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#10 スーツを脱ぐまであと7日

やっと湧いてきた実感

2023年の年の瀬、私は人生の転機を迎える。
そして、その転機を他人の意見とか他人からの見られ方ではなく、
"自分のため"に決断できたことに珍しく誇らしさを感じている。
人生で初めて見つけたと言っても過言ではない、
「私が本当にやりたいこと」。
最高のスタートを切るために、明日から始まるスーツを脱ぐまでの7日間はすごく貴重で大切な時間だ。

スーツを着た自分

明日からの過ごし方を決めるために、まずはこれまでの自分を振り返ってみる。スーツを着た自分は、住む場所も関わる人も全く違う環境から始まった。今まで島>九州本土上陸>九州の西の果てというルートを辿ってきた私は、まず今まで見たことのない本州の規模感に圧倒された。本州の規模感とは…?って感じたと思うんですけど、すごい違いなんですよ。
電車がどこまでも続いていること、電車から見る風景の果てまで人々の生活があること、行きたい場所が行ききれないほどあること。頭が洗濯されたかのように、私の価値観はどんどん一新されていった。そして、今まで見たことがなかったものにたくさん触れることで、今までつながらなかったパーツがどんどん集まって行くような感覚がした。
そんな中、私はオフィスビルにスーツを着て毎日出社した。初めての「仕事」、「社員」、「営業」。毎日初めてきく単語ばかり、何もかもが修行だった。

担当業務はほぼ全て苦手分野

さて、そんなピカピカの新入社員の私は、法人営業の部署についた。
第一志望の部署ではなかったが、会社で一番新しくできた部署で、何をする部署なのか全く想像もつかなかったけど、すごく大役を任された気持ちでいつも手には力が入っていた。
そんな私の毎日、それは、心が折れ続ける毎日だった。
その理由は、私は「話す、伝える」ことが大の苦手だったからだ。
特に、「論理的に・簡潔に話す」ことは私が一番苦手としていることだ。
やる気と元気しか持っていない新人営業マンは、最初は自分が経験を積むための「商談相手を見つけてくること」から仕事が始まる。
毎日毎日、頭が真っ白になりながら電話をかけた。電話をかけるては、いつも手汗びしょびしょ。相手に見えるはずがないのに、電話をかけながらペコペコお辞儀をする日々。(HPSあるある)やっと取れたアポでいざ喋ると、それはそれでまた頭が真っ白になる。白目剥きながら喋ってるんじゃないかと思うほど、最初はアレルギー反応があった。今思うと、よく1年でなんとか利益挙げられるようになったよな。ほんと。

人生で一番キツかった2年目

白目を剥きながら、酸欠になりながら、なんとか第一の関門である「喋る」ことに対する壁は突破した私。次に立ちはだかってきたのは、「提示された売上金額を達成する」ことだ。部署の変革期、自分の実際の能力の3倍くらい努力しないと達成できない金額だった。私の業界は、リードタイム平均1年の業界であり、細かな手続き等の業務が多い業界だったので、目標達成をするには、とにかく「業務量を増やす」ことが必要だった。
特に、私は前提「話すこと」が苦手だ。だから、デフォルトでも人より多くの時間が必要だ。その上で、目標達成をしようとしたら、結果的に、2徹からの23時半まで残業なんてこともザラにあった。正直いうと、完全に人格が失われかけた時や、部屋で一人で発狂していた時もあった。人生で初めて「死にたい」って言葉を口にした。今だから書けるけど、ほんとに、あの時あれ以上おかしくなってなくてよかった。

なんとか、なんとか乗り切れた理由

あの時、乗り切れた理由は紛れもなく「私の周りの人々」の存在があったからだ。プライベートで、両親やパートナー、友達に支えてもらったのが何よりも一番大きかったが、ここではあえて職場の方々のことを書く。
私がなんとか乗り切れたのは、私の直属の上司のおかげだ。
私が本当に消えてしまいそうな時に、心が少し軽くなる言葉をたくさんかけていただいた。私は、上司の言葉の積み重ねがなければ、本当に今この世からいなくなっていたかもしれない。他の会社で同じことになっていたら、どうなっていたか考えただけで、、、。面談をしても、涙しか出てこなかった時に、無理にいつもの面談をしようとせずに、やっと出てくる一言二言を本当に大事に聴いていただいたくこともあった。

唯一、やり残したこと。

私が今の職場でやり残したことは、私を支えてくれた上司のように、同じ場所で働く人達の心を「ほんの少しでも明るく」することだ。
入社して、1日たりとも余裕がなかった私は、自分のことで精一杯だった。
「ありがとう」の一言。挨拶の後の「プラス一言」。本当に些細なことでいいから、1人でも多くの人に、今までの恩返しをしよう。
そして、新たな場所では、お客さんと同じように、職場の人の心を明るくできる存在になろう。

たとえ仕事でも、忘れるべきではないこと。

この2年弱で、私が忘れてしまっていた大切なこと。
それは、「仕事も私の一部であること」。
「今は仕事中だから」。
この1言で、どれだけたくさんのチャンスを逃してきたことか。
仕事も人生。やるべきことはあるけれども、カッコ悪くてもいいから、
「いつものわたし」は忘れずにやらなきゃ。
そのためにはね、やっぱり、「苦手なこと」を意地張って仕事にするのは、よくないかもしれない。いや、意地張ってでも苦手をこの2年間でなんとか人並みにはできたから、次のステージに行けるんだって思った方が私にとっていいかな。

さあ、明日からは、1日1日噛み締めて、
やり残したことを0にしていくだけだ。

スーツを脱ぐまでの7日間は、恩返しの7日間。

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