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『混沌を泳ぐ(1)』

この本は芸人オリエンタルラジオ中田敦彦さんの、テレビ芸人から現在までの道のりを書き綴ったものである。私は正直あまり中田さんが好きではなかったが(芸人時代は好きだった)今のようなユーチューバーや書籍を出版するようになってから、なんとなく高飛車なイメージがあって勝手に敬遠していた。

でも、ふと他の方の書評を見ていて、ちょっと読んでみようかな〜って思った時に、この一風イメージと違う装丁の本を見つけた。
全く内容を知らずに選んだ本だったが、予想以上に面白かった。

何が面白かったか?

一般的な本は、「昔はどん底のような生活」から「ここまで成功しました」という感じの成功物語で、これがあったから成功したよ!という夢を全面に出したような本が多い。
しかし、この本は著者の中田さんが焦っている心の内や、とにかく走り続けてきたこと、その中で周りのアドバイスをくれる先輩の意見にちゃんと耳を傾けて実験、検証を繰り返してやってきた様子、また人との関わり方に対する考え方の変化などが描かれており、実際に自分がその過程にいるかのようにドキドキハラハラしながら読むことが出来た。

中でも、今までマネージャさんにやってもらっていたような販促なども自分でやってアウェイを体験することで強くなったことや、オンラインサロンのイメージを急激に変えたこと、何かを作るとき一人で作る方が楽かもしれないけれど、人を信じることで生まれるものがあるというところに興味が湧いた。

新しいことを始めるのは、エネルギーもいるし、何より勇気がいる。
しかも、一度はテレビでみんなに認知された有名人が、現状を捨てて新しい環境に身を投じることはかなりの勇気が必要だったと思う。

この本の最後の方で、

僕は必ず『エンターテイメント業界のドンになる』

と言っている。
「だからその過程から目を離さないでほしいんです。成功だけじゃなくて、惨めな失敗も、かっこ悪い挫折も、全部ありのまま見届けて、ともに進んでほしいんです。(中略)きっと人生を輝かせるのは、成功や栄光の瞬間じゃなくて、そこに至るまでの失敗や挫折の経験なんだって。何かのストーリーを面白くするのは、うまくいっていない時に必死でもがいている誰かの姿なんだって。」

この本を読んだ今、私にとって中田さんは決して高飛車な人という存在ではなくなった。彼は、今以上にエンタメとともに成長しようと自らを鼓舞しているに違いない。
私ももっともっと人に学び、人との良い関係を築いていかなくてはならないなと考えさせられた。

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