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気になる記事をシェア“好みのバーチャル医師が診察? 医師側にも意外な利点”

日経メディカル 2019.5.20より一部抜粋

先日、筆者は幕張メッセ(千葉市)で開催された動画サービス「niconico」のイベント「ニコニコ超会議2019」に参加した。
ブースの中に、「バーチャルDr.の医療相談所」という展示があった。これは、実際に免許を持つ医師や看護師などが2Dまたは3Dのアバターを使ってバーチャルキャラクター、いわゆる「バーチャルYouTuber(VTuber)」となり、参加者と会話ができるようになっているコーナーだ。
この展示の裏側で医師や看護師などが実際に体を動かすと、体中についたセンサーが動きを捕捉し、CGキャラクターが同様の動きをする。発声をマイクが拾うと、その声に合わせてキャラクターの口も動く。手元のハンドルを操作することで、指をグー、パーと開閉したり、あらかじめ設定してある表情に変更できる。

普段、医療や健康に縁遠そうな、動画配信やゲームが好きな若者が集まるニコニコ超会議で、「はっきりと体調不良になって病院に来る前の人に、その層の関心ごとに合わせたアプローチを行い、より早期に体の不調に気付いたり、健康に関心を持ってもらいたい」というコンセプトを反映すべく展示された。もちろん、医師や看護師などが対応するとはいえ、オンライン診療の要件は満たさないため診療行為に踏み込むわけにはいかない。この展示で行われる相談は、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」内で「医師または医師以外の者と、相談者の間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断などの医学的判断を伴わない行為」と定義される「遠隔健康医療相談」の位置づけとなる。

今回、こうした展示があると聞いて筆者が思い描いていたのは、患者(相談者)側のメリットだ。医療機関に行くほどではないが、健康に関する不安を持っている人が、たまたま相談ができる機会があって、参加してみたら不安が解消されたり、次に取るべき行動を示唆された、というようなケースを想定していた。

ここで冒頭の話に戻るが、基本的にキャラクターたちは正面を向いているため、10分間しっかり目を見て(?)にこやかな表情で相談を続けることができる。視覚的に若くて元気そうな男性医師や、現実にはなかなかいないシルバー色の長髪の男性医師、赤い髪をゆるく巻いた女性医師などが動いて話しているのを見ると、実際にそんな見た目の医師と話しているような気分になるようだった。若くて元気な見た目の医師には声掛けをしやすいのか、「先生、とてもイケメンですね!」と言ったり、敬語ではあるが友達のように明るいトーンで話す相談者もいた。医師にとっても相談者にとっても、コミュニケーションがスムーズになる可能性を感じた。

一方、想定外だったのは、バーチャルキャラクターになって相談を受けることにおける医師側のメリットだ。今回、複数の医師や看護師などがバーチャルキャラクターを動かしていたが、全員が良い印象を持っていた。こうした機会に相談を受けることができ、困りごとを解消したり、相談者の背中を押せたことを、とても有意義にとらえていた。

 バーチャルキャラクターになるメリットとしては、当直明けなど自身のコンディションが整っていないときや、患者が知り合いだった場合など、対面で話を聞きにくい状態でもバーチャルキャラクターなら問題にならないことに可能性を感じたという。ある医師は、「相談者が研修医で、『仕事がつらくなってきているが職場の上司や知り合いの医師には話せなかったが、バーチャルキャラクターで、しかも同じ医師の立場の人に相談できてよかった』と言われたのが印象的だった」と話した。

 参加医師の1人は今回、キャラクターになりきることで、普段の医師としての姿ではなかなかできない踏み込んだ質問や励ましを行うことができ、「いつもよりも様々な悩みや背景を引き出しやすく、不思議な信頼関係を築けた」と言う。

 ちなみに、キャラクターの見た目と声の印象がかけ離れている場合でも、意外と違和感がなかった。例えば、挑発的な服装の女性医師キャラクターが、想像とは違うおっとりとした声と動きをしていてもかわいらしく見えるし、元気で明るい見た目の男性医師が静かな声で話していても、優しい印象を受けた。

 医師によるオンライン診療の指針が見直され、整備を進めている現段階で、生身の医師ではないバーチャルキャラクターが実際の診療を行えるかどうかという議論は、もう少し未来の話になりそうだ。もし診療ができれば、中身の医師は同じでも患者にとってコミュニケーションが取りやすい見た目のキャラクターを選んでより話しやすくなったり、外見はそのまま中の医師が入れ替わることで、主治医制からシフト制への転換が進む……なんていうこともある…かも……しれない。

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ついに、医療の世界にまでバーチャルのキャラクターが来るか!?
・・・もちろん医療の世界では、音楽や芸能の世界とは違っていろいろな規制があるので、一筋縄にはいかないのだろうが。

これが、たとえば医師のみならず、看護師、薬剤師までもが、めっちゃイケメンだったり、萌え系のかわいらしい女の子のキャラで患者さんと対峙することになったとしたら・・・

どう頑張っても、癒し系でも萌え系でもない私が、もしも患者さんから画面でかわいい女の子の薬剤師役をセレクトされて、それに(画面越しに)なりきって♡という注文がきたとしたら・・・動作がかわいくなっちゃうのだろうか?発言もかわいくなっちゃうのだろうか?
・・・できればなりきっているところをほかの薬剤師やスタッフに見られたくないものである。
恥ずかしい気持ちが先にたってしまうのだが、そんな気持ちもそのうちに慣れてしまうのだろうか。


さて、逆に自分が患者さんの側になったとしたら?
確かに強面の、話しにくそうな風貌の医師や看護師、薬剤師と話さねばならないとなると、身構えてしまい、相当その会話の場面を前もってシミュレーションしておかないと、話したいことの半分もしっかり伝えられない気がする。
実際私は診察を受けたことのある医師で、そういう経験があるからだ。

もちろん医師の方としてはそんなつもりもないのかもしれないし、そんなつもりで発言しているのではないかもしれないけれど、何かをとがめられたような気持ちになったり、話しにくい雰囲気を醸し出していると患者さん側が勘違いしてしまうことだってある。

患者さんにとっては、ただでさえ病気にかかることやその先が見えないことで不安になっているわけだから、それが自分が話しやすい雰囲気のキャラと話すことで変な気を遣ったり、余計に不安や不満を募らせることが減るのであれば、良いのではないかと個人的には思う。

あっ、でもたとえばめちゃくちゃイケメンの医師に診察されているときに血圧なんて測られたら、いつもよりだいぶ高値をたたき出してしまうかもしれない。
そういう影響は否めない。

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こんなふうに、いろいろな可能性や起こりうることを想像してみると楽しい。
前述のとおり、医療は安全ということがまず第一にあるために、あまりこういう「ゲーム」的なことや、「遊び心」は取り入れようという姿勢になることは少ないのかもしれないが、
もっとその人らしさを引き出し、まるごとケアし治療していくことを考えるのであれば、こういう取り組みも一つのアプローチとしては面白いのではないだろうか。

さあ、皆さんならどんなキャラに診察・相談したいだろうか??

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