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自由に美は宿らない

わたしの選ぶ男のコ、どうやら「やめた方がいい」ような人が多いらしい。あなたのためにならない、と人は言う。あなたの自由を抑圧するような男はダメなのだと。

わたしは敢えて抑圧されたいのだ。束縛されたいのだ。自分で自分を縛れない、我慢を知らない哀れな人間には外部が必要だ。

道徳と倫理があるからこそデカダンスは光りかがやく。それらは結局のところ私たちにとって無くてはならないものなのだ。さらに言うならむしろ多様性の名の下なんでもかんでも肯定され、伝統が破壊され、ルールや権威が意味をなさないものになりつつある現代のデカダンスはむしろ道徳的で倫理的であることそのものなのだ。私よりも、私の好きな男の子のほうが反抗者なのかもしれない。

なにはともあれ、がんじがらめにされているものほど美しいのだ。内臓が圧迫されるほどきついコルセット、足に血を流しながら履くハイヒールは身体を不自然な形に縛る。だからこそ美しい。ルールと道徳は精神を不自然な形に縛る(なぜなら、自然な状態の精神とはマルキドサド敵世界観に存在するから)。だからこそ美しい。美しさを求める我々には縛るものが、抑圧するものが必要だ。それを自分で自らに課せない人間は、醜くて、あわれ。

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