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気になる記事をシェア“【プラセボ製薬】介護現場の減薬、偽薬で後押し‐薬剤費抑制一助に起業で挑む”

薬事日報web 2019.5.16
プラセボ(偽薬)を“人の為”の薬にするとの経営理念を掲げるプラセボ製薬(本社大津市)は、ほのかに甘い錠菓(タブレット菓子)を偽薬として販売するベンチャー企業だ。
必要以上に薬を飲みたがる人が多い介護現場などで、本物の薬剤の代わりに使われている。減薬の成功率を高め、薬剤費の抑制につなげる狙いがある。5年前に事業を立ち上げた水口直樹社長は、「プラセボで治せる病気もあるのではないか」と偽薬の可能性を探っている。

 「プラセプラス」と名付けた製品は、直径8mm、厚さ4mmの円盤状の白い錠菓。PTPシートから押し出して口に含むと、ラムネ菓子のような舌触りがする。主な原材料は甘味料で有効成分は含まれていない。用途は介護用偽薬。薬を飲み過ぎたり、必要以上に飲みたがったりする人に擬似的に投与して安心させる。

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今日薬局にこられた患者さん。
独居で、自分の病気のことを不安に思うも、すぐ相談できる人が身近にいないとのこと。
たくさん薬も飲んでいて、なるべく減らしたいと思っている。
ずっと睡眠薬を飲んでいて、飲まないとどうも不安が募り余計に目が冴えてしまう。
睡眠薬に関しては、出来るだけ量は飲まないようにしているが、飲んでいないとわかる、あるいは飲まないで頑張ろう!とすると絶対に眠れないのだという。

ただ、こんな日もあったという。

今日は眠れたなと思って朝起きてみると、昨日の晩飲んだと思った睡眠薬のPTPシートの殻がない。

「あれ?飲んでなくても眠れちゃったんだ!?飲まないでもいけるのか?」

そう思ってその晩は飲まないぞと意気込むと不安になり眠れなくてやっぱり服用してしまうとのこと。

プラセボ (偽薬=効能のある薬剤成分が含まれていないもの。例えば乳糖などの甘味成分。飴玉、ラムネみたいなものでも、実際に薬剤成分が入った本当の薬と形や色、大きさが似ていたら、見た目では判断できない。) とはこの患者さんの場合は若干違うかもしれないが、

飲んでいないのに、「飲んだ!」と思うことが安心につながり眠れる。

というのは、プラセボ効果に通ずるところがあるなぁと思った次第である。

補足→ちなみにプラセボの使用目的やシチュエーションというのは、ホンモノの薬(薬剤成分が含まれているもの)の効果を検証するために比較対照として用いられるという場面だ。勿論プラセボを投与することが倫理的、に問題が生じる場合や、病気の悪化を招く恐れがある場合、既存・先に承認され製造販売が降りている類似薬と比べて効果がより良くなったことや副作用が低減されたことを確認するよう国から言われたら、必ずしもプラセボとホンモノの薬との比較が実施されるわけではないが。

さて、上記の記事に出てきたベンチャー企業。

もちろん製薬メーカーではない。
以下、会社のサイトから抜粋する。

プラセボ製薬株式会社という社名から医薬品を製造している会社を想像されるかもしれませんが、そうではありません。実のところ、医薬品を扱ってはいませんし、ましてや医薬品の製造だなんてとんでもない(現在のところ、医薬品等の製造販売業・販売業許可を得ていません)。
“製薬”を名乗るのは、正直に言えばイメージ戦略的な効果、表記がもたらす善き作用としてのプラセボ効果を信じるためであり、また企業としての社会的な責任を常に意識するためでもあります。

つまりは、前向きな意味でのニセモノを作り、社会に貢献しようとする会社のようである。

また先程の記事でもあった通り、高齢社会における医療費の増大を、このプラセボが食い止められる一つの方法になるのではないか?と代表は考えているようだ。

痛みを伴う“何か”を切り捨てることでしか医療費(を含む社会保障費)の低減は達成されません。“薬効成分”を切り捨て、次世代の社会保障の充実を図ることは、十分検討に値する選択肢であるように思われます。
現在常用されている処方薬や市販薬が知らぬ間に当社のプラセボ食品、あるいは見た目に判別のつかない偽造薬にすり替えられることはありません。医薬品を販売されている企業およびかかりつけの医師・薬剤師等の医療関係者をご信頼いただきますよう、切にお願い申し上げます。

プラセボを医療費削減に結びつけたところがとても上手というか見事だなと思う。
高齢者の服薬管理をしていると、たしかによくこんなに毎食毎食飲めますね?という薬の数。オンパレード。
減らしたいという今日お会いした患者さんのような方もいるが、薬にこだわりがあったり、飲まないと不安に感じる患者さんもいる。
また介護する周りの家族の意見、意思もあるので、一筋縄に減薬、というのは難しいだろう。

そこで、たくさんある薬の中で、減らしても問題ないと判断した一つ薬を交換してみる。
それでも「飲んでいる」のだから、飲んだという安心感はある。

それで不要な薬が減らせるのなら、医療費という観点だけでなく、ご本人のためにもなる。

ニセモノをより良い治療のために生かす

その視点が面白い。

ニセモノを掴ませて騙す、引っ掛ける、ではなくて、ニセモノによって知らず知らずのうちに軌道修正される。

医療というのは、根底に安心と信頼という大きな二本柱があるから、高齢者の方を積極的に“騙し”てよいということでは勿論ない。
きちんと、医師や薬剤師、介護する方や家族の方による重ね重ねの検討の上に行われるべきだろう。

一歩間違うと詐欺になってしまうから。

ただ、お互いにとって幸せでwin-winなニセモノ、というコンセプトは新しくて興味深い解決策だなあと思った次第だ。

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