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被爆桜を撮りに|G7サミット明けの平和記念公園へ🐾

2023年5月19日金曜日、G7広島サミット開幕。

22時を過ぎてもヘリコプターが旋回し続ける。自然に耳をそばだて、寝付けない。

警察官のホイッスル。
かすかなアナウンスの声。
「......ご案内しています......」
昨晩も、この時間帯だった。

車の走行音が急に圧を増す。
要人の車列が通ったらしい。
「規制解除、ありがとうございました」

翌朝。幹線道路には見渡す向こうまで銀色の柵が並び、10mおきに警察官と挨拶をしながら歩く。《有事》という言葉が脳裏をよぎる。

見慣れた街の景色の中を、スナク首相の乗った車がユニオンジャックをはためかせながら、防犯上、かなりのスピードで走り抜けていく。

テレビでは、いつもの慰霊碑の前にG7首脳らが並び、献花をしている。
ゼレンスキー大統領が、戦争の空気をまつわらせたまま、鋭い面差しで空港に降り立つ。ウクライナの戦火と広島の空がつながる。

よく知っている場所に錚々たるメンバーが集結するのを見て、《アベンジャーズ》のようだと圧倒されているひとも。


いいとか悪いとか、浮かれているとかいないとか、そういうことではなく、現場の感覚としては、ただただ《非日常》に押し流された数日間でした。

非日常/有事の威力はなかなかに強く、一個人の意志では太刀打ちできそうにないものなのですね。奥底で少し寒気を感じた数日でもありました。

──つはものどもが夢の跡──
これは、ある方が、平和記念公園の規制がサミット後に解除されたその日の夜に、慰霊碑の前で抱いた感慨です。
要人、警察官等2万4千人、国内外の報道陣5千人…3日間をピークに、嵐のようにやってきて、嵐のように去っていったのでした。


🌱 被爆桜の若木に会いに、平和記念公園へ


5月24日水曜日。日常の静けさが完全に戻るには、今しばらくかかりそうな様子の平和記念公園に行って来ました。

記念植樹された被爆桜を見に行くために。

原爆資料館本館北側より慰霊碑を臨む。
修学旅行生を何組も見かけました。
個人の旅行客は、優に半分以上が外国人。
《原爆死没者慰霊碑》
ニュースによると、ちょうど私が訪れた日の朝に、死没者約33万人の名前を刻んだ名簿123冊に風を通す、毎年の作業が行われたそうです。
立ち止まって写真を撮っていると、お歳を召したご婦人方が、杖をつきつつゆっくり歩いていきました。「...ケロイドのところが痒いけえ、掻いてくれいうんよ...悪いけど気持ち悪うてねえ...」。互いに何重にも傷ついていくのが戦争の爪痕。
生の声が聞こえる街。それが、広島です。
横から見た慰霊碑。


🌱 被爆桜

歩いていく首脳たちの映像を見ながら、おおよその位置を記憶したつもりだったのに、やっぱりわからなくなりました。
春落ち葉を掃いているご婦人に教えていただき、無事にたどり着きました。
(ネット検索では見つからなかった。最後はやっぱり人間同士よね💕)
これを見ないと私のG7サミットは終わらない気がして
広島市役所にある被爆桜から接ぎ木して育てたとのことなので、第二世代なのですね
この大きさだと、次の春に少しだけでも花が咲くかも?
東にまっすぐ進むと、原爆死没者慰霊碑。実はわかりやすい場所でした(^^ゞ



🌱 平和の灯火


《平和の池》の中にある《平和の灯火》
真正面の建物が、《おりづるタワー》です。壁がなく柱だけのフロアが《ひろしまの丘》。そこから報道している番組もありました。
《平和の灯火》。社会見学中の小学生も。



🌱 原爆の子の像

緑に囲まれる佐々木禎子さん像。
佐々木禎子さん


🌱 元安橋〜北東エリア

禎子さんの像の近くから
元安橋から川上を見る


原民喜さん(『夏の花』)の詩碑
平和公園には、さまざまな寄贈樹木があります。
この薔薇は、シー・パール
チェコからの寄贈


バーミンガム・ポスト
イギリスからの寄贈


🌱 終わりに

G7サミットについては、広島の人たちの間でも、賛否両論、様々な受け止めがありました。どの意見も、最後まで耳を傾けると説得力があり、共感できるものです。
そうやって、いろんな意見が言える社会であること。また、真剣な意見を出し合う機会となったこと。それがまた一歩の「前進」なのかもしれません。

戦争へと到る道のりが数十年スパンであるように、平和へと到る道のりもおそらく長いのだと思います。人間の身体でたとえると、がん細胞が日々生まれ、マクロファージによって日々退けられて、全体として健康を保っている。それと同じようなことが、社会でも起きているのでしょう。

近年、G7サミットは実効性がなく、親交の場になっているとも聞きます。
ですが、首脳たちが原爆資料館を訪れ、被爆者の証言を聞き、慰霊碑に献花黙祷を捧げたという事実、およびその映像がもつ重要性は、たしかに大きいと私は思うのです。

心の中で「種蒔きサミット」と位置づけています。G7各国や招待国のリーダーが、広島での経験を持ち帰って語り合い、折々に思い出してほしいと思います。それが、その後の国の方向性に、少しずつ"効いて"くることを願って。

佐々木禎子さんが、回復を願いながら病床で折った、最後のおりづる。ステンレス複製のこちらを、G7サミット首脳らがお持ち帰りになったそうです。
(G7 HIROSHIMA の刻印入り特別仕様みたい)
私のところには一年半ほど前からのご滞在です。↓↓


ネット記事も見つけました。ネットで購入も可能のようです。↓↓




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