沖縄にかぶれる(金武・辺戸岬篇)

那覇空港からゆいレールに乗って外を眺めると、那覇という街は「白い」と思ってしまう。
白くしたいというのは沖縄の人の深層心理にあるのだろうか。  

以前、沖縄病を発症気味であったものの、それもだいぶ治まってきた。
沖縄病といってもいろいろな種類があり、主に沖縄の歴史、文化によって、この病になりかけた。

基地問題については、調べたり、実際現地で体験したことなどを考えると、自分でも何がいいのかよくわからなくなってくるので興味がなくなってしまったのだが、沖縄戦の経緯を辿ったりするのは今でもとても関心があったりする。
基地問題は応援も批判もする気持ちがないし、沖縄の諸問題は基地問題以外にもたくさんあるのに、沖縄にいると何故かあまりそのあたり感じなかったりする。
子供の割合が他の都道府県と比べて多かったり、高齢者を敬うというごく普通のことができているからなのかなと思ったりもする。
県の経済状況は日本の中でも最悪に近くて、その関連かどうか自殺者は多い。
沖縄の人は、のんびりしているように見えるが外見だけでは判断できない奥深い問題を抱えているのが何回か行くようになってから少しわかるようになってきた。
今、沖縄に行く理由は、普通のことがまだ健在な部分を感じたいからだと思う。

那覇の新都心「おもろまち」は、那覇にいると行く場所だ。 
本土の再開発された県庁所在地にあるようなような街並みで、何回か行ってるうちに、沖縄にもこういう場所があってもいいと思うようになった。 
ただ、こういうところは沖縄にはここだけでいいかなという気がする。

おもろまち付近は沖縄戦最大の激戦地であり、シュガーローフ(安里52高地)と呼ばれていた。
当時、首里にある日本軍司令部を守る最大の防衛ラインで、地下には無数のトンネルがあり、アメリカ軍を迎え撃つ強固な要塞となっていた。(結果的には占領され、日本軍は首里を放棄し南部へ撤退する)
この場所で、7日間で日米合わせ約5,000人の死者が出た。
おもろまちの開発工事では多数の人骨が発見されていて、今でもたくさん残っていると言われている。
この綺麗な街並みには、壮絶な戦いがあったことを忘れたいという気持ちが含まれているのかもしれないが、とても観光気分で歩くことはできない。

タコライスと基地

以前は週末だけで沖縄に行っていたこともあった。
金曜の夜の便で行って、日曜の夜の便で帰ってくるのである。
梅雨明けしていない東京から、すでに梅雨明けしている沖縄に行くとなお精神的によい。
レンタルバイクで炎天下の中を走っていて気分が悪くなったりした。 
レンタル屋の従業員に「バイクで走っていて熱中症になる人が多いから気をつけてください」と言われたのに、「大丈夫。大量に水分摂るし、暑さに強いから」と返していた。
沖縄の暑さはわかっているつもりだったのに、まだわかってなかった。
暑さよりも日の光の強さなのだ。

沖縄本島のほぼ中央に位置する金武(きん)町。 
ホントは夜に行ってみたかったが、タイミング悪く昼間に行った。
金武町には有名なキャンプハンセンがあり、関連する基地施設も合わせると町の60%の面積を基地が占めている。 

キャンプハンセンのゲート

この基地では実弾による訓練が行われていて、それによる山火事が結構起こっている。
ちなみにハンセンとは、沖縄戦で戦死し名誉勲章に叙された海兵隊員の名前である。

金武町(新開地)

沖縄はタコライスが有名だが、特に金武のタコライスが有名で、わざわざ那覇ではなく金武に行ってまで食べる価値があるそうで、なかでもキングタコスという店が有名らしい。
このときは、店の前まで行ったものの、残念ながら熱中症気味で食べなかった。

巨大ヤンバルクイナが見つめるもの

沖縄本島最北端に位置する辺戸岬。
那覇から国道58号で片道120㎞位だろうか。
沖縄が本土復帰するまでは、辺戸岬の向こう、北緯27度が国境だった。
当時は、祖国復帰を願って辺戸岬の広場で夜に篝火を焚いて、海の向こうの鹿児島県の与論島の人々と呼応し合ったそうだ。
現在は本土復帰を記念して立てられた碑と与論島から送られた像「かりゆしの像」がある。

かりゆしの像


写真は辺戸岬から山原(やんばる)の森の方を見たもの。 
思った以上に岩場なのである。
岩場になっているところは安須森(あすむい)と呼ばれ、琉球の始祖アマミキヨが最初に作ったといわれている安須森御嶽(あすむいうたき)がある。
まだ行ったことはないが、そこには海と反対側に拡がっている深い森の緑と高い断崖絶壁、そして遥か彼方まで続いていく海を見ることができるという。
その眺めは、海の向こうにあるといわれるニライカナイを思わず想像せずにはいられなくなってしまう気分にさせてくれるのではないだろうか。

山原の森の中の道路を走っていると、写真のような看板をよく見かける。
実際、耳を澄ますとヤンバルクイナの鳴き声が聞こえてくる。

辺戸岬からそんな遠くないところに巨大ヤンバルクイナを発見した。

巨大ヤンバルクイナの正体は展望台なのであった。

(おわり)

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