見出し画像

ファンタスティック・ゲーマーズ!

 日本はe-Sports大国になった。少なくとも偉いおじさん達の頭の中では。
 政策の目玉として打ち出されたのは、巨額の制作費を投じ、国内のゲーム企業が結集して開発した「史上最高」を称する大規模対戦ゲームと、賞金総額20億を超える同ゲームの大会だった。

 今更何が大国だよと笑いつつ、始まれば遊んでしまうのがゲーマーのサガ。仲間を誘ってチームを組み、気づけば例の大会の舞台に立っていた。

<試合開始!>

「早速やるぞ!」

 VCに向けて叫ぶと、俺は瞼を閉じる。勝利を確信したから、だけではない。画面が揺れて酔うからだ。
 仲間達が俺のキャラの上に飛び乗ると、俺は地形に埋まり、前後に激しく振動し始めた。超高速で吹き飛び、そのまま敵の本陣へ!一回戦勝利!

 そう。これは絶望的なレベルのバグゲーだ。しかし政治的力学により発売日は伸びず、大会も予定通り開催。
 かくして史上最大にして最悪、最初にして最後のバグゲー大会がはじまった!

【ROUND 2へ】

Photo by JC Gellidon on Unsplash

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?