勤務先のお店で本当にあった出来事について書いてみようと思う。

勤務時間中に店舗の電話が鳴り響く。
電話に一番近い場所に居た私は必然的に受話器を取った。

私「お電話ありがとうございます、○○店です！」

？「商品のことで聞きたいことがあるんだが」

私「はい、どのような商品でしょうか？」

？「〇〇の〇〇〇が以前そちらのお店に売っていたはずだが、それはまた入荷するのか？」

私「今調べます・・・」

一旦電話を保留にして発注パソコンを操作する。
結果はすぐに出た。
注文した履歴は確認できたが、メーカーから出荷はされておらず、入荷するかどうかは微妙なラインだった。

私「こちらの商品は注文はかかっておりますが、メーカーからの発送はされておりません」

私「入荷日は未定となってます」

？「それはいつお店に入って来るんだ？」

私「メーカーが発送していないために入荷日は未定となってます」

？「そんなことはどうでもいい」

急に相手の声のトーンが上がる。
そして怒りの感情のようなものが私の心に入って来る。
どうやら、入荷日未定というのが気に入らないようだ。

？「注文したのかどうかだけ答えろ！」

電話の相手はキレ気味だった。
ここまで声を荒げるということは、その商品を何としても手に入れたいのだろう。

私「注文はかかっております・・・」

？「・・・・ガチャ、ツーツーツー・・・」

無言で電話を切られてしまった。
私は唖然としてしまった。
そして恐怖心から疲れがどっと出てしまった。

人気のある商品はメーカーに注文したところで入荷するとは限らない。
欠品扱いとなって商品が入ってこないこともある。

その後に注文不可状態になることも多い。
そうなるとしばらくはお店に入荷することがない。

多くの場合はお客様にそれを説明すると納得して頂けるのだが、中にはしつこく食い下がって何とか手に入れようとする人も出てくる。
こうなると、そのお客様の説得が大変なのである。

今回電話してきた相手も納得せずに説得するのが大変なタイプだった。
電話を切った直後にパート仲間に相談する。
これこれこういう電話がかかってきて相手がキレてしまって話が通じなかったことを・・・。

パート仲間「まぁ、その人がお店に来て商品がなかったらギャーギャー文句言って大ごとになるかもしれないね」

パート仲間「もしそうなったらあなたの対応に問題があると上の人に指摘されても仕方ないよね」

その言葉を聞いて不安がよぎる。
接客業だとどうしても店員の立場は弱くなってしまう。
こちらがどんなに丁寧に説明をしようが、お客様が気に入らなければ終わりなのだ。

幸いにも店舗には上司が３名居たことで、先ほどの電話の内容について相談をしてみることに。

上司１「あぁ～、その商品はとても人気があるね」

上司２「人気のある商品って厄介なお客さんが絡んでくることが多いよ」

上司３「こういうことはたまにあるから気にしない方がいいよ」

パート仲間の言葉とは打って変わって気遣いのある言葉に少し気持ちが楽になる。

それと比べるとパート仲間の言葉は間違ったことは言ってないと思うが、気遣いの気すら感じられない。
むしろ、他人のトラブルを高みの見物するような感じか。

敵は内側にもいるということか。

電話の相手はどうしても欲しかったから行き過ぎた言動になった可能性は否定出来ない。
現在ではSNSでリアルタイムな状況を発信することも出来ればチェックすることも出来る。

特に人気商品だと手に入った人は嬉しいあまり写真付きで発信するだろう。
もちろん、それ自体は問題はない。
むしろ、今何が流行っているのか分かるので便利ではある。

だが、時にはそれが仇になることもある。
それを手に入れることが出来なかった人はどうするのだろうか。
お店をハシゴして頑張るか、それとも諦めて再入荷を待つか。

中にはお店に詰め寄って何とかしようとする人も出てくるかもしれない。
必死な気持ちは分からないでもないが、入荷するかどうか分からない商品を「入ります」とは断言できない。

トラブルを避けるためには確実に店舗に入って来るまでは入りますとは言えないのである。

欲しい人にとっては納得いかない回答かもしれないが、そういう仕組みである以上お店側もどうすることも出来ない。

ただ、今回の件で「こういう商品を買いたがる人ってこういう人が多いのだろうか？」とふと疑問に感じてしまった。
たまたま電話の主が無礼なだけであって、他の人はそうでもないと思いたいが・・・。

今回運悪くよろしくない出来事に遭遇してしまっただけなのかもしれない。
頭では理解しているものの、こういう出来事に遭遇してしまうと、その商品がなければこんな思いしなかったのにと思ってしまう。

いっそのこと担当者に「トラブルの原因になりそうな商品はお店に入れないようにするというのはどうだろうか？」と提案したいくらいだ。
どうしても買いたい人には申し訳ないのだが・・・。

もし、近辺のお店に行っても見当たらないとしたら、もしかしたら・・・と思うことはある。

生産側も販売側も購入側もトラブル起きることなく平和でいられたらどんなに良かったか。
人気がありすぎて品薄になる、これからもこの手のトラブルは後を絶たないかもしれない。

立場の弱い人が怖い思いをする世の中にはしたくない。
だったらどうすべきか。
答えは未だに出てこない。

もし、夢に時空のおっさんが出てきてくれたならば、相談してみたいものである。