがある。
10km位はあるんじゃないだろうか。
独占状態で走る。

猿払付近

クッチャロ湖、浜頓別(はまとんべつ)を過ぎ、神威岬(かむいみさき)に寄り、枝幸(えさし)に入る。
朝から何も食べずに走っていたので、ここで昼飯にしよう。

朝と夜はとても質素なので、昼はちょっとだけ豪華にしようか。
枝幸ではカニが有名で旨いらしい。
一軒の大衆食堂を見つけたので入った。
店の名は「浮世食堂」。
ここでカニ入りのラーメンを食べた。

浮世食堂(現在google mapで確認できないため廃業したと思われる)

さらに南下を続けよう。
さっきの店はいきなり入ったのになかなか旨かった。
ほんとに浮世に存在していたのだろうか。

途中、オホーツク海の砂浜に寄ってみた。
海からの風が少し冷たい。

疲れてきていたので興部(おこっぺ)の道の駅で休憩。
子供たちが無邪気に遊んでいる。
子供たちは「海は広いな」を歌いながら鬼ごっこみたいなことをしている。このオホーツクの小さな街で「海は広いな」を聴いているとは泣けてきそうになる。 
つかの間の夏を楽しんでいる子供たち。
よし、そろそろ行くか。

紋別(もんべつ)に着く頃には、うっすらと夕闇がせまっていた。
身体も限界に近づき疲れきってしまっていた。
キャンプしようと思っていたところはここからまだ20kmほど先だが、この辺で野宿できるところを探そう。
近くの公園に行ってみた。
公園内にいたおじいさんに聞いてみたが、ここではテントは張れないとのこと。
近くにキャンプ場がないか聞いてみると、ここからすぐのところにあるというが、そこは、当初考えていた20kmほど離れたキャンプ場だった。
ここら辺の人の感覚では20kmが「すぐ」の感覚なんだろう。
疲れているがもうちょっと頑張って行くことにした。

よく整備されたキャンプ場だった。
テントの設営を終える。
10kmほど離れたところに温泉とスーパーがあるようだ。
温泉からの帰り道、街灯もない漆黒の暗闇の中で突然草の茂みから道を横断してきた鹿とあやうく衝突しそうになった。
急ブレーキでリアタイヤが滑ったが、荷物を積んでいなかったのもあって転倒はまぬがれた。
それにしても鹿もびっくりしてこちらを見ているから、鹿にとってもクルマやバイクは想定外なのだろう。

ランタンの灯りのもと、酒を飲みながら至福のときを過ごす。
疲れているとラジオから流れてくる曲に聴き入ってしまう。

次の日の朝、出発準備を整えていると、朝もやで幻想的な湖畔の風景が広がっている。

キャンプ場の近くの湖

今日は林道を走る。
林道を走るときは、気分が高まっている分、冷静にならないといけない。
林道では、常に路面状況を見極めるために、林道に入る前にできるだけ自分の気分をアグレッシブにしていきたいとともに、冷静にもなりたい。
林道内を速く走ることはないが、冷静でないと事故が起こる可能性も高くなる。
また、そうすることによって余裕が生まれ、その分、風景も楽しめるようになってくるのだ。 
DAPに入っている音楽を聴き、気持ちを落ち着かせる。

北海道で初の林道は、「風烈布林道」という白樺の林を抜けるダートだった。
12kmほど続く。 

まだ新緑の色が残っている木々と本州とは違う野草、眩しい太陽と木漏れ日、そして川の流れの音やヘルメット内に入ってくる風、いろいろ感じながらゆっくりと走っていく・・・ここまで来るのに苦労したが、オフロードバイクで来て良かったと思える瞬間が来た。

(終わり)


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