ミッシェル・ガン・エレファントについて

解散して随分経っているバンドですが.....

ミッシェル・ガン・エレファント(TMGE)は、バンド内のあるメンバーと昔、一緒にバンドを組んでいた等の個人的なつながりがあって、少しだけですが特別な存在です。
彼らがプロとして活動していた期間も、邦楽はほとんど聴いてなかったのですが、そういう理由もあって熱心ではなかったかもしれないですが、このバンドの曲は聴いていました。

2003年の9月1日に突然、解散発表があり、その年の10月11日に幕張メッセでラストライブが行われました。
「LAST HEAVEN TOUR 2003」と名付けられて、オールスタンディングのライブでした。
入場者は37,000人だったそうで、会場内は熱気で遠くが霞んで見えていました。

この頃の私と言えば、会社でのストレスが尋常じゃなく溜まっており、なにかとキレる年上と年下の部下を抱えながらPMなどをやってました。
仕事本体よりも、その人たちをうまく使えていないということで上司から怒られたりして、社内で何故か同じような境遇な人がいなくて相談できる相手もなく、毎日生きている感覚さえもない日々を過ごしており、休みがあればどこかへあてもなく現実逃避をしていました。
その頃はそんな会社生活が原因で、どんなことにも目的を持つのが嫌になってしまっていました。

そのラストライブですが、私は一応関係者だったので人生初の「関係者エリア」という特別な場所で観ていました。

ライブが始まり、後ろを振り向くと1曲目からダイブの嵐となっていて、あらためてバンドの人気に感心していました。
いつの間にこんなすごいバンドになっていたのか、思い知らされました。

特別エリアと一般エリアをしきる通路があるんですが、その通路を観客が倒れるかなんかしたのか、次々とスタッフによって何人も運び出されていました。
私がいた場所はちょうど中間地点、要は激しく盛り上がってる一般エリアに挟まれた空間で、そこだけ他のエリアと違うんです。
超冷静というか、要はスペースにかなりの余裕がありました。
なんせここだけ空いているんですから.....
一般エリアの観客に対して申し訳ない気分になっていた頃、偶然にも私の隣にいた超有名な音楽関係者(渋〇陽一)は、そんなおどおどした私とは違い、とっても冷静にライブを観てました。

ライブの内容はミッシェルらしいというか、無駄をできるだけ削ぎ落とし、まさにカッコ良さを追求したような感じに思えました。
私は最後まで音圧と客のタテノリの振動(振動がすごい)で圧倒されっぱなしでした。

ワケがわからないような盛り上がりのままライブが終わり、ある種の感動を憶えていました。
それは彼らの音楽に対してというよりも、自分がかつて持っていて、いつのまにか無くしてしまったものが久しぶりに見つかったというような、いかにもよくありがちなことで。
このときは、あまりにも会社中心の生活だったために、自分が大好きな音楽で、こんなにも人々を感動させていることに嫉妬していました。

後ろを見ると呆然としている人、泣いている人、力を使い果たして床に倒れている人........皆、汗でTシャツや服の色が変わってしまっているし、髪も風呂上がりのようにびしょ濡れです。
ラストライブというのもあるんだろうと思いながらその人たちを見ていましたが、それをなんだか悔しいと感じている自分がいて、情けなくて床に倒れたい気分でした。ホントは彼らと同じ思いで床に倒れたかったのです。

彼らを見ながら、このバンドには、これ以上行き場の無い世界の向こう側にほのかに(希望の)光が見えてくるようなイメージがあったのかもしれないし、純粋にカッコ良さだけではなく、その辺もファンが多かった理由なんじゃないかと思ってました。

このラストライブ終了後に、幕張メッセのバックヤードで関係者のみで打ち上げがあったのです。
ライブ終了後のメンバー達はというと、とてもすっきりした感じでした。
重荷が取れたようでみな笑顔だった。ずっと笑顔だった。
これで解散とかの悲しそうな感じは微塵もなくて、倒れこんでいたファンたちとは全く対照的だったのを憶えています。
日本でロックバンドを続けていくのもいろいろと大変だと、そのときのメンバーの誰かが言っていました。

現在、個々のメンバーはギタリストだったアベフトシの死を乗り越えて、今日もどこかで演奏しています。

(終わり)


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